表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

ワールドワイド!

 結局、僕の採寸は二時間を要して、午後九時半過ぎになってしまった。母者が遅くなったことをつばさに謝り、その後につばさの家に謝罪の電話をする。


 つばさには、母が家に送ると散々言ったのだが、ひかりの家ならつばさの両親も大丈夫という本人の言葉で、結局強引に泊まることになってしまった。


 この事件は、つばさの両親だけでなく、ひかりにも緊急に連絡したのは当然の行為であり、僕はこれから起きるであろう理不尽なことに対しての保身のため、ブン太の家に避難することを真剣に考えた。


 しかし、ひかりからの返事には大歓迎するとの言葉が華美なデコメで表されているが、その片隅に地味に、ひかるが逃げないように気をつけてと母にメールが返信され、僕の保身への逃亡は事前に阻止されてしまった。




 家に着くと、パスタパーティーみたいに大盛りのタラコパスタに新鮮なサラダとコンソメ系の玉ねぎスープが並んでいた。

 姉の定番だけれど、僕も母も好きな料理だ。

 つばさの好みであるパスタで歓迎を表されていて、楽しく夕飯を食べることが出来た。


 夕御飯を食べ終えると、いつもの僕の仕事である片付けが待っているのだが、今日だけはひかりが見栄と言うもので、外面ヨロシク、笑顔の仮面を無理矢理貼りつけて、僕には最初のお風呂を言い渡された。


 僕からお風呂に入り、つばさとひかりが一緒に入り、最後に母者、光姫(みつき)さんが入る。


 僕の服装はいつものジャージだけれど、3人娘?達は

 セクシーパジャマというお姿になっている。


 何時もの風呂上がりのように、自室にこもり部屋の鍵を掛けていたのだが、ひかりから開けられてしまい、とても驚いた。

 何故、合鍵を持っているのかを問い詰めたい気持ちに駆られるのだが、世の中の七不思議の一つと言って、教えてくれない。



 挙げ句の果て、そんなことはどうでもいいとばかりに、ひかりに無理矢理リビングに引っ張り出されてしまった。


「ひかるちゃん、お姉さんの相手をしてくれないかな?」


 と聞いたのは、リビングの椅子に腰掛けてからだった。

 おい、僕の意思はずっと前に置いてけぼりになっているのだが……。

 念のために自己主張とやらをしてみよう。


「いやだ!」と直球勝負に出たが、ひかりの小声でのお誘いに陥落してしまった。


「あたし達の相手をしてくれるなら、明日はお庭でBBQにしよう。もち、つばさも誘って!」


 あっ、明日って土曜日か ……僕も同感です!



 如何わしい誘いに乗ってしまったのだが、部屋から出る時に、さっとゲーム機を手に持って来ていた。

 女だけの話題になった時の保険だよ。


 だって、そのまま聞いてたら変態扱いされかねないし、つばさとは話したいけど、ひかりに弄ばれる可能性が高いからゲームで遊べるならそっちがいい。

 ゲームからは怒られないから、何と言っても安全だ。



 暫くすると案の定!


 ……やっぱり、女の子同士が集まってしまう。


 僕は必要無いんじゃないか?


 ブツブツと独り言を言いながらテレビをつけると、何処ぞのアイドルに交じり知り合いが出ていた。


 ……あれってば、愛ちゃんだ。


 なんで?


 僕達のモデル仲間のお友達の愛ちゃん。


『谷村 愛』と言えば、母が発掘した3人目のモデルさん。


 ちなみに1人目と2人目は『てるてる』のことだ。

 見知った顔が芸能人とは、少し鼻が高いぜ!


 まあ、モデルもなんだけど……。

 どうせ僕はひかりの代役だから目立つことは無いし、騒がれることも無い。


 日本ではね。

 それも、世間一般の話に限定なのだが……。


 実は、僕もモデルとして引っ張りだこなのである。

 ひかりの代役でも無く、本当に僕個人の人気らしい。


 海外向けの雑誌やテレビには良く出ている。

 もしかすると、ひかりよりもワールドワイドな活躍をしているかも知れない。


 しかし、有名になる影にはやはり黒歴史を避けることは出来なかった。


 僕が有名になったのは、某有名なゲイ雑誌のランキングで好きなタレント第1位となったことから世界中に広がったらしい。


 それを新聞が取り上げてから、普通に女子からも人気が出ているらしいのだが、その女子達はレズという未確認情報も聞いている。

 ひかりのファンが僕とひかりを間違えているのだろうが、大迷惑なんですよ。


 やはり、ひかりは僕の人生を邪魔するために存在しているらしい。




 ……話題を戻そう。


 なんか、情けなくなってきた。


 ゲイにレズなファンがワールドワイドって、悲しすぎ。

 人に言えないじゃん!


 たまに飛行機でロケ地に向かう時に空港では外人に囲まれてしまうし、奴らは触りやがる。

 しかも、タダで!


 せめて、金払えと言いたいぜ!

 しかし、金を払うから触らせてと言われても、嫌だよな。




 ……って、地震か?


「おーい、ひかる君、ひかる君、あなた寝てたわよ」とつばさが優しく起こしてくれた。



 あっ、そうなの?

 しかし、つばささんは、まるで天使のような優しさだし、可愛さだ。それに比べて、うちのぴかりは……。

 まぁ、いいや。眠い。


「ん、つばささん。ありがとう。じゃあ、ぴかりん!僕は寝るよ」


「あたしはひかりなの! なんかムカつくから、今からゲームしましょう。だからひかるは寝ちゃダメ」


 って、本当に眠いんだけど……。


「はい、ジャンケーーーーーーン。 ポンっ!」


 みんながグーで僕がチョキ……。

 なんでだよ。


「ねっ、さっき言ったとおりでしょう。

 ひかるはチョキ派だし、眠いなら考えずに素直にチョキを出すと読んだ私はチートだね」


 って、ドヤ顔したら美少女度が半分になるって、ひかりちゃん。


「さて、ジャンケンからしちゃったから、何の罰にしましょうか?」


「ひかりちゃん。王様ゲームするのはどう?」


 って、母親のあんたがそんなことを言ってはダメでしょう!


「そうね。さっき愛のことを見てたし、私もなんか気分悪いし、ひかるの罰ゲームは王様ゲーム決定ね」


 つばさは笑っているが、僕の気持ち的には真に恐怖を感じていた。

ぴかりん!


我ながら、いい名前!(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ