どさこん。 道産娘!×びにこん。コラボ企画
書かされました!
五円玉様の「びにこん。」と我が黒歴史の「道産娘!」のコラボです。
クリスマスと言うわけで、半ば五円玉・げどー双方へのプレゼントとして書いたつもりです。
なんか来年から「道産娘!」連載再開しろとの指示を受けてますが、全力で無視したい…。
あ、「道産娘!」の方は読まなくて大丈夫です。
読まないでください。
「びにこん。」を是非お読みください。
さて、では行ってみますか!
illustration by げどー
「ねぇ、どっか行こうよ」
この一言から始まった。
休み時間にちょこっと俺の席に来てそう告げた彼女は、そのまま主が不在の隣の席へと座った。
隣の席の主は学食にでも行ったんだろう。
毎日4時間目終わりは真っ先に居なくなる。
俺は横に座った長尾里音の話を聴きながら、持参した弁当を広げた。
「明日、どっか行こうよ!」
「どっかって?」
里音は、言うのは恥ずかしいけど俺の彼女。
北海道からの転校生。
出会って早々に告白されて付き合うことになった。
「水族館とかどう?」
「いいよ。でもこの辺の水族館って…」
「ほら、東京の!」
「ああ、はいはい」
「んじゃ、明日ね!なまら楽しみしょや!」
そう言って里音も弁当を広げた。
さて、そろそろ自己紹介でも。
俺は姫路条。
普通の男子高校生。
特に優れたものを持ち合わせることもない。
ただ、彼女持ちということでやたら反感を買うのだが。
さて、話を戻そう。
「明日何時?」
「ん~、10時に大宮駅カエルポスト近くの改札前でどう?」
大宮駅は某旅行雑誌「る○ぶ」が発行した中で過去最低売上だった県の、最も大きい駅。
2人で待ち合わせするなら確かにそこがベストだった。
因みに、カエルポストは大宮駅にあるカエルの形したポスト。(そのまま)
何がともあれ、明日10時に大宮駅集合で話がついた。
翌日。
朝10時。
大宮駅カエルポスト近くの改札前。
「ごめん待った?」
「いや、時間通りだぞ」
「なら良かった」
オシャレした里音がそこにいた。
街はクリスマスムード一色。
里音は白いコートに白い手袋。
赤い毛糸の帽子。
明らかにサンタをイメージしているとわかる。
「あ、私朝ご飯食べてないから何か買いに行きたい。なんかなまらお腹減っちゃって…」
そう言いながらお腹をさすった。
「んじゃコンビニ行くか」
「いいね!あなたとコンビニ!すぐ、そこ!いい気分!」
いろいろ混じってるが突っ込まないでおこう。
「ていうかさ、駅の中にもコンビニあるよ」
「いいの!駅の外のがいい!」
ああ、さらば新しい日々。
たどり着いたのは駅からほど近いコンビニ。
目に入ったのでそこにした。
しかし、ここからがアブノーマルの始まりだった。
「いらっしゃらないませデニーズへよう…リア充爆発しろ!」
!!?
コンビニに入って早々、罵声が飛んできた。
店員…いや、服装と立ち位置は店員だが話す内容は店員じゃないこの女性は一体…?
こっちを睨み付けている。
俺も里音も入り口で固まった。
その横にいる男性店員も慌てていた。
「ちょ、東久留米さん!まずここデニーズじゃないし!いらっしゃらないませって何!?そしてお客さん爆発させないで!」
全てに突っ込みを入れていた。
「考えてみて下さいよ平壌先輩」
「平壌に(ひらじょう)とルビ振らないと誤解されるからちゃんとやっといて」
「はい。で、平壌先輩。考えてみて下さい。同じ時給なら人が来ないで暇してる方が絶対楽じゃないですか。だったら客なんていらっしゃらない方が!」
「あんたお客の前で何を!?」
しばし目の前で繰り広げられる漫才じみた会話に、呆然と立ち尽くす俺と里音。
とりあえず、里音をつついて中へ。
朝食となりそうなパンやおにぎりを見ていたら、来客があったらしい。
「おっす剣豪!」
「出たな中二病!」
レジでコンビニとは思えない会話が繰り広げられている。
「何しに来たの…?死ね…」
そうしよう。
修羅場なのか?レジは今修羅場なのか?
里音は気にする素振りもなく買い物をしている。
俺も聞こえないふりをしよう。
「お、まさかここに…。顧客がいるなんて…!」
「英訳しただけで中二病になれると思ったら大間違いだぞ」
「あんたさ…ちょっとあそこのリア充に一発かましてやんなさい!」
東久留米…とかいう店員がこっちを睨んできた。
ヤバイ…一撃来るぞ。
「ひぃ!わ、分かったぜ」
そういうと(たぶん)お客の中学生くらいの男子が走ってきた。
「はっ!?ちょっまっ!」
「はー!必殺!魔性頭突!」
「いってぇ!?」
制止も聞かず頭突きしてきた。
それをもろ喰らってしまった。
「なんだ…お前…」
「ふふふ。俺か?俺はな…。正義の将軍、東久留米ゆうひだ!」
「そうか…。東久留米ってことは…あの店員の…」
「妹じゃない?」
「弟だ!」
里音…そこで何故無駄に口を挟んだ…?
「でもさ、東久留米って駅名じゃん?俺がベッドの下に隠している雑誌に久米川さんと小平さんと田無くん出てて被るんだよね」
「待て!何の話か全くわからん!雑誌?」
「ん?そうなのか?剣豪なら分かるな?」
「俺に振るな!」
平壌とかいう店員が叫んでいる。
「へぇ~。雑誌ねぇ…。今夜もおいしい焼き芋が焼けそうね…。ゆうひ…」
「ひぃぃ!しまった!では、焼き芋を阻止すべく拙者はこれにて撤退!」
少年は走って出て行った。
…なんだったんだ?
「あ、とうきびパン!私これにしよっかなー」
「とうきび?ああ、トウモロコシか」
時々入る北海道訛りも、彼女の特徴の一つ。
なまらくらいならわかったけど、名詞はたまに分からない。
「でー、飲み物はー。冬でもしゃっこい方がいいっしょ!150ミリの温いペットボトル出ないかなー」
「確かにあったかいペットボトルって大きいの無いよね」
雑談をしていると再びの来客のようだ。
今度は普通のお客かな…?
「いらっしゃらないませー」
「いらっしゃいませー」
ダメだ、何度聞いても違和感があるぞ…。
これが日常なのか、平壌店員も注意しないし。
まさか、あの平壌って店員もまともじゃないのか?
※すでに東久留米さんは変人扱いです。
「親ビン!元気か!?」
「昨日も会ったじゃねーか」
ダメだ、親ビンとか呼ばれてる。
ダメだ。
「因みにこの娘は13歳の平壌大志先輩の従妹でーす。開城雪芽っていいまーす」
「ちょ、東久留米さん?誰に説明してるの?」
「あのリア充」
「へ?」
「だって、誰あの人?説明しなくていいの?というか可愛いな食べちゃいたいとかいう目で見てたから」
「見とらんわ!」
「私が…いるのに…」
「ちょっ!里音、見てないからね!」
ふと目をやると東久留米店員が愉快そうにほくそえんでいた。
策略にハマったようである。
終いにはおほほほほとか高笑いしだした。
「親ビン!今日は何する?」
雪芽とかいう少女が話しているようだ。
「何するって?」
「ほら、アタシびにこん。。だとコンビニ外での話が多いからさ」
「あ、そういうね。この前の(いかがわしい)本持ってきてないよね…」
「あるよ」
「なぜまだ持っている…」
「読んであげようかと思って」
「そうか…この回くらいしかネタにできるようなとこなかったのか…」
「みたいねー。だから!」
「聖夜を汚すんじゃない!」
「性夜を…怪我すんじゃない…?」
「断じて否!」
店員うるさいなー。
そう思いながらの朝食選び。
「私は決まったよ!とうきびパンとお茶!」
「俺は弁当かな」
「いんでないかい。たまには奢ってよ~。ねー?いいっしょやー?」
「まぁ、いいけどさ」
「やったー!ありがとー!」
「ナンモさ…あ」
方言移ってる…。
「んふふ~。みんな標準語のなかけっぱった甲斐があったべさ」
「いや、本気で方言使われるとちょっとキツイからね?」
「そう?条ちゃんも方言使っていいふりこいてみれば?」
「いや、かっこつけられるもんでもないっしょ」
そんな話をしながらレジへ向かう。
ああ、関わりたくない。
「弁当温める?」
レジは東久留米さんの方でした。
「あ、はい。お箸一つお願いします」
気に触れないように言葉を選びながら慎重に…。
「ですって先輩」
「俺?」
「あ、あと、肉まん一つ…」
「ですって先輩」
「また俺?」
結局、平壌店員の方が全てやっていた。
買ったものを手にして、里音とコンビニを出た。
それはもう逃げるようにすごい勢いで。
「なんか、あのコンビニ…ワヤだよ」
「うん…ほんとね…」
若干の疲労を感じつつ、水族館へと向かうのであった。
「もう水族館行くのが目的って忘れてる読者の姿が見えるべ…?」
「…うん」
本文中のイラストは久々に上杉姫虎さんを引っ張ってきました。
…なんでラフなの?
因みに、コミケのポスター貼ってありますが、コンビニでの取り扱いは行っておりませんよ。
普通、「五円玉さまありがとうございました」とか言うんでしょうけど、お礼言いませんよ?
強制しおってからにぃ~!
いつか仕返ししてやる!
それでは皆様!
メリークリスマス!
そして、良いお年をお迎えください!