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道中



「初めまして光輝殿。私はメラニー姫近衛隊のサントスといいます。そして、こちらは同じく近衛隊のフェルです。」


「よろしくお願いします!」


「来ていただけて助かりました。流石に魔術都市ヴィッセンまで一人では無理だと思ってましたから。こちらこそヴィッセンまでよろしくお願いします。」


 三人は挨拶を軽く済ませると、フェルが馬の後ろに光輝を乗せヴィッセンへと馬を走らせた。

「それにしても、何をしにヴィッセンに?姫様に聞いても教えてくれなかったんすよね。」


「詮索はやめておけフェル。メラニー姫は賢いお方だ、話さないということは話せない理由があるということだ。」


「そう……っすね。すみません今のは忘れてください。」


 (馬が走り始めて数十分。二人の性格が少し分かってきた。サントスは理屈型でフェルは感覚型。メラニー姫が賢く全ての行動に意味があると深読みするなら、正反対の二人を護衛に着け俺を測ろうとしているのかも……。)


「辺りが暗くなってきました。今日はここで野営にしましょう。」


 先頭を走るサントスはそう言うと、馬を下り、フェルと共に野営の準備を始めた。

 (さて、俺はどうするか……飯でも作るか!)


 各々が作業に移り数十分が経った。

「フンフン いい匂い……光輝くん!何を作ってるんですか!?」


「これはポトフですといいます。」


「ポトフ?ただの野菜スープとは違うのか?」


 (様々な店を巡って分かったが、この世界では「出汁」が知られていない。それを知った俺は真っ先に鶏ガラスープとコンソメを作ることを優先した。)

 店を始める準備期間中に肉屋から無料で貰った鶏ガラ、それをよく洗い、じっくり煮込んだ。一日煮込んで撮れたスープに鶏肉、香味野菜、卵白、ハーブを加え、さらに一日煮込む。うろ覚えだが、この工程で何となく自分の知るコンソメスープに近いものを作ることができた。


 デカイ調理用鍋で大量に作ったコンソメスープを二つの水筒に入れ持ってきた俺は、同じく持ってきた鍋に食べやすい大きさに切ったベーコンとキャベツ、玉葱、人参に似た野菜、じゃがいもと共に鍋にぶち込み火のスクロールを使い煮込んだ。


「なんだ……これ……使ってるものはどれも普通なのに……どうしてこんなに美味いんだ!」


「野菜の旨みがスープに溶け込んでるからですよ。もしよかったら、ヴィッセンから帰ったら俺の店に食べに行ってみてください。」


「このスープもまた食べられるのか?なんて名前の店なんだ?」


「『飯屋ヒノマル』です。ポトフの作り方を知っているやつがいるか分からないけど、他の料理も同じくらい美味しいですよ。」


「俺、その店知ってるッス!最近めっちゃ噂になってる店ですよね!光輝くんが店主なんですか!」


「店主というか……店を建てたのが俺というか……」


 (店をほっぽって来た俺が店主だなんて口が裂けても言えないし言いたくない。)


「帰ったあとの楽しみができました。食事が終わり次第、睡眠をとりましょう。私とフェルが交代で見張るので光輝殿はゆっくりおやすみください。」


「いえ、三人で交代で見張りましょう。気配を感じたら起こすだけなら俺にもできるので。」


「……分かりました。では光輝殿に初めの二時間ほどをお願いします。最初が光輝殿であれば、私どもも深い眠りについていないと思うので、いざという時に直ぐに動けると思うので。」


「分かりました。あっおかわりありますよ。」


 三人は楽しく食事をとり、サントスとフェルは目を瞑り体を休ませた。


「光輝殿、何をなさっているのですか?」


 交代の時間、光輝は大量のスクロールを開いては閉じてを何度も繰り返していた。

「スクロールの確認ですよ。」


「スクロールをそんなに持ってきて何に使うのですか?火や水ならともかく土や風など使い道のないものまであるようですが……。」


「……俺には魔力がないんです。だから、戦闘の時はスクロールを使わなくてはなので、汚れや破けていて使えないとなっては困るので確認しているんです。」


「魔力がない人には初めて会いました……ですが、魔力がないからといって、スクロールでは戦闘に使えるほどの魔法は使えませんよ。」


 スクロールの使い道は火をおこすことや水を生み出すことに使われる。その理由は下級の魔法しか使えないためである。下級の魔法ではオークはおろかゴブリンにすらほとんど効かない。なのでこの世界ではスクロールは戦闘に使えないものと軽んじられている。

「スクロールも使い方次第ですよ。では、見張りお願いします。おやすみなさい。」


 光輝はサントスにそう言うと眠りについた。

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