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飯屋【ヒノマル】



 城を出た光輝はクラスメイトを連れモラル兄妹の営む飯屋へとやってきていた。

「いらっしゃい!光輝くんじゃないか!そこの彼らはお友達かな?」


「お久しぶりですカルロスさん。お忙しい時間に申し訳ありません、頼れる人がカルロスさんしかいなくて。カルロスさんに建築のできるお知り合いがいたら紹介してほしくて……」


「それなら、ちょうどそこに食べに来てるぞ!ダミアン!ちょっと来てくれないか?」


「なんだよカルロス……せっかくの唐揚げが冷めちまうだろ……」


「光輝くんがお前に用があるんだとよ。」


「光輝ってお前が話してたあの?このガキが!?」


「はじめまして光輝です。ダミアンさんに仕事を依頼したいのですが……食事が終わるのを待った方がよさそうですね。」


「ん?あっあぁ待ってろ、すぐにかっこんでくるから。」


 店の外で光輝たちが数分待つと急ぎ足でダミアンが店を飛び出しやってきた。

「待たせて悪いな!で?俺に依頼したい仕事ってのはなんだ?」


「実は飯屋を始めようと思ってまして、建築を依頼したいのです。」


「なるほどな……使われていない建物なんかじゃダメなのか?」


「一階を飯屋、二階、三階を宿のような建物が理想なのですが、心当たりありますか?」


「ないな、ってなると新築か……金はあるのか?」


「お金はカルロスさんの店をお借りした時に集めたお金がこれだけあります。」


 光輝は金貨や銀貨の詰まった革袋をダミアンに見せた。

「おっおう……充分見てぇだな……土地は用意してるのか?」


「あっ!……」


「その様子だと忘れてたみたいだな……俺の所有してる土地を売ってやる、小金貨五枚だ買うか?」


「適正価格が分からないのですが……」


「ぼったくったりしねぇよ。そんなことしたらカルロスにキレられるし、なにより俺もお前の作る飯を食べたいしな。」


「そうですか……だったら小金貨六枚で買わせてください。(嘘をついているようには見えない。それなら仲を深めるという意味でも多めに渡しておこう。)」


「随分と太っ腹だな……本当にいいのか?」


「はい。これからも仲良くしていきたい人にはお金は惜しまないつもりです。」


「そうか、じゃあありがたく受け取っとくぜ。お前が買った土地は中央街だ。中心というだけあって他にも飯屋がわんさかあるが……お前なら心配なさそうだな!」


「建物はいつ頃できそうでしょうか?」


「今日の夜二十時前にはできると思うぞ。」


「そんなに早くできるんですか!」


「大人数で魔法を使えばそんなもんだろ?んじゃ、俺は仲間を集めて早速仕事に取り掛かるから、時間になったら中央街の時計塔の前に来てくれ。」


 そう言うとダミアンは駆け足で街の中へと消えていった。光輝はカルロスにお礼を言うと街に店の経営に必要なものの買い出しへと出かけた。包丁やまな板、火と氷のスクロールなど十五人で持てるだけの買い物をして、少し時間を潰し、光輝たちは待ち合わせの場所へと向かった。


「おっ光輝くん、それじゃ完成した建物まで行こうか。」


 光輝たちが待ち合わせの場所へ着くと退屈そうにダミアンが光輝達を待っていた。

「これがご依頼の建物だ!」


 光輝の注文通り三階建ての建物がたったの半日でできあがっていた。窓の多さで外からでも部屋の多さが伺える。光輝たちが建物の中に入ると中には頼んでいなかった家具が綺麗に配置され、いつでも店を始められるよう準備されていた。

「驚いたか?お前から多く貰っちまったからな、これはサービスだ。二階より上のそれぞれの部屋にも寝具や衣装棚なんかの生活に最低限必要なもんはこっちで揃えておいたぞ。まぁ色を塗ってないから地味かもしれねぇけどな!」


「ありがとうございます!まさか、ここまでのものができあがるなんて想像以上です!」


「褒めすぎだって!俺たちは注文通りにやっただけさ。じゃっモラルの店でみんなが待ってるから俺は行くぜ。開店したら必ず食べに行くからな〜。」


 ダミアンさんが店を去り、買ってきた荷物を光輝の指示通りの場所に全員で配置した。


 あれから数日が経ち、光輝たちは正式にオープンする前に練習も兼ねてお世話になった人や顔の広い人を集めプレオープンをすることにした。

「そういえば光輝くん。私たち今日まで料理や接客の練習をしてきたわけだけど、お店の名前決めてなかったよね?」


「そういえばまだった……折角なら日本っぽい名前がいいよな……ヒノマル!飯屋ヒノマルにしよう!」


 

 

 



 あ

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