作戦会議
「まずは前線の状況を伝えさせてくれ。」
そう言ってラモンは台の上に置かれた白と黒に文字の書かれた石を並べ始めた。
「我々はガラン王国の先にある、元ソルテビラ国の都市であるピエドラスに進行している。ソルテビラの都市は山岳にあり、鉱石が多く取られていたことから石の街と呼ばれていた。」
「山岳なんて、尚更素人意見じゃ難しいと思いますが……」
「そうなのだ……我々はソルビテラを手にいれることを目標として進行しているのだが、進みずらい道の上、魔物たちが高所を抑えていて手を出せないのだ。」
「………………この大陸の地図ってありますか?」
「あ、あぁ。古いものにはなるが……」
光輝は手渡された地図を見た。
「……目標を変えませんか?」
「何か思いついたのか?」
「まずはここを攻め落としましょう。」
光輝はそう言ってソルビテラからさらに北にある国を指さした。
「そこは我々の国から離れていて、どちらかと言うとエルマン王国に近い国ではないか?」
「確かファモスという名前の国でしたよね。」
「そうだが、何故ここなのだ?」
「山岳を攻略するなら身体能力が高くて身軽なエルマン王国の兵士の力を借りる必要があります。なので初めにエルマン王国と協力して魔物に支配されているファモスの建物を破壊します。」
「破壊?建物は流用しないのか?」
「人間同士の戦争なら残した方がいいですが、既に人間の滅んだ国の建物を残しても住む人がいなければ意味はないですし、再度魔物に利用去れる危険性もあります。」
「確かに……だが、一つ問題があるぞ?エルマン王国と協力すると言っても、兵を送れば、こちらの守りが手薄になる。」
「それも、問題ありません。エルマン王国には建設魔法を使える兵士を百から二百送れば事足ります。」
「魔法が不得手であるエルマン王国の代わりに前線基地を建てるのか!」
「……戦う気はありませんが、私も同行してみます。数百人の兵士を送るだけでは舐められていると捉えられかねないので。」
「いいのか!?」
「俺の提案ですし、それに下手な説明役では首を落とされかねないので……」
「すまない……この礼は必ずする。」
「その言葉、忘れないでくださいね。」
光輝は日に何度も頭を下げるレイナルド王に不安を感じながらも城を後にした。




