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人材確保

風邪気味



「サントスさん、フェルさん。今日はよろしくお願いします。」


「……姫様の頼みなので構わないのですが。光輝殿は我々をいいように使いすぎなのでは?」


「もちろん、タダでと言うつもりはないですよ。役割をきちんと果たしてくれれば【ヒノマル】で好きなだけ食べていただいて構いません!」


「マジっすか!サントスさん、受けてよかったすね!」


 光輝はあれから、自分がいない間に委員長が店で稼いでくれた金を使い大量の食事を仕込み、【ヒノマル】で働く同級生とメラニー姫の兵士二人と共にスラムへとやってきていた。


「おっ早速。ねぇ君、お腹すいてる?」


 光輝はスラムに入り早速見つけた少年に声をかけた。少年の体はやせ細っており、光輝の問いに少年は頷いた。

「はいこれ。スラムに住む人、みんなに食べて欲しいんだけど集めることできるかな?」


 少年は再び頷くと、光輝に渡された器いっぱいのお粥を手に持ちスラムの中へと走っていった。


「光輝くん、一つ聞いてもいい?」


「どうしたの委員長。」


「どうしてスラムの人たちに食事を振る舞うのかなって……いや、それ自体は立派なことなんだけどね!光輝くんには何か考えがあるのかなって……」


「あぁ、それね……サントスさんたちならいっか。もちろん理由はあるよ。一つは店を増やすために従業員が必要。これはできるだけ低いコストで雇える人材がベスト。」


「二つ目が魔力の確保。魔力の取引は国以外は禁止にしたけど、従業員から確保するのは何も問題ないからね。」


「そして最後が一番大事。俺たちの兵士を育てる。目的はまだ言えないけど……基本的にはダンジョンで魔物のコアや魔道具なんかの金になるものを集めてもらうつもり。」


「うーん……聞いたはいいけど全然想像つかないや!あ!さっきの子供が沢山連れてきたよ!」


 五十人ほどだろうか。スラムに住む人々に粥を与え、全員が集まったのを確認し光輝は言葉を発した。

「スラムに住む皆さん食べながらでいいので聞いてください。私の名前は光輝。飯屋【ヒノマル】のオーナー?です。私はここに皆さんを雇うために来ました。」


「……俺たちに何をさせるつもりだ?」


 全員が食事をする手を止め光輝を睨んだ。酷い仕事をさせられないか不安なのだろう。

「普通の仕事です。男性はダンジョンに。女性は店の従業員として。子供たちには教養を。三食の食事に寝床付きです。」


「話ができすぎてるな……本当は何をさせるつもりだ?」


「今話した通りですよ。私が提供するのはあくまで環境。ただし給料は成果がでるまで払うことはできません。」


 スラムの人たちは依然疑いの目を光輝に向けていた。

「俺たちにとっては願ってもない話だ……だが、スラムに住む俺たちのことをアンタは信用できんのか?」


「信用しませんよ。だからコレを用意したんです。」


 光輝は大量の紙の束をスラムの人に見せた。

「それは……?」


「これは【契約書】この契約書に血判を押した人間は記された内容に逆らうことができない。記された内容は先程話したことに加え、契約者含め、今この場にいる全ての人間に危害を加えてはならない。」


「それだけか……?」

 

「もう一つある。星神 光輝の命令は何よりも優先される。ただし契約者が納得できない場合断ることができる。」


 スラムに住む人々が互いに目を合わせ、頷き、契約者に血判を押しに集まった。

「契約者に血判を押した人は向こうで体を洗って替えの服に着替えてください。」


 クラスメイトの一人のギャル……齋藤 陽葵が神から貰った力はシャンプーを生みだす力。シャンプーは頭と体、両方に使用でき。少量の魔力で大量に生成できる。


 陽葵は整髪剤を売ろうと考えていたようだか、貴族に飼い殺されることになると脅し、今は【ヒノマル】で働いている。


 陽葵の生み出したシャンプーと、メラニー姫から借りたフェルの水魔法でスラムに住む人を次々と綺麗にしていった。

 

「スラムで過ごした日々の中でトラブルも沢山あったと思う。それを忘れろとは言うつもりはないけどら契約したからには俺たちのために働いてもらう。」


 こうして光輝の新しい挑戦が始まった。

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