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連携



「光輝さん大丈夫ですか!まさか一人で倒すとは思いませんでした。」


「………………」


「光輝さん?」


 光輝は心配するエリックをよそに先程の戦闘について考えていた。

 (オークとの戦い……風の魔力で翻弄することはできたが素早く動くことで魔法での援護を受けることができなかった。修正しないと……)


「エリックさん。歩きながら戦闘時の連携について話したいのですが大丈夫ですか?」


 光輝たちはゴブリンやオークの死体をその場に残し、エルマン王国へと足を進めながら、今後の戦闘方法について語り合った。

「ということで次の戦闘時は俺を含めた四人で連携しましょう。」


「そうですね……光輝さんがあそこまで戦えるとは思っていなかったので、先程の戦いでは三人での連携しかできていませんでした。光輝さんは俺なんかよりずっとリーダーが向いているのかも知れないですね。」


「俺は……向いてないですよ。俺が思うにリーダーは優秀な人間より信用できる人間の方が向いていると思います。その点エリックさんは立派にリーダーをやっていると思いますよ。」


 エリックが背後にいる仲間の方へと振り返ると、ウドとデボラは満面の笑みを見せた。

「光輝さんの言う通りだ。俺たちはエリックがリーダーだから一緒に戦ってるんだ。もっと自分に自信を持て!」


「まぁ、たまに前に出すぎなんじゃないかって思う時はあるけど。リーダーのあんたが前線を張ってくれるから私たちは安心して援護できるんだ、もっと自分に自信を持ちなよ!」


「お前たち……!」


 仲間に励まされ目頭が熱くなるエリックを見て光輝は心の中で冷たい感情を抱いていた。


 (確かにリーダーにはエリックさんのような信用されている人間が向いている。だけど前で戦うエリックさんは仲間を指揮するのに向いていない……今までは後ろの二人が上手くやっていたようだけど、それもいつまで続くか……)


 光輝はこのチームの欠点に気づいたが、それを口に出すことはなかった。光輝にとって彼らは仲間ではなく護衛だから。仲間でない光輝が口を出すことではない。


「わざわざ魔物の国から離れた場所を移動してるのに……みんな!魔物だ!数はオークが一匹にゴブリンが五匹!」


「ウドさん作戦通りお願いします!」


「任せろ!」

 

 ウドが手を合わせると光の防御結界が側面に展開された。

「エリックさん!」


「了解!」


 エリックと光輝は側面を守られた結界の中で魔物たちが来るのを待ち。ウドは結界の維持を行いながら背後の警戒、デボラは杖に魔力を集中させ待機していた。


 「エリックさんはゴブリンに集中してください!オークは俺が狙い撃ちます!」


「任せろ!」


 エリックは見事な剣の腕でゴブリンを華麗に捌き、光輝は魔法銃を使いオークの棍棒を落とした。

「アギ!アガギギ!!」


 戦闘の音に釣られさらに五匹のゴブリンが戦闘に参加してきた。

「下がります!ウドさん、デボラさん準備をお願いします!」


 光輝に合わせエリックもウドたちの元まで下がった。

「今です!」


 側面を囲った結界の範囲に魔物たちが入るのを見た光輝の合図で、ウドにより正面と背面にも防御結界が張られ魔物は閉じ込められた。

「そぉれ!」


 デボラは待ってましたと言わんばかりに杖に溜めた魔力を水に変え上空から防御結界の中へと投げ入れた。

「それじゃ後はよろしく!」


 水浸しになった魔物を見た光輝は、風の魔力で高く跳躍して木の枝に掴まり、防御結界の上から雷の魔法弾を叩き込んだ。

「ガァァァァァ!!」


 魔物のたちは防御結界の中でバチバチという音と共に悲鳴をあげながら、力尽きていった。

「すごい……こんなにあっさり倒せるなんて……」


「この先も魔物と戦う時は、まず木陰側をウドさんの防御結界で張りましょう。その他は当初の予定通り臨機応変に。」


「「「了解!」」」


 これが光輝がこの世界で初めて人を使った戦闘だった。この先。何千、何万という人間を使い戦闘を指揮することを今の光輝には知る由もなかった。


 


 

 

 


 

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