魔道具士アードルフ
「こんにちはアードルフさん!」
「おう、坊主か!頼まれてたものはできてるぞ!」
カールとの取引から三日が経ち、光輝は滞在中に仕事を依頼した魔道具士の元に足を運んでいた。
「それにしても凄いなこの玉。今まで自身の魔力で使う必要があった魔道具が、この玉をはめ込むだけで使えるんだもんな。」
光輝が伝えた主な知識は家電や兵器のものだった。魔道具は魔力を吸い上げ力を発揮する仕組みのため、従来は魔術師の魔力を使う戦略兵器だったが、魔物のコアが発見されたことにより魔力を溜め込むことができるようになり、扱いやすさが向上した。
「さぁ、これが依頼された武器だ!」
アードルフに工房の中へ連れられ渡された武器は、魔物のコアをはめ込むことができるように作られた少しSFチックなハンドガン二丁。
「……言っていいのか分からないんですが、デザインもう少しどうにか……」
「言うな……儂もそれは思っている……だが!性能は保証するぞ!試しにそこの空き瓶を撃ってみろ!」
光輝は空き瓶に狙いを定めてトリガーを弾いた。瞬間、銃口から炎の魔力を纏った弾丸が放たれ空き瓶を割り建物の壁に穴を開けた。
「ありゃ、やってもうた。威力を最小にするのを忘れておった……」
幸いなことに怪我人はでなかったが、工房内にいる他の魔道具士からアードルフはめっきり叱られた。
「いや〜坊主も驚かせて悪かったな……威力は注文通り横のレバーで変えることができるぞ。あぁ!忘れとった、忘れとった!カール様が坊主を呼んどったみたいだぞ?なんでもお礼を伝えたいだとかなんとか。」
「?分かりました。武器ありがとうございました。」
光輝は工房を離れカールさんに会いに城へと向かった。
「光輝殿!よく来てくれた!さぁ座ってくれ!」
兵士に連れられ案内された部屋はカールと初めて話した書斎だった。
「突然呼び出してすまなかった。光輝殿がエルマン王国へと出発する前にもう一度会って話がしたくてな。」
この日のカールは上機嫌で、余程嬉しいことがあったのだろう
「光輝殿から教えていただいた大砲などの兵器が、早速活躍して被害を出さずに魔物の大軍を退けることができました。」
(驚くべきはこの技術力だ……シンプルな仕組みとはいえ大砲や投石器なんかの兵器をこの数日で量産するとは……)
光輝の教えた兵器の知識は大砲や投石器、銃やガトリングなどの兵器。ガトリングは開発に時間がかかっているようだが他の兵器は既に完成していて実践で活躍していた。
「あのままではヴィッセンは時間の問題だったでしょう。光輝殿は我々の恩人です。そこで我々は光輝殿にして差し上げられるお礼を考えました!」
「いえ、この銃の費用を出していただいただけで充分……」
「それでは足りません!有益な情報には相応の対価を払わなくては!それに……光輝殿は自分のためではなく世界のために動いている。大人しくお礼されてください。」
「では、お言葉に甘えて……」
「よろしい!とはいえ過度なお礼は光輝殿を困らせてしまう……なので光輝殿、私の友人になってはいただけませんか?」
「友人……ですか……」
(友人なんて足枷だ……友情なんて嘘っぱちだ……けど……)
光輝と一回り年の離れたカールなりの優しさのようなものが光輝の心を動かした。
「よろしくお願いします……」
「あぁ、よろしく!」
二人は握手を交わし、カールは話の続きに戻った。
「さて、話は変わるが光輝。友人を一人エルマン王国に向かわれたとなれば私の沽券に関わる、そう思わないかい?」
「そうですかね?」
「そうだとも!明日の早朝に出発するんだろ?この街では名の知れたダンジョン攻略者数名に声をかけておいた、無事に君の旅が終わることを願っているよ。」
光輝はカールに感謝を伝え、カールと夜が更けるまで前世の記憶や魔法について語り合った。




