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カール・シュトゥーベン

ほとんどキャラの会話になってしまった……



「カール様がお呼びだ!牢を出ろ。」


 (思っていたより早く出れたな。)


 牢屋に閉じ込められてから一日と数時間、光輝は門番に魔物のコアの入った荷物を上官に届けるように説明をしたおかげか、牢を出て謎の人物と会うことになった。


「カール様!ガラン王国から来たという少年を連れてまいりました!」


「入れ。」


 光輝が案内された部屋は書斎のようで、部屋は本棚で埋め尽くされており、部屋の中央には紅茶を嗜みながら本を読み漁っている美青年がいた。

「護衛はいらん、お前は仕事に戻っていいぞ。」


「しかし!」


「そうか、重要な話だ。最悪口封じをしなくてはならない話をするのかもしれないのだが……」


「失礼しました!」


 光輝を案内した兵士は最後まで聞き終えることなく部屋を出ていった。

「どうぞ、座ってくれ。」


 カールに許可を貰い光輝は向かいの椅子に腰を下ろした。

「まずは自己紹介を。私の名はカール・シュトゥーベン。一応この魔術都市ヴィッセンの最高責任者をやっている。」


「私は星神光輝と言います。」


「そうか、異世界の出身だったな。光輝殿と呼ばせていただくことにしよう。単刀直入に聞くが光輝殿、あれはなんだ?魔物のコアなのは分かるが。それ以外が分からん。説明をしてもらえるか?」


「申し訳ありません、説明をする前に誤解をされているかもしれないことに対しての訂正をよろしいでしょうか。」

 

「手短に頼む。」

 

「ありがとうございます。案内をしていただいた兵士が「ガラン王国から来た少年」と仰っていましたが、俺は言葉通りの意味でそれ以上の意味はございません。」


「つまりどういうことだ?」


「私はガラン王国で召喚されたというだけで、ガラン王国に対しての深い思い入れはないということです。つまり、今から説明するのはガラン王国のから来た星神 光輝ではなく、ただの星神 光輝とご理解ください。」


「よく分からんが了解した。」


「では説明させていただきます。」


 光輝はガラン王国でレイナルド王たちにした話をカールにも教えた。

「こうはしていられん!光輝殿、しばらくここで待っていてくれ!本棚の本なら好きなだけ読んでくれて構わない!」


 そう言うとカールは部屋を飛び出し、兵長に魔物のコアを集めるよう伝えに向かった。

 (まぁ、この国の現状を考えれば当然の反応か……)

 

 それから三十分程が経過しカールが部屋に戻った。

「お待たせして申し訳ない。光輝殿のおかげで希望が見えました。」


「お役に立てたならなによりです。」


 光輝とカールは一息つき紅茶を一口飲んだ。

「実はカール様。魔物のコアの話の他にもカール様とお話したいことがありまして。」


「なんだ?」

 

「お話と言うよりは取引になってしまうのですが。私の前世の話と引き換えに三カ国の協力、ダンジョンについて教えていただけないでしょうか。」


「三カ国の協力についてにも言いたいことはあるが……なぜダンジョンについて知りたいんだ?」


 ダンジョンという言葉が光輝の口から出た途端カールの表情が変わった。

「私たちはこの世界に送られる際、神にこの世界を生き抜くための能力を授かりました。そして私が願った能力は【世界の一般常識】です。どうやらこの一般常識ではダンジョンの重要な情報が含まれていないようなのです。」


 (能力で知ったダンジョンの情報は。一 ダンジョン内で現れる魔物にはコアがあり、破壊しない限り再生する。二 ダンジョン内には高価な遺物や魔道具そしてスクロールが眠っている。三 ダンジョンは全ての国に存在していて国が運営している。)


「あれだけ大規模な物を人間が作れるとは思えません。ダンジョンとはなんなのですか?」


「君ならある程度は検討がついているんじゃないか?」


「……最初の勇者が召喚された時に現れた、対魔物の訓練施設。」


「……どうしてそう思ったんだい?」


「人間が作れるようなものではない……ということは神が作ったもの。では神は何のためにこんなものを作ったのか、勇者が魔物との戦いに慣れるため。何故か?を突き詰めた結果です。」


「すごいな君は……」


「何故、勇者のための施設だということを隠す必要が?」


「勇者のための施設だから隠しているんじゃない。勇者が元いた世界に帰らないために隠しているんだ。」


「どういうことですか?」


「ダンジョンの最下層、そこに行くことができれば勇者は元いた世界に帰るための手段を手に入れることができる、ダンジョンの壁にはそう刻まれていたらしい。」


「我々は勇者を帰らせるわけにはいかなかった、だから壁に刻まれた文字を隠し、全ての国が口裏を合わせ勇者に知られることのないよう国の代表だけが知ることのできる情報として隠し通してきた。」


「聞いといてなんですが、こんなにあっさり話していいんですか?」


「当時召喚された勇者は既にいない、それに数百年間最下層に辿り着けた者はいない。それと三カ国の協力だったか……エルマン王国はともかくとしてガラン王国との協力は民が納得しないかもしれない……」

 

「だったら、ガラン王国に召喚された勇者 星神 光輝に協力すると伝えてはどうです?民はともかくとして、魔物のコアが私から教わったものだと知れば、兵士は納得するかもしれません。」


「そうだな……やってみよう。」


 こうして光輝はヴィッセンの協力そしてダンジョンの秘密と引き換えに、前世の兵器や便利な家電などの知識をカール与えた。今後の話し合いはその後も続くことになり、その日は一日中カールと今後について語り合った。

  


  


 

 

 

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