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商人ティム



「光輝くん大丈夫ですか!」


 オークを倒し終えたサントスとフェルが急いで光輝の元へ駆け寄った。

「問題ありません。」


「それにしても驚きました……まさかオーク二匹を倒すなんて……」


「倒したと言っても逃亡に夢中で俺の事なんて眼中にない二匹ですけどね。」


「それでもです!あの速度で二匹倒すなんて、光輝くんは剣術か何か習っていたんですか!?」


「フェル、詮索はその辺にしておけ……それと、そこの草むらに隠れている奴、礼くらい言ったらどうなんだ?」


 サントスは光輝の背後に生い茂った草むらに言葉を投げかけた。

「そうですね。」

 

 草むらから初老の男性が現れた。

「先程は助けて頂きありがとうございます。私の名前はティムと申します。ヴィッセンにて商いを営んでいました。」


「いました……ということは。」 


「ご察しの通りヴィッセンから逃げてまいりました。」


 (何故ヴィッセンを出たのかは……聞くまでもないな。ヴィッセンから遠くない場所にトロルやオークがいるということは、討伐する余裕がないほど追い込まれているのだろう。)


「皆様はどうしてこのような場所に?」


「私たちは光輝殿……この少年をヴィッセンへと送り届けるため来た。」


「それは辞めた方がいいかもしれません……ヴィッセンは魔物との戦争に敗色濃厚だという噂が流れています。実際、出撃する兵士は日に日に人数が減っていっています。悪いことは言わないから、来た道を戻った方がいい」


 (好都合だ)

 

「俺はガラン王国からの援軍でヴィッセンに来ました。」


「援軍?この人数でですか?」


「二人はあくまで護衛で援軍は私一人です。」


「助けていただいた立場で言うのもなんですが、ふざけているのですか?」


 (ガラン王国の名前をだしてから、あからさまに態度が変わったな。それはそうか、自分の国が危険な状況に陥ってるのに呑気に茶をすすってるような奴らだ好きなわけがない)


「実は私はガラン王国へと転移した勇者の一人なのです。証拠にこれが転移した際履いていたズボンです。」


 そう言って光輝は服屋が買取りきれず手持ちに残ったズボンを手渡した。

「……確かに、このような精密な衣類は見たことがない……ということは本物の!」


 (まぁ嘘は言ってないよな……)

 

「そこで無理を承知でお願いなのですが、助けた恩を返すと思って街の案内を頼めないでしょうか?」


「ええ!ええ!勇者様の頼みともあらば喜んで!」


 こうして商人のティムは隠していた馬車の元へ向かい、四人でヴィッセンの門が見える場所までやってきた。

「私共の役目はここまでとなります。ヴィッセンの中ではガラン王国から来た光輝殿がどのように扱われるか分かりません。どうかお気をつけて。」


「サントスさん、フェルさん、ここまで本当にありがとうございました。お二人も……いえ、お二人なら心配する必要はありませんね。」


「では、光輝くん!またどこかで!」

 

 フェルはそう言い残し、サントスとフェルとのヴィッセンへ向かう旅は終わりを迎えた。

「では、私たちも行きましょう光輝様。」


 門の前まで行くと三人の門番が行く手を阻んだ。

「止まれ!通行証を見せ……ってティムじゃないか!さっき出ていったばかりだろ?忘れ物でもしたのか?」


「いや、このお方に助けられ、ヴィッセンの案内を頼まれたのだ」


「ほう、こいつが……魔力を感じないが本当にこいつが倒したのか?」


「いや、このお方の他に二人いた、ガおそらくラン王国の兵士だと思う。」


「なに!ガラン王国だと!」


 門番は光輝とティムに槍を構えた。

「落ち着いてくれ!この方は勇者様なのだ!証拠に見たこともないような衣類を見せていただいた!」


「悪いがティム、勇者かどうかなんて俺たちには関係ない。ガラン王国から来たやつは牢屋に入れろと命令を受けている。」 


 (まぁ想像はしていたが、やはりこうなったか。)


「ティムを助けてくれたことには感謝している。だから傷つけたくはない、大人しく連行されてくれ。」


 光輝は両手を挙げて大人しく門番の言うことを聞いて連行された。

「門番さん、小さなお願いを一つ聞いてはいただけないでしょうか。」

 


 


 

 

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