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058 サラが気付いたのはベットの中だった


 サラが気付いたのはベットの中だった。


 隣に気配を感じて見ると、睡蓮が丸っこくなって眠っていた。


「………」


 とりあえず、自分の貞操を手で確かめてみる。


 自分は下着を着けていなかった。というか、裸だった。


 顔が赤くなり、すぐに青くなった。動揺


サラは動揺を押さえつけようと、何度も何度も深呼吸をする。しかし平常心にはどうしても戻れなかった。


 ………大丈夫だ。下着を穿いていないだけで、何かされた訳じゃない。


「ひぃ!」


 睡蓮に胸を触られた。


 サラはこめかみを押さえて、睡蓮を見るとパチクリと目を開いている。


「おそようなの」


 サラは睡蓮を蹴飛ばしてベットからたたき起こした。


「痛いの」


「あ、あんたね………。何すんのよ」


 再びこちらに近づいてこようとした睡蓮に殺気を向けるとベッドに片足を乗せた状態で固まる。こちらを見て、ニヤリと渡って飛び掛かってきた。


 さっとひるがえり、避けると、


 ボスッ


 と言う音のあとに激しくベッドがたわんだ。


 ベットの反対側に逃げて、ベットから出る。


「あんたホントに百合だったのね」


「そうなの」


 片手を腰に当ててもう片方で睡蓮を指さす。


「あたしはあんたと違ってドノーマルなんだから、変なことしないでくれる」


「変なことをしているつもりはないの。それに、変なことだったら」


 ビシッと指さされた。


「目の前でスッポンポンで偉そうにしているサラの方が変なの」


 慌ててシーツで体を隠す。


「う、うるさい」


 なんか悔しい。


「恥ずかしがらないでいいの。もう見られたくらいでは恥ずかしくないの」


「どういう意味よ? いや、何も言わないでくれないか」


「ニヤリ」


 わざわざ声をだしてそう言った睡蓮にベットの上にあったクッションを投げつけた。睡蓮があっさりと受け止める。そして鼻を近づけて匂いをかぎ出す。


「サラのにおいがする」


「止めなさいよ!」


 顔が真っ赤になるのを自覚しながら睡蓮に近づいていき、クッションを奪う。


 ………臭いなんかしないわよ。


 自分で確かめてみたが大丈夫だ。


「自分でにおいを嗅ぐの? 変態?」


「あんたってやつは………」


「でも変態でも恥ずかしがる必要は、もうないの。


 サラのあんなところや、


 こんなところは、もう


 たくさん見たり、


 嗅いだり、


 触ったり、


 一晩かけて堪能したの」


「死にたい」


 その場に泣き崩れる。


 そっと肩に手を置かれる。


「泣かないの。全部冗談なの」


 本気で殺意を生じる。


 しかし睡蓮は何をしたいのだ?


 そう思って見ると睡蓮は何となく不機嫌な気がした。顔の表情を無理して無くしているけれど目力から闇闇とした気配を感じる。


「目を覚ましたみたいなの。姉さまが話しをしたいと言っていたから、今からいくの」


 そう言われて、ここが魔石川家の家だと思った。この部屋はたぶん睡蓮の部屋なのだろう。小綺麗で最近まで海外にしたからなのか趣味なのか知らないけれど、ヨーロッパ風の部屋だった。


「ついてくるの」


「ちょっと待って、あたし裸なのよ。何か服を貸してくれないかな」


 睡蓮はもこもこした素材の部屋着を着ているからいい。サラはこの格好で部屋からでるほど度胸はない。


「私の寸法で着れる服はないの」


 と言われたけれどせめて下着だけはしたかった。でも、


 ………。


 下は何とかなった。


「………だからやだったの」


「ごめん、ちょっと合わない、かな?」


 そっと引き出しを閉めてうしろを振り返る。少し涙目になっている睡蓮に、


「大丈夫。きっとこれから育つから。


「同じ年のサラに言われたくないの」


 あ、泣いた。


 見なかった事にしてあげよう。武士の情けだ。


 武士じゃないけど。


「それに姉さまとワタル君しかいないし、ワタル君は気を失っているの。姉さまはべつに気にしないと思うから、姉さまから服を借りるといいの」


「ワタル? ワタルがここにいるのか?」


「サラの横で気を失っていたとこを姉さまが見つけて、ふたりとも運ばれてきたの。


 姉さまはワタルの事をずっと看病しているの」


 あいかわらず無表情をよそおっている睡蓮を無視して廊下に走り出た。


 ………来てくれてたんだ。


 それを知ってドキドキした。


 ………なんで花蓮と一緒にいるのよ。


 それを知ってむかついた。


 シーツでかろうじて体を隠した状態で花蓮の部屋に向かった。


「待つの。ひとりで行っても姉さまの部屋に行く前に迷子になるの」


 慌てて追いかけてくる睡蓮の声を聞きながら全力で走った。


 だから、花蓮の話しの内容まで想像する余裕は無かった。




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