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005 えっ、嘘?

★登場人物紹介★

天野ワタル:世界征服をたくらんでいるが、訳あって双葉サラの下僕となる。


双葉サラ:世界平和を思う女の子。魔族を召喚して契約している最中にワタルに邪魔をされる。


タマ:召喚された猫鬼。ワタルに角を折られて少女の姿になってしまう。何故かワタルの使い魔になる。


双葉木広:サラの姉。


魔石川花蓮:魔石川商事の代表取締役。新しい魔石発掘場を巡って木広と戦う。


「えっ、嘘?」


 花蓮は自分の腕が魔剣ミームングごと地面に落ちるのを、呆然として見つめた。


 自分と木広の間に、いつの間にか誰かが割って入り、気がついたら腕が切断されていた。


 いや、切断された事に気付いた方が早かった。


 何をされたのか、分からなかった。


 ただ、切断されたと理解した瞬間、後ろに飛び退いた。


 しかし自分の腕を切断した者も、そのまま襲いかかってきた。


「ヴェルンド!」


 痛みのせいで、うまく頭が回らない。それでも使い間の名を叫ぶ事はできた。


 ヴェルンドが自分の前に移動して壁となる。自分の剣を持ち、身構えるが、その姿が一瞬後に、花蓮の視界から消えた。


 それでも僅かに余裕が生まれた。


 花蓮はその隙に、さらに後方に下がり、切断された腕に数個の魔石を当てる。


 すさまじい苦痛と一瞬の光の爆発に耐えながら、花蓮は腕を無理やり再生させた。


 貴重な魔石を数個使って腕を再生し終わると、やっと周りを見る余裕が生まれた。目の前には、見知らぬ男が立っていた。若い。


 拳をさすっている。


 目が合った。


 すると驚いた事に、相手はサラを認識すると、もの凄くショックを受けている。ぎょっとした表情をしてたじろいでいる。


 こちらを攻撃する気配がなかったので、ヴェルンドを捜した。


 少しは慣れたところから、何かが叩きつけられる音がしたので、見るとヴェルンドだった。


 ヴェルンドは胸に手を当てながら唖然として男を見つめていた。


 ………ヴェルンドが殴り飛ばされた?


 ありえない事だった。


 さらも唖然とする。


「ごめん、ちょっと待って」


 その男が敵意がまったくない声でそう告げて、木広に駆け寄っていく。ことらに無防備な背中をみせる。


 一瞬、ヴェルンドに襲わせようかと考えたが、ヴェルンドのいるところから距離があるから不意打ちはできなそうだった。花蓮が直接襲うことができる距離だったが、あまりの事にその気になれなかった。


 まだ、状況を認識できていないのだ。


 男が木広の方を掴んで、耳元で何か呟くと、その男の胸に体を倒して気絶する。すると、気絶した木広を抱えた男が立ち上がり、周りを警戒しながら、こちらを振り向いた。


「き、きみは誰だ?」


 自分の声が震えていないのが意外だった。思った以上に自分は冷静なようだ。男と視線がぶつかり合う。


「んっと、どこかで見たような気がするけど………ああ、魔石川花蓮さんだっけ? 確か魔石川学園の生徒会長だったっけ」


「きみは学園の関係者、生徒なのか?」


 驚いた。


 ヴェルンドを一撃で吹っ飛ばせる実力を持った生徒が学園にいるなんて、信じられなかった。目の前の生徒の噂さえ、聞いた事がない。


「この春の高校転入組の天野ワタルです」


「一年? じゃあまだ2ヶ月しかたっていない、ド素人じゃない」


 唖然とする。ますます信じられない。というかあり得ない。


 ヴェルンドは魔石川商事の最強の使い魔だ。それを人間が、しかもまだ肉体強化されていない状態で……。


「きみは人間ではないのか? 魔族なのか?」


 ただ魔力はまったく感じない。


「ヴェルンド」


 ヴェルンドが首を横に振る。ヴェルンドにも分からないようだ。


「腕は大丈夫ですか?」


 そう言われて花蓮は自分の新しい腕を見た。


「ああ、大丈夫。このとおり再生した」


「良かった。女の子を傷つけたと分かって、泣きそうだった。


 あの場面は、花蓮の腕ごと焼き切らないと木広さんを助けることができなかったから、仕方なく。でもごめんなさい」


 サラはまさか相手が頭を下げてくるとは思わなかった。


「きみは、双葉重工の助っ人という事か?


 であれば、木広の代わりに私と戦うと言う事じゃないのか? なぜ頭をさげるのだ?」


 花蓮は魔剣ミームングを再び手元に呼び出して身構えているが、少し緊張が解けかかっている。


「オレは女の子と戦わない。だから花蓮には、この魔石採掘場の入札を辞退してほしい」


 馬鹿な事をいうワタルの顔は真剣だった。


「そんなことは、無理だ」


「だけど、花蓮の所は、すでに魔石採掘場をいくつも所有してるんだから、ここを落札しなくても会社は倒産する事はないでしょう?


 でも双葉重工が所有している魔石採掘場は全て魔石は枯渇しているから、この採掘場の権利を手に入れないと会社が潰れてしまう。


 だから、今回は手を引いてください」


「それは無理。と言うか、取引したいなら、こちらにもメリットがないと、取引はできない。きみは私がその取引をしたくなる何かを提示できるのか?」


 花蓮は、ワタルと戦って勝てるとは思えなかったが、表面上は気丈に振る舞った。何しろどうやって腕を切断されたのかまったく分からないのだから、対応したくてもできない。


 今はワタルは襲ってくる気がない様子だが、また同じ事をやられても防ぐ自信がない。


 魔剣ミームングを構えながら、腕でなく、首を狙われたら終わりかも知れないと思った。


 腕を切断された時に背筋がゾッするような殺気をワタルから感じたのは気のせいではない。もう一度同じくらいの殺気を向けられたら、その場にしゃがみ込んでしまいそうだった。そのくらい激しかった。


 今も、それを思い出すと、軽く腕が震えてしまうのを止められなかった。


「お姉様、大丈夫ですか?」


 花蓮は声のした方に注意を向けると、そこにはサラと見知らぬ少女がいた。サラも同じ学園の生徒なので知った顔だった。確か中等部から今年高等部に進級していたはずだった。もうひとりの少女は見覚えがない。


 ワタルも気づいて振り向いてこちら背を向けてる。


 先ほどと同じく、あまりにも無防備で本気で攻撃しようと身構えた。すると、ワタルがちらりと振り返って、花蓮を一瞥するように視線を合わされると、何もできなくなってしまう。


 だから花蓮は二人がワタルの方に駆け寄っていくのを、ただ見ているしかなかった。、


「大丈夫ではないけど、何とか間に合ったみたいだ。タマ、木広を頼む」


 花蓮に背を向けてワタルが抱き上げた木広を見知らぬ少女に渡す。


「それより、あの使い魔は危険だわ。倒せる?」


 サラがヴェルンドを見て、ワタルにそう言うのが分かった。


 ヴェルンドを見る。ようやく立ち上がっていたが、体がボロボロになっていた。手足に細かい亀裂があり、これ以上無理をすればバラバラなって実体を失いそうだった。


 ワタルがヴェルンドの方を向く。


 ヴェルンドもそれに気がついて剣を構えるが、どう見てもやっと構えている感じだった。とても戦える状態でない。それはヴェルンド自信も分かっているはずだ。しかし使い魔である以上、自分から戦いを放棄することはできない。


「ねえ、花蓮。取引をしよう。


 その使い魔を見逃すから、今回は手を引いてくれ」


 ワタルがヴェルンドに向かって歩きだす。


「ぐっ」


 ワタルが途中で、木広が落とした短剣を拾い上げる。それを握りしめてヴェルンドの前にたった。


 入札を辞退する事はできないが、ヴェルンドを失うわけにも行かない。だったら今やれることを花蓮はおこなうしかない。


 だから花蓮はワタルに向かって行った。


 久しぶりに花蓮は恐怖を感じた。泣きそうだった。


 しかし、簡単に背後に回られた。


 耳元にワタルの手が触れる。


 ………首の骨を折るつもり?


「ひぁっ!!」


 しかし、ワタルに耳たぶを甘噛みされた。


 びっくりした。


 そして想像以上に気持ちが良かった。その場で硬直してしまう。そして見る見る顔が赤くなっていくのが分かった。


 自分はまだ赤面することができるんだと、へんな事を考えてしまった。


「仕方ない。じゃあ、ちょっと別の方法で花蓮さんを戦闘不能にするよ」


 そう耳元で呟かれると同時に、花蓮は背後からシャツをはだけられてブラをむしり取られてしまう。


 そして次の瞬間、両胸を直接捕まれた。


「い、いやぁ」


 一気に力が抜けてしまう。


 おかしい。自分はこんなに敏感ではないのに。なぜワタルに体を触られるとこんな反応をしてしまうのだろうか。


 魔剣ミームングが自分の手から滑り落ちそうになるが、力を入れることができず、地に落ちた。


 心臓がドキドキする。


 ついに立っていられずに、ワタルの体に倒れながら、その場にしゃがみこんでしまった。


「主!」


 ヴェルンドの声が聞こえたので、そちらを見る。


 こちらに向かってこようとするヴェルンドを見知らぬ少女が防いでいた。魔力があまり感じられないが隙がなく、かなりの手練れのようだ。まだ幼いのに、いったい何者なのだ?


 ワタルといい、まだまだ自分が知らない実力者は大勢いるということなのだろう。


「花蓮さん」


 息が掛かるくらいの至近距離から名前を呼ばれた。


 そしてキスされた。


 全身が震えた。


 花蓮はキスされただけで軽く達してしまった。


 ………信じられない。


 そして正面からワタルに片手で抱きしめられる。胸を揉まれながら、口の中にワタルの舌が入ってくる。


 胸が熱い。ジンジンする。


 ワタルの舌と自分の舌が絡み合う。快感が広がり頭がクラクラする。




 五分後、激しく体を痙攣させて花蓮はワタルの腕の中で失神した。


いやぁー、誤字脱字がすごいですね。ちょっと赤面。できるだけ改修しました。

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