第8話 「ハート・ロンド」
〜ハート・ロンド〜
…作業を進める時、人は一定の集中力を高めると
人智を超えた力を持ってして、
必ず最高の出来栄えを感じる瞬間がある。
「ゾーン」なんて言うものがいたような…
…そんな夢のような時間を長く持たせたいなら
ハート・ロンドを使うべきなのだろう。
ガトリングに例えるなら、望み通りに弾が延々と
射出されているようなものだ。
…ただしこの魔法を使うには
詠唱をマスターしなければならない。
心で唱えて、外部にはプリファールの力を放ち、
コードを繋ぐイメージを表すのだ。
学校に着くと既に野上は一貴達を待っていた。
自転車を学校の駐輪場に置いて行くと3人を
裏門へ案内する。
「…さて、お前らに言っておくことがある」
「なんだよ、トイレなら校舎内でいーじゃんか」
「違うわ!ここは本来生徒の立ち入りは禁止!
誰にも言うんじゃねえぞ!わかったか!」
「お、押忍!」
「気合いの入った返事でよろしい」
裏門を開けて荒れた道を行くと
鋼鉄の扉を開けて中に入って行った。
風除け室はとても寒く、5月の気温だとは
とてもじゃないが言えそうにない。
上がって行くと旧校舎に繋がっている。
一貴の言った通りに準備室を目指していく。
しかし
やはりと思っていたが
突然不気味な視線がこちらを睨む。
「カズ…あの時同じだよ…」
「わーってる。だから油断できねえんだよ」
一階の準備室は野上と福吉で、
二階は一貴と里流で見ることになった。
「各班一人ずつ戦闘に対応できる人間がいる。
丘咲、福吉は基本連絡だ、良いな。」
「はい」「ういっす」
一貴と里流は階段を登って準備室の扉を開ける。
廊下一帯はとても長く4部屋分の教室が揃い並ぶのだ。
一部屋目…こちらは何もない。
ただ何故か裏庭への鍵が落ちているので
拾っておくことにした。
二部屋目には以前入った場所だ。
しかし以前なら出てきた黒男が出てこない。
しかし…
「あ、あったあった。隠し通路だ。」
「カズが電話で聞いた内容のヤツ?」
「そうなんだよなあ」
扉を開けて通路は確保した。
勝手に閉まらないようにロックをかけておく
電話で連絡を入れた後教室を後にすると
ヒタ…ヒタ…と何かが近づいてくる。
音が聞こえる以上緊張が走る
少し身震いしながらもスマホに手をかざす
一貴は木刀の握りを強く掴んだ。
「…ん?おやおや、筑前君じゃないですか?」
「え、遥秋先生じゃないっすか」
見回りで徘徊中の遥秋とバッタリあった。
一貴は事情を話すと遥秋は納得した。
一応の注意だけは入れておいたようだ。
三部屋目…ここから明らかに嫌な予感がする。
カギを開けて電気を付けるとそこには
ゆらり
レザースーツの男が立ち上がりこちらを睨む。
見てはいけない何かを見つけてしまった罪悪感、
恐怖で声が上がらない。
すた…すた…と歩いてはこちらを見つめるのだ。
「カース…エッジ…!」
「来いよ、以前みたいには行かせねえ」
プリファールを応用した魔導刃で迎え撃つ。
相変わらずの猛攻だが、あらかじめ習得した
ハート・ロンドがあれば
ガン!ギンッ!カン!
「すげえや、剣戟してるのにオーケストラでも
指揮してるような気分だぜ!」
「あいつもう二学期の範囲までマスターしてんのかな…
って、そうだ!連絡しなきゃ」
スマホに手をかざした瞬間
バリン!と音を立ててスマホが破れる
目を背けた瞬間に画面に意識が向いた瞬間を
黒男は見逃さない。
「うわあっ!俺の重課金したデータが…!」
「んなことより命があっただけマシと思えよ…」
「冗談じゃねえ!金は命より重ーんだぞ!」
しかしそんなそんな戯言を抜かす暇はない。
背中を向ければ絶好のチャンスだ。しかし
「甘え!」ギィィ…ン…!
背後の構えから刀身に刃を交えると
思いっきり突き放すために振り払い
飛び上がりからのドロップキックをお見舞いする
物凄い音を立てて倉庫棚を崩し壁に激突したが
よろりと立ち上がると、今度はカース・エッジ
の形態を竹槍の如く伸ばして襲い掛かる。
バトルスタイルが変わり体全体を使った
テクニカルでアクティビティな動きに翻弄される一貴。一方で里流はあるもの探すことにする。
「(カズには悪いが…少し席を外すぜ…)」
閲覧いただきありがとうございます!
黒男の剣術はそこそこの訓練を積んだレベルなので
今の一貴なら悠に対応できます。次回もお楽しみに!




