第50話 遅延回転術(ディレー・コンバージョン)
ディレー・コンバージョン
分類 転生
コスト 粉塵の入った袋
(成分は片栗粉5割と魔素が含まれた物質)
付け加えて火属性の攻撃魔導を会得していること
属性 火
魔素粉塵の力で場所を飛ばしに飛ばしに移動する魔法。
点Aと点Bを繋いで理論を証明するタイムマシンみたいだが、
こちらは点A=点Aで証明される。インスタント瞬間移動、
と言ったところか。
粉塵を使った際の肉体や意識は
いまだどう移動しているのか判明していない。
「ボス、メインコクピットは誰に任せましょう」
「俺が行く」
側近を務める精鋭の1人は驚いた。
ハイウェイドラグーンのコクピットは
激しい揺れによる重力とその感度の良さから
直で攻撃しているセンサーを採用しているために
操縦士の負荷が大きすぎるのだ。
だが鬼島は躊躇う事なく危険な任務を引き受ける。自分が成すべきことを成すだけで、
わざわざ部下にプレッシャーは与えない。
「この作戦がうまくいけば
俺たちはもう泥を被らずに
クルマいじりができる。希望のままだ」
「だからってわざわざ命を張るなんて…
…いや、ボスはいつでもそうでしたね」
「各々が任務を果たせ、命令だ」
そういうとマシンのエンジンを入れて
通信を開始する。システムのオールクリーンを
確認したら、スタートギアを踏み込んだ。
壮大な地鳴りを鳴らし、赤いサイレンと警報音に包まれて出陣を開始。一貴達がその壮大さに
唖然とするまで時間はそうかからなかった。
その日、黒男を含めたメンバーで集まったのは
優大と入れ替わりで鷹司となった。そしてもう1人。
なんと当日になって里流が体調を崩してしまったのだ。更なる代理が必要になり頭を抱える一方で、鷹司がとある部活動へ向かう。
「おーす!日向!」
「ん?あー、会長ね。おはよー。
今日休んでるんじゃ無いの?」
「実はさ…」
数分後
「…という訳で、助っ人だ!
魔法研究部の清水日向。
科学研究部にも兼部してる薬学のエース!」
「その自己紹介恥ずかしいんだけどw
えと、君が噂の一年生こと一貴君だね。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
挨拶を済ませると野上に見送られて出発した。
今日ばかりは学校の様子を見る人間が不足するので留守番をするしかなかったのだ。
黒塗りの高級車に乗ると早速高速道路に乗り込み
時速100キロで優雅で滑らかな走行で走り抜ける。
「…黒男さんよ、今回依頼した巨大生命体って
一体どんなやつなんだよ」
「…今度からはレイブンとでも呼んでくれ。
今日討伐するのは兼ねてから動きを注意していた
連中の最高傑作のような物だ」
座席についているモニターを起動させると
洞窟が映し出される。
「この洞窟は数ヶ月前から突如として
立ち入り禁止になった。
付近が心霊スポットなんて噂がある以上
警察も取り締まりできないのだろうな」
「え、僕らそんな危険な所に行くんですか?」
「ああ。そして問題はその中だ」
中はすっかり工場になっており、
何人もの従業員とロボットが協力して巨大な建造物を組み上げているシーンが映し出される。
「すっげえ…全貌がわかんねえぞ」
「大きさを確保するために地面を掘ったり、
壁を崩しながら作業をしているからな。
昔の人間が見れば目を丸くするぞ」
「一貴はこんな危険なヤツらと
張り合っていたってことなんだね。すごいや」
中に入って状況を把握し、全貌を掴んだら
即時撤退。作戦を練り上げて一気に弱点を叩く。
王道のパターンだがこれが最善だろう。
高速道路を降りて1時間、人気の少ない村に入ると過酷な峠道に入り展望台にらたどり着いた。
洞窟に入ると中は熱気でムシムシしている。
熱中症に気をつけるために一貴は自らの力を
コピーさせてペンダント状にして、3人に渡した。
「買って正解だわ、あのペンダントフレーム。
冷気をだすエアコンじゃ限度があるわ」
「アレってそういう風にも使えるのか
俺ももう少し研究してみるかな…」
一歩進む度に
まるで何かに吸い寄せられているような
感覚を覚える。
早く来い、早く来いと誘うようだ。
道が分かれていても迷うような気配や違和感すらない。暗闇が増し、恐怖と緊張感が胸を抉る。
私達はこれから
一体何と戦わされるのだろう。
そして一歩踏み出した時、空間が開けた。
灯りがともって街が映し出される。
高速道路を支える脚という脚、
あたり一面が街の一部で結界になっている。
レイブンは少し諦めた表情をした。
一貴はいまだに状況が掴めない。
なぜか
高速道路の料金所がこちらを睨んでいたからだ。
「…………は?」
「3人とも正気を保て!
唖然しようなら撃たれて死ぬぞ!」
ハイウェイドラグーンが咆哮をあげる!
脚から大量のマシンビーストに跨った
暴走族が襲いかかってきた。
「かかれ!」
ひとチーム25人の軍団が銃火器をぶっ放す。
咄嗟に一貴がアイス・ウェイブで大きな壁を作るが一瞬で粉々になった。
「ショット・ボム !」
「サンダー・ボウ!」
「バイシクル・バレット!」
暴走族の猛攻が迫り来る、息づく暇を血で染め上げんばかりに攻撃魔法を放つ。言葉を交わす前に撤退するも追いかけてくる。
「おおっとお!良いのかなァ?
外に出れば第三者への被害を招いた事になるぜ」
「この狭い通路で応対しながら引くぞ!
私が前に出る…!」
装備していた二丁の拳銃を放ち、
タイヤや燃料器官を狙い撃つが、向こうも4人編成の軍団でこちらを追い詰めで強力な攻撃をリレーで打ち出してくる。
「逃れられると思うなよ。
俺たちは今日ここで王手を掛けて、
貴様らに引導を渡してくれるッ!」
「カラス1匹仕留めて引導とは…笑わせる!」
「クククッ…甘ぇな!」
「会長!迫り出した!」
「…馬でもだすか!
求心の駆け抜け(ダッシュ・スプリント)!」
「複製術!」
「よし、なら俺は魔道具を使うか!
変身ベルト、サーバンドライバー起動!」
「変身っ!」
走りながらヒーローのスーツを纏うと
魔法陣からバイクを出した。
「馬2頭に、ヒーローのバイク…
この感じ違和感すごいなあ」
「感心してる場合じゃないかもな!
一貴ー!後ろみといてー!」
「はーい!」
着信がなった。
一貴が電話に出るとそろそろ交代という。
移動中の足を止めて引き継いでとの指示だ。
「俺残ります!
先輩は先行ってください!」
「いや、ここは僕が残るよ…怖いけど」
「怖いなら逃げてくださいよ…」
そう言わせて鷹司と日向は先に進ませた。
2番手を背負う鷹司に魔粉塵の袋を渡す。
遅延回転術が来た。
一貴は魔粉塵の袋を叩きつけると煙からレイブンが来た。
「おつかれさん、次は俺が行くよ」
「頼んだぞ、バイクは借りて行く」
「任せとけー!」
バイクは颯爽と走り出した。
それを見届ける視線、ふたつ。
暗躍者がいるようだ。
誰にも気づかれずに密かに毒を塗る。
閲覧いただきありがとうございます!
ディレー・コンバージョンをリレーで使っても
距離が短すぎて逆効果になります。
物は使いよう!




