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第43話 あの一瞬の記憶(モーメンツ・ピクチャー)

モーメンツ・ピクチャー

分類 精製魔術

コスト その人の体の一部

属性 光


その人が直近で得た1番衝撃的だったシーンを

覗き見ることができる魔法。


使い所を間違えると…

まあ言わないほうが良いだろう。

知り合いが達してる瞬間なぞ、見たくない

無事に終わった異形の騒動。先生が無双の如く

力を発揮してくれたお陰で大きな事件は、全く言って良いほどに起こる気配もなく終わった。


しかし一貴の頭の中では拭えないものがある。

言葉交わしに殺意を持って武器を構えようとした瞬間にそれが一瞬で無くなった感じがした。

ランタンがカランと音を立てて落ちる時に

味わった"無力感"はなんとも度し難いものだった。


翌日の帰りのホームルーム。

テストも終わり成績が書かれたチケット状の

紙を受け取り、一同は阿鼻叫喚する者と歓喜に疼くもので二分割されながらも、一貴はそのどちらにも属さずただ顔を横に机に当てて外を眺めている。


「なあカズー、その姿勢絶対キツいって。

昨日…あ、いや今日になるのか。

今日の深夜に何があったのか教えてくれよー」

「やだ」

「…はぁ、コイツは相当な重症だな」

「どうしたの?」


一日中ボザーっとしている一貴に心配の視線が向けられる。声を掛けるものには里流が懸命に説明していてるがあまりにの多さにウンザリしていた


「…ってわけよ。

おい一貴!空模様怪しいからとっとと帰るぞ!」

「送ってくれ」

「シバくぞ!」


魅了されるとはこういう事か。

魂でも持っていかれたその様子は思わず心配になるものだった。とはいえ帰らない訳にもいかないので無理矢理ウォーター・ボールで水責めにして

我を返した。


「ぷはっ!?何すんだよ!」

「おう起きたか、帰るぞ」

「ったく…」

駐輪場に向かうと自転車に跨り、これから襲う嵐から逃げるように飛ばして帰り道を駆ける。


その途中、着信が一件入る。

自転車を停めて電話に出るとなんと黒男だった。


「ご機嫌よう…調子はどうかな?」

「…あまり良くねえ、何の用だ」

「一つ目のミッションだ。受ける気はあるか」

「…今は無理そうだ」

「なら内容と報酬をメールで送ってやる。

今から1時間以内に返信しろ、さもなくば」


ズドン!!!

「うお!?銃声!?」

「…慌てるな、脅しをかけただけだ。

まあ、返信しないのならお前の身近な人間に

手を出すと言っているようなものだ」

「関係のないやつまで巻き込むとは聞いてねえぞ」

「さあな、知らん。…どうする、先生に話しても

良いがどうなるかは知らんぞ?」

追い詰められた一貴と側で聞いていた里流。

大人しくメールを確認することにした。


メールの中身…簡単な戦闘の手伝いだった。

無論、命の保障はしてくれるが相手が何者なのか

さっぱりわからない。


報酬はなんと一人当たり10万円。

これでも安い方にしたというので、どれほど過酷な戦闘を押し付けられるのかわからない。

だが一貴はこれに乗った。


「正気か?まあ、確かに命の保障はされるけど

何しでかすかわかんないぜ?

てかカズ、前に言わなかったか?

深入りせず浅い所だけやろう、ってさ」

「それもそうだけどさ

俺はこの手伝いをある意味一つの"インターン"

だと思って取り掛かるつもりだからまずはやり遂げようと思うわけなんだよね」


メールを返信すると場所を指定する返信が届く。

まだ夏休みに入るギリギリ前だが肩慣らしに

一貴達は引き締めていこうと心がけた。


しかし、里流はこの瞬間一貴の感じたものと

同じものを理解してしまう。流れだけで引き受けたこの依頼を一貴はインターンと言い放ち、

自分はただ無意識に引き受けてお金が貰えて

五体満足で帰れるならどうでもいいと考えた。


学年トップを取っても友達の一貴に対して

初めて嫉妬を超えた"謎"という感情を得た。


「何だろうな…大人って皆こんな気分を味わいながら生きているのかって思うとキツいわな」

一貴が見てしまった景色。

あまりにも一瞬という刹那で何もかも持っていかれたその瞬間。


駅についてからこっそり跳ねた髪の毛をプチッと

抜くと指でOKマークを作り、その中に髪の毛を立てて円の中を覗く。


あの一瞬(モーメンツ・)の景色(ピクチャー)


偶然にも映った屋上での野上の一閃、

里流は全て理解した。

どうして心を奪われるのか、

この一瞬に全てが映っていたようだ。


一貴はどうしたらいいのか焦っている。

でもそんなに急ぐ必要もないのにどうしてか。

これでようやくわかった。


「おいカズ!」

「なんだよ突然デケー声出して」

「お前さ…」


こういう時何を伝えれば良いのかわからず、

自分でも何を言っているのか途中でわからなく

なったけど、いつしかいつも通りの談話になって

そのまま何事もなく今日が終わる。


その日、お互いの「またな!」が

どういうわけかすごく安心できて心強かった。

閲覧いただきありがとうございます!

あの時聞いた声、映像、それらが見えたら…

どんな気分になりますか?

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