第26話 「奇札装填(スペア・カード)」
スペア・カード
分類 強壮魔術
コスト その魔術を会得している者
属性 無
一度だけどんな魔術でもノーコストで使用できる様になる。
ただしその他にも時間制限があるため注意が必要。
なお(スペア・カード)を使えるものに使っても
なんの意味もない。重複は不可の様だ。
時間稼ぎをされている以上は状況打破は必須。
先生が大地のエレメントで土塊をほぐしてギターを生み出すと演奏を始めた。
「僕も先生の端くれ、魔法の扱いはそれなりにできるつもりさ。例えばこの(オルゴール・ヘルサイス)だって…」
「ギターなのにオルゴール?」
「雰囲気的な意味だよ、多分」
演奏を流すと次第に隙が無かった暴走族二人の動きが、少しずつだが鈍くなって行くのを感じていた。今なら切り抜けられる。
「筑前君、姿を消せる魔術は使えるかい?」
「(アサシン・グローブ)なら」
「上出来だ。篠原君、船見君。
今から言うことをよく聞いてくれ」
先生が何かを話す。二人は話を聞くと目を丸くしたが何か掴んだと思うと自信ありげに頷いた。
「大事なのは感覚だ。今の自分はみえていないと
そう思いながら行動する事だ。」
「ごっこ遊びの感覚だよな。
言うなら変身ベルトを着けたらヒーローに
変身できるあの感じ…だよな」
「良い例えだ。じゃ、始めるよ
鼻から大きく息を吸って目を閉じる…
汝らに力を授けん、(スペア・カード)」
一貴の左手を被せるように自らの手を置き
精神を集中させると光が現れて冥斗、修太の
へ送られていった。
「さ、後は姿を消すイメージをするだけだよ
いってらっしゃい!」
先生がオルゴール・ヘルサイスを解くと
対応してくれていた一組の生徒を下がらせて
粉塵爆弾を放つと
黒煙と共に一斉に姿を消した。
「ゲホッ!ゲホッ!…自爆かよ!」
「おい!アイツらどこ行った!?」
「逃げたんだよ!連絡だ!早くするぞ」
暴走族の本拠地とはいえそこまで広くは無い。
が、危険な設備でいっぱいの倉庫だ。それが
三棟ある。一つは破損したフレームや部品を直す修理を目的とした工場。二つ目は薬品を使ったリペアを目的とした危険物取扱用の施設。最後に会議室やサーバーが置かれているオフィスだ。
「俺達二組の目的はオフィスだ。
資料を探すか…パソコン盗むかだな」
「窃盗かよ、なんか嫌だな」
「仕方ねえだろ、アニメみたいに準備して
来てるわけじゃねえんだし…そもそもハッキング技術なんて身につけたら国が黙っちゃいねえぞ」
廊下を抜けると外に出る。
内部からの侵入は危険すぎると判断した。
一応、今自分達は透明化しているが魔力を感知できる者がいれば戦闘は避けられない。
「襲撃でも撤退でも無いわけだし
派手にはできないからな」
「スパイってそういうもんでしょ」
「それはそうだな」
妙に納得した後外部の状況を確認した。
トラックはオフィス近くの車庫に入っていたようだ。離れの倉庫だったので少しだけ距離がある。
工場には繋がっているので一番遠いのはオフィスだ。
距離にしておよそ100メートルと言ったところか。走って行くには数十秒掛かる、まさか暴走族の本拠地がここまで整っているとは。
オフィスはそれらしくかなり小綺麗な雰囲気だ。
というか学校の嫌に来客応対している感じが拭えない、そんな感じの玄関。
「カズ、この魔法使ってる時も足音はすんの?」
「する。音は阻害されないんだ。
なるべくそっと行くぜ。最後は走るから
今ゆっくり歩いて体力回復しとけよ」
「おっけ。最後の方は解けかけってやつね」
部屋をのぞく時は(アイ・デザーム)。
扉を開けて誰かがいたらゲームオーバーだ。
魔法は使っても誰かに見られているような気分
でなんとか誤魔化せるだろう。
「…この部屋は応接間か。
あ、アレオヤジのGT-Xのカタログだ」
「今関係ねえだろ…てか俺らに視界って
シェアとかできない?」
「俺らの実力じゃ無理にきまってんだろ…」
更に廊下を進む。
「ここは仮眠室か。
族なのにやってることは一流企業並みかよ」
「エロ本落ちてたり?」
「な訳あるかい…中はめっちゃ綺麗な
カプセルホテルだよ」
ちょっと羨ましい気持ちで通り抜ける。
「お、ここかな?資料室っぽい」
「扉をあけるぞ、良いか?」
「…待て、駄目だ。
ここ用具が多いから違う部屋だ」
間一髪だった。本当に用具室でしかも
道具の管理中の人間が奥に潜んでいる。
階段を登って三階にたどり着いた。
階段を出た瞬間にオフィスと社長室だ。
「ここからが正念場だ。
中には誰もいない、おそらく誘ってるな」
「どうするよ、このままじゃ袋のネズミだぜ」
「正面から奪いに行く」
「はあ!?」
扉を開けると中に入って人事管理用の
ファイルを片っ端から棚から取り出した。
「うわあああバカやろおおお!!!
そんな事して黙っちゃいねえぞ!」
「知るかよ。どうせ袋のネズミなんだろ?
ならもう開き直ったほうが身のためだぜ」
「お前…まさか裏切ってんのか!」
「寝言は寝て言え!ほらよ!」
一貴がドサっとファイルを渡す。
中には暴走族の活動日誌などが積まれていた。
そこにゾロゾロと暴走族の精鋭が入ってきた。
中には勝の姿もある。皆スーツを羽織り、
いかにも極道の世界の人間のような風貌だ。
ボスの鬼島が前に出てきた。
「ご苦労さん、若いのによくやるもんだ。
今ならそのファイルを返したら見逃してやるよ」
「悪いな、勝はクラスメイトなんだ。
アンタらが話をしてくれるならこんな事しないさ」
「へぇ…聞いたか勝。
お前、随分愛されてるらしいな」
「こんな奴ら知った気にもなりやせんよ。
口だけならなんとでも言えますし」
「おい!そんな言い方ねえだろ!
大体カズや野上先生がどんだけ心配してんのか」
「五月蝿えんだよゴタゴタ抜かしやがって!
大体てめえらが勝手に気遣っただけだろ!
放っておいてくれよ!俺には俺のやりたいことが
あるんだからさぁ…!」
もはや一触即発。
お互いのメンツがプリファールを詠唱する。
「最後にもう一度聞く。
降伏する気は無いか」
「無いぜ、派手に…やろうか!」
言った瞬間、一貴は物凄い冷気を放つと
鬼島は凄まじい電磁波を放ち対抗する。
他の精鋭も一貴を目掛けて各各々の属性を
駆使して攻撃を始めた。
狙われる一貴。冥斗も修太も召喚獣で対抗する。
冷気の影で(リライズ・アビス)を唱えると
炎を纏うドラゴンフィッシュと黒いオーラを放つ大鷹が召喚された。
「龍宮絢爛飛行!カズ!もうお前を信じるぞ!」
「助かるぜ!冥斗も派手にやってくれよ!」
「言われなくてもだよ!」
閲覧いただきありがとうございます
うーむ、組、ってするとちょっとなあ…
上手く組織名をかっこよく纏められないですね




