第23話 「機密情報交換(メンバーズ・ログ)」
メンバーズ・ログ
分類 汎用魔法
コスト 強めの電波、または電波を伝えられる何か
属性 雷
秘密にしたい情報を対象に広まる事なく
伝えられる汎用魔法。主にスパイ御用達だが
企業間でも使われる。
(センドワールド・ワード)を更に熟成させれば
念じるだけで情報を送ったり、暗号も解読できる。
日が昇り、夜の寒気も消えかかるような天気。
衣替えもいよいよかと思われた制服は腕が
捲られている。
1限目の授業は何事もなく終わった。
強いていうならその前のホームルームで
久しぶりに来た勝にクラスの皆が驚きの
表情を隠せない。
2限目が始まった
「(さて、と。もうそろそろだな)」
時計の針が刻一刻と45の数字に進んでいく。
今日ばかりは時の流れが遅く感じるし、
秒針が動く音も騒がしく聞こえてきた。
校門前にはゾロゾロと鬼島率いる暴走族が
たむろし始めた。皆が合図を待っている
10時44分
「せんせー、ちょっとトイレいってきやーす」
「ん?ああ、どうぞ」
立ち上がると机からはみ出していたペンが
からんと音を立てて落ちたが聞こえていない。
里流が仕方なく拾い上げた。
「あ、おいおい落としてんぞっ、と。ん…?」
10時45分
「…あ、あったあった。この端末だな」
朝、駐輪場でスマホを預けた後はどうするか。
それはトイレにあらかじめ勝が仕掛けた
専用の端末で連絡する事だった。
「これで…よし。後は上手くいくといいな」
そういうとトイレを後にした。
校門前
鍵が開くと暴走族が一斉にエンジンを掛けて
乗り込んでくる!
その頃一貴は教室に戻る途中だった。
廊下で野上と会う。
「おお?筑前、サボりか?」
「トイレっすよ」「そうか、ならいい」
通り抜けるとポケットに手を突っ込む野上
入っていた紙には(準備完了)と書かれていた。
「各軍団、応答しろ」
「グループA、異常ありやせん」
「グループB、いつでもどうぞー」
「グループC、ダイナマイト設置中」
「グループD、いつでも出れます」
「グループE、オーケー」
暴走族の先駆隊はA、B、C。
そのうち生徒を攫うのはAで戦闘はBだ。
Cは揺動や退路の確保といった工作である。
拉致した生徒はどうするか、
当然だが納品場まで行かなければならない。
なのでその送迎がDだ。近くの広場に
運送用のトラックが置いてある。
そしてそれを取り囲む護衛部隊が十数名。
本陣の運営は鬼島が属するE。
福岡の本部から各地の情勢を見て指示を出す。
舞台は整った。最後にC班から合図が届く
「グループCだ、設置したぞ!
完璧だ!高等学校てのはどうしてこんなに
都合の良い立地なのが多いのやらな」
そうこうしていると一貴からの合図が来た
「…よし、ご苦労。グループC!始めろ!」
「了解!作戦開始します!」
ダイナマイトへスイッチを入れる。
起爆は3分後だ。
一貴は教室へ戻ってきた。
この時残り1分を切る。
「(…上手くやったんだろうな、一貴のやつ)」
杞憂する勝だがやがて安堵する。
残り数秒になる頃には結果ばかりが気になって
しょうがない。
「起爆まで5、4、3、2…1!」
ダイナマイトが大爆発を起こした
場所は体育館裏の連絡通路周辺だ。
この付近は広場になっている
パリン!
近くの窓ガラスは衝撃で破れた。
ズガガと音を立てながら熱をもった衝撃波と
ホコリや煙が押し寄せてきた
音楽スタジオ室と放送室、階段席部屋や
放送室に実害的な被害が出た。
教室にも大きな振動と一部部屋で停電が
発生した。
「きゃあああ!」「何よいきなり!?」
「皆さん落ち着いて!」
先生が宥めるも一部の生徒は強張って動けない
「いった…カズ!なんだよ今の爆発!?」
「俺に聞かれても!?
(やっぱりやりやがったな)」
外ではC班がランチャーを構えて銃弾を撃つ、
本校舎の廊下を目掛けて爆発が起こると
一部の教室ではガラスで怪我する生徒も出た。
「皆さん机の下に隠れてください!」
「ひっく…お母さん…」
「ちょ…まっちー泣かないでよ…」
「カズ…!まさかまた黒男だったりするのか!?」
「微レ存ってところじゃね?
ていうか、また会ったらどうするよ?」
「冗談じゃねえ!まさか…今度は俺たち以外に
生徒全員を道連れにする気なのか…!?」
「俺たち…まさか今日死ぬんじゃ…!?」
「ば、バカ言うなよ!そんな演技でもない…」
「そうだ、オイ!召喚だよ!
学校中を探し回ろうぜ!召喚獣がいれば…」
「…そうだな…このまま殺されるくらいなら!」
冥斗や修多が奮起して立ち上がり廊下へ出た。
しかし廊下は既に爆撃で煙まみれで視界が
最悪の状態に陥った。
すかさず廊下の窓を空けて校庭を覗く、
そこには暴走族の集団と大型のトラックが
停まっている。
全校放送のアナウンスが入る
発信元は放送室が潰れた以上職員室だ。
「…全校生徒へお知らせします。
ただいま不審な人物が入り込みました。
大変危険な状態ですので扉を閉めて
机の下に隠れてください」
B班は本校舎へ侵入する。
どこにどの教室があるのかは勝の情報で
把握済みだ。
校舎は5階建で階段を登って3階が一貴達
一年生の教室だ。倉庫部屋を突っ切ったら
そこがターゲットになっている。
煙を無視できる暗視メガネで迫るその先
「おいおい…学校がめちゃくちゃじゃねえか」
「…!なるほど、教師がお出ましか。
悪い事は言わねえ、そこを退け」
「テメエらこそこんな事して
生きて帰れると思ってんじゃねえぞ」
立ち塞がったのは野上だ。
一貴が仕組んだメモ、
アレにも(メンバーズ・ログ)の魔法が
掛けられている。学校を休んだ日には
勝の素性と真の黒幕がいる事を話、
事件当日に先生達に教室周辺を彷徨いて
欲しいと依頼した。
準備完了と書いた紙を解析するために
コピー機で投影印刷すると
それ以降の文字が浮かび上がる。
機密情報を送りあう魔法だが、
(センドワール・ワード)の上位互換でしかない。
「かかれ!もう3人で拉致るぞ!」
「(筑前…後は頼むぞ…!)」
勢いよく窓を破って侵入すると
手当たり次第に生徒をクロロホルムで
眠らせる。しかし一貴はそれを黙って逃さない
「(アイス・プリズン)!
ここまでだ!大人しくしやがれ!」
「ガキが…舐めてんじゃねえぞ…!」
連携して氷の錠を砕き破った。
「(リライズ・アビス)!
ドラゴンフィッシュ!アイツを噛み砕け!」
「ふっ…最近の子供は召喚も使うのか。だが!」
鉄棍を伸ばし叩きつける。突き攻撃で
串刺しにされると思いっきり叩きつけられた。
「クソ…だめか…!」
突然の魔素の消費に疲れた修多は
そのまま眠らされた。
「(デモンズ・ダガー)!」
「良いモン使うじゃねか、子供には早えがな」
冥斗も応戦したがとても歯が立たない。
そもそも堅気にどう戦えと。
「ほおら…よ!どうした坊主!
お友達がやられまくってるぜ!」
「外道が…!そもそもなんで俺達を狙うんだ!」
「人身売買ってヤツだよ。
お前ら高校生は体力もあって肉付きも良い
高値で取引されるってわけさ!」
「日本でこんな事して…タダで済むと思うなよ!」
警察に連絡する暇すらない。
が、野上は例外だ。一貴達が苦戦する頃には
廊下の暴走族は全て気絶させた。
「皆!無事か!?」
「のがせん!…悪い大半やられた!」
「筑前!そいつは抑えていてくれ!
…これ以上生徒に手を出すじゃねえ!」
「ほざけ!相手をしてやれ」
一貴はリーダーの男らしき人物と対峙、
その間動ける里流や優大は戦いやすいように
机をどかした後廊下の暴走族を捕縛した。
閲覧いただきありがとうございます!
皆さんの通っている学校は襲撃された事はありますか?
…有り得ませんね。はい




