第22話 「数式解明算(ゴッド・パズル)」
ゴッド・パズル
分類 転生魔術
コスト ある程度の数学に関する知識
属性 光
人生におけるイベントとは
小さなドラマが埋め込まれたピースであり、
あとは方程式という版にはめる作業のようだ。
思い出してほしい。
あの時の嬉しかった、楽しかった記憶とは
どうしてこんなに過ぎ去るには惜しいのか。
答えは簡単。
全て必要な状況が揃っていたに違い無いからだ
黄金時代とは黄金ピースでできた物体なのだから
あの約束から数日。
突如戻ってきた鬼島が緊急の会議を開く。
「…よし、始めるか。
まずは突然の招集に集まっていただきご苦労!
今ここにいるのは他でもない緊急の用事ができたからだ」
「ボス、わざわざ熊本から戻るくらいなら
遠隔からの会議でもよかったのでは?」
「抜かせ。これから言う作戦はルールの範囲外だ」
既に騒つく会議室だがルールの外という一言で
"ゲーム"に関係する何かという事を察する。
黒男も参加者として意味不明な行動を繰り返し、
一貴達を生贄として誘拐した謎の競技。
勝者に与えられる権能が欲しくて奮戦するのには
理由がある。
この"ゲーム"というのは
日本の地下に巨大な組織を置く会社が運営している。目的としては、貴重な資源や人間を納品
する事で点数が入り、開始から一年が経った
成績発表後に褒美がもらえるのだ。
配布されるPad一つで
状況に応じて運営から特別なミッションが出たり
支給品が送られてくる事もある。銃や刀剣を注文する事もできるが問題はその中身だ。
覚醒剤や禁止級兵器、掘削ドリルや公務員なりきりセットなど法律の壁を裕に越した物から
なんと殺し屋までもが雇える危険極まりない
物ですら借りる事ができるのだ。
「ボス…運営の目は厳しい筈です。
いくらなんでもルール無視の行為は…」
「だが成功すれば俺達は王手を掛けられる
だから会議を開いているんだ」
場にいる皆がうーんとうめきを挙げる中
勝が会話を進めるべく質問した。
「ボス、ちょっと良いですか、
あらかたプランは決まっている事は
俺らの頭の中で承知しています。
しかし、まさか学校の生徒を誘拐して
それでも尚足りないって事は無いですよね」
「無論だ。だが一つブランクが出来た。
念の為に聞いておくが勝、学校内への
侵入の手筈は整っているよな?」
「問題ありません。ただ…ちょっと相談
しておきたい事が増えてます」
今まで問題ありませんの一言だけで
済んでいた為に少し騒つくメンバー。
協力者の話をすると鬼島の顔が少し歪む。
「どーゆー事だよ、勝ぅ。
極秘ってこと忘れたのかよ!?」
「すまねえ皆んな
実は先公に聞かれちまった。
その協力者は生徒の一人だ」
鬼島は少し考えた。
というか、ここで全員が深刻な顔した事に
少し安堵するも会議を開いた甲斐があったと
少し腹を膨らませる。
「…わかった。白状した以上責めはしない
が、お前は今回もう動くな。
今日は帰ってまた明日になったら来い」
「すんませんでした
先輩方も油断なさらずに」
「ボス…!まさか勝のやつ裏切ったんじゃ…!?」
「慌てんな。これだけ長い時間かければ
漏洩くらいはするもんだ…
話を変えるぞ、次の動きだが…」
明くる朝
一貴は、いつも通り登校していた。
「なあ一貴よお、そういえば免許の方はどうよ?」
「粗方取れそうな感じよ。心配すんな」
「なら良いけど…」
電車から降りた後、コンビニによる事で
わざと里流と離れて通学路の少し茂みがかった
場所に自転車を停めてスマホを取り出した。
「もしもし、今いいか?」
「…場所を言え」
「通学路の大嶽山への山道周辺」
「よし、…よく聞け、作戦実行は
2限目の10時45分だ。時間になったら
トイレに行って連絡を取れ」
「オーケー」
「あと学校に着いたら
駐輪場周辺に俯いて本を読んでる奴がいる、
ソイツに今使っているスマホを渡せ」
「わかった、他には?」
「スマホ渡す時は馴れ馴れしくしろ
できるな?」
「あいよ。じゃ、また後でな」
鼻歌を歌いながら自転車から降りると
入り口の側にそれらしき人物がいる。
一貴は近寄ってスマホを渡した。
「あ!いたいた!あの時ありがとなー!
ほい、借りてたスマホ」
「気にすんなよ、困ったらお互い様よ!
(ケッ!…妙に嫌な野郎だな)」
スマホを渡した後は軽快に走り去っていった。
スマホの受け取り人はその場から去ると
ある違和感を感じる。演技臭さというか、
底知れぬ何かをスマホと一緒に受け取った気分だ。
「(このスマホ…何か変だな?
もしくは外部と連絡でも取ってるしか…)」
パスコードを解析する為には
当然、本人が設定したコードを解析するしかない
しかし
「(ゴッド・パズル)。俺は数学ありきの
パズルゲームが大好きなんだよっ」
暗号をパズルゲームに変える魔法で
難なく開かれてしまい中を確認されてしまった。
「…!やられた!
おい、もしもし!?聞こえるか!
クソっ!協力者は裏切り前提だったって訳だ!
"着歴の名前が全部非通知になってやがる"!
詰まるところ外部にバレてしまった!」
一方の黒男は
黒塗りの高級車から降りるとバスに乗った。
「(さてと、支給品は来てるかな)」
6駅去る頃には次の動きのプランを練り終えた。
黒男は最近考え事をしていると、
どうしても何を行動に移すも必ず野上を意識
するようになっている。なんなら田んぼ道での
追いかけっこでも天馬に跨った二人すら
頭に浮かび上がる。
黒男にはミッションが課せられていた。
そのミッションを与えられていたのは100人中
5名。その中には鬼島も含まれていたが、
黒男は最初に仕掛けた一人となった。
そのミッションの内容こそ、一貴達が通う高校
をターゲットに完全犯罪を遂行せよ。
と言った物だった。
ちなみに空爆を起こした後様々な場所で
金属類が消失したようだが納品のために
他の協力者と回収したようだ。
「(まさかオレがねぇ、こんな風にしくじるとは。
優美が泣いちまうな…まあまあ、昔の話か)」
胸から下げた懐中時計には妻とのツーショット
写真が貼られている。
バスが終点に着いた。
黒男が降りると指定の場所には支給品が
届いていた。
その場を立ち去ろうとしたその時
夏颯が吹き抜ける。
後ろはまるでトンネルの中
バスターミナルの中だから無理もないが
そこまで不気味な味を示す必要もない
ただひたすら突き刺すように冷たい風が
………!
ヒュルリと吹いた
「ご機嫌よう黒い旦那。
"運営は無事に騙されたようだな"」
赤いスーツのハイカラな男が何処からともなく
現れた
「"フェニックス"…心臓に悪いから
そうやって挨拶するのはよさないか」
「クックック…"レイブン"こそなんだ、
あんな怪演ができるとは聞いてないぞ」
「抜かせ…誰があんな見っともない声を…」
突然遠くで何処から叫び声を上げた。
フェニックスと呼ばれる人物はどうやら
追われているようだ。
「よし…流石は死なずの男
後は羽を散らし逃げるだけだ」
「フハハっ!さらばだ運営諸君!
君たち如きが我らを捕らえられるかな!?」
その日の夕方ニュースで、
謎の巨大な飛行物の発見が報道された事は
誰にも知られなかったようだ。
閲覧頂きありがとうございます!
さて、登場人物の大まかな組織図が解明していきました
一貴達の高校組と黒男の謎のゲーム参加者集団。
そして鬼島と勝が暗躍する暴走族。騒動の結末やいかに!?




