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第1話 「プリファール・マークス」

〜プリファール・マークス〜

…まずはじめに魔法を使いこなしたいのであれば、

この魔術を会得し、魔素を魔法に変えなければならない。


…使い方は簡単だ。まずは魔法を使いたいと

思い込み、体の何処からそれを抽出するのかを

決める。後は結果を要求すれば魔法は自ずと

答えてくれる。これぞ、基礎魔法「プリファール・

マークス」要は魔法の力を信じて魔素を操るのだ。


…応用することができるようになれば、

生活に困ることは無い。

重要なのはイメージする力だ。

爽やかな風が吹き抜ける皐月の季節。

掛け布団を振り払ったみっともない寝相で

今日も寝坊しそうな少年がいる。


一貴(かずき)ー!遅刻するよー!」

「ふわぁ…はーいはい、今起きるよー」


筑前一貴(ちくぜんかずき)は絵描きが好きな

男子高校生。ノートに図を書く時や数学の公式、

国語の古典でわからづらいところは漫画を描いて

わかりやすくするのが得意だ。

いつも気だるけでボーっとしているが、

クラスで浮いてるわけでもない。


自室を出てフラフラしながら階段を降りて

朝自宅を始めていく。キッチンからは朝食の

ハムの香りが漂っている。


テレビのニュースは今日も政治の話ばかり

言及している。恋愛報道とトレンドの話で

さすがに飽きていた頃だ。


「では、次のニュースです。

政府は本日、(魔法運用の国営化)を発表

しました。総理によりますと…」

「あーあー、やめやめ。こんなニュース

聞く為に勉強してるんじゃねえってのに」

「喋る暇あったら口動かす!

 昨日も電車の時間ギリギリだったくせに」

「へーへー…」


出勤済みの父の後を追うように登校開始。

駅まで徒歩だ。改札を抜ければ友達が待っている


「おはよー」「うぃーっす」

「一貴さぁ…今朝ディスカ見た?」

「見てねーよ、まーた歌い手がヘマしたとか?」

「違う違う!これなんだけどさ…」


ここでいう(ディスカ)というのは

掲示板呟きアプリの事だ。

正式名称forum for discussionで

(討論の場)という意味になる。

若者の間では通なアプリツールだ。

部屋を立てる際に何かワードを打つが、

そのワードが検索に引っかかるタグとなり、

多くの人がコメントすればバズったことになる。


最近では、モンバトというゲームが

トレンドで一位を取って課金アイテムを

プレゼントしてくれた。それくらい影響力が

強いのである。


友達が見せてくれたスマホの画面には

こう書かれてあった。

「バーガーキャッスル、超人気メニュー販売終了」


「はあ!?ふっざんけんなよバーキャス!

 週末の楽しみ終わらせんなっての!?」

「一貴、声、声。おさえよーや。」

「あ…わりぃ…」

周りの人が変な目でこちら見つめる。


何やかんや話していると電車が来た。

7駅分乗るので同時に他の友達や他人で

ごった返す。おしくらまんじゅうになる頃には

下車駅に到着だ。


「ぶはぁっ…あー、マジでしんど。」

「はよ卒業してーわなー。お前卒業したら

 車と飛行の免許、どっち先に取るよ。」

「飛行にきまってんだろ、

 滑空した方が融通が利きやすい!」

「だよねぇ」


この世界の通勤の仕方はほうきや専用の

魔導アイテムで滑空する方法も存在する。

一応、車も存在するがあまり人気ではない。

いずれも飲酒運転だけは禁止だ。


そして何より飛行するには免許が必要だ。

空の上でも公務員は日々パトロールを行う。

無免許で捕まる未成年は数多く存在しており、

中には追いかけ合いをする者もいる。


電車から降りて改札を抜けるといよいよ

学校だ。駅近なので融通が利きやすい。


「おはよー」「おはー」

様々な挨拶の声が交わり合う。

教室に着いたら友達と朝の打ち合わせ雑談だ。


「そーいや、今日の一限魔術に変更だろ?」

「あ、やべっ、忘れてたわ。教科書見して!」

「100円になりまーすw」

「クソがwほらよw」

「まいど!」


一貴は置き勉ばかりしているので忘れ物は

基本0だ。代わりに宿題のノートは友人に頼む。


ホームルームが終わると一限担当の先生が

入ってきた。


「おはよー!今日は一限から変更だからな!

 席付けよー!」


ホームルーム後の準備時間を終えて、

先生が号令を掛けるといつも通りに授業が

始まった。


「よし、じゃあみんなも高校生になって1ヶ月

が経つが…学校生活にはもう慣れただろう!

そこで本格的にカリキュラムが始まるが、

当然!魔術科は副教科の中でも特に重要だ。」

「せんせー、最初は何を会得するんですかー?」

「最初にマスターしてもらうのは(プリファール)

これをやってもらうぞ。正式にはプリファール・

マークス、それぞれ"備える"と"得点"という

意味の単語だ。覚えとけよ!」


例えばテレビの電源を付けたいけどリモコンまで

手が届かない。こう言った時に使う魔術だ。

テレビに向かって意識を集中し、あとは

電源を入れろという命令を指パッチンなとで

行うと電源が付く…そんな基礎魔法だ。


つまり習う習わないとかいうレベルではなく。

一般常識の範疇なのである。


一同はザワついた。

小学生はおろか、5歳になればほぼ全ての人間は

魔法が使えるというのに今更最低レベルの基礎を

習うのである。しかも準備魔法だ。


「マジで?」「冗談だろw」

「せんせー、ここ高校っすよーwww」


やはり、と言いたげな顔をして一言。

「はいはい!私語はそこまで!

じゃあ目の前にある自分のノートかペンを

浮かせてみろ!」


各生徒は各々の私物を浮かせる。

教室中を漂うペンやノート。たまに漫画。

「オイ!漫画は没収だ!」

「げえ!?おめーやったな!?」

「俺じゃねーよ!?」


そこからはもうめちゃくちゃだった。

シャーペンやカラーペンを飛ばしあったり、

ノートを盾にしては定規でチャンバラごっこが

始まってしまった。


「………!!!良い加減しろ!!!!!

そこまで言うなら(プリファール)の真髄を

見せてやる!全員校庭に出ろ!5分でだ!!!」


生徒は渋々お互いを愚痴りあいながら外に出た。

時期に先生もやって来る。


「…お前達には知っておく必要がある。

なぜ、幼少期から魔法が使えるのに

高校生にならないと授業が受けられないのか。」

「サッカーゴールでも浮かすんですかー?」

「サッカーゴールを浮かしてどうする。

力を見せるだけではお前達は満足しないだろう?」


先生は授業で使うサッカーボールを軽く浮かすと

火球に変えた。


「(プリファール)はいわば…授業を受ける為の

準備みたいなものだ。卓上にペンやノートを

おいて無地のページを開く。その過程そのものだ。」


火球はゆっくりと空へ昇るうちにプロミネンスを

纏い始める。中心に黒点ができる頃には周囲の

温度は50度近くなっていた。それに伴い直径も

ガスタンクぐらいの大きさに膨れ上がる。


地鳴りがゴゴゴと鳴り響き、辺りが赤く燃え染まる。

穏やかだった校庭は姿を消し、世界の終わりが姿を現した。


「お、おい…まさか先生怒った勢いで

 俺達を消し炭にするんじゃ…」


生徒の一人は腰を抜かし、また一人は空いた

口が塞がらない、当然だ。あまねく照らし、

普遍にして絶対の存在、それこそが太陽の概念

であり常識だ。生徒の感想を一言でいうなら

「ありえない」だ。


「どうだ、準備を怠る者はただ恐れ慄くことしか

 許されない。船波(ふなみ)!どうしてこんな事をいうかわかるか!」

「お、押忍!物事の善悪がわかる年を

 超えたからであります!」

「その通りだ。そしてここは自衛隊じゃないぞ。」

緊張で顔が引き攣っているのは船波修多(ふなみ しゅうた)だ。


とはいえ魔術で偽物の太陽を作られれば

誰だった震え上がるものだ。対抗策があるなら

話は別だがあれ程のスケールの物を防げる

知識は持っていない。


「…とにかく、魔術が危険な物である事や

基礎の重要性がわかったのなら良し!」

「…ところで司令官、その太陽はどうします?」

「先生だ!そしてこれはこうだ。」


先生が集中力を高めると太陽は小さくなり

やがてボールに戻った。


「ほれ、パス!」「うおわ!?…熱くねえや。」


太陽をパスされた気分だから生きた心地は

するはずも無い。授業終了を告げるチャイムの

音にすらビクついた生徒達だった。

閲覧いただきありがとうございます!

「ミスティ・コレクション」。

新しく書き始めた作品をどうぞよろしく!

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