第13話 「アズリエル・サイン」
〜アズリエル・サイン〜
死を体験させる魔法、
それがこのアズリエル・サインだ。
確実に仮死状態を味わせるので、
危険な禁断魔導として扱われている。
闇の思念をドロドロのダークマターに変えて
相手に射出したのち、契約魔法で死に至らしめる。
相手が奈落へ落ちたら完成だ。
当然だが、特別な免許が無い限りこの魔法を
公に使うことは禁じられている。
本物の黄泉の国とは一体どういう場所なのか、
体感者しかわからない
一貴達が歩みを進めると玄関が見えた。
右も左も通行止めなので外を伝って体育館に向かう。
すると今度は頭上を武器に空を切り裂く音が
する。爆弾が校庭と体育館を目掛けて降ってきた
ズドオオオンンン!!!
「うおわあああ!!!」「ぐばっ…!」
「うううっっ!!?」「ううっ………!」
「先輩!女の子は!?」
「無事だ!3人とも大丈夫か!」
しかしタイミングが悪い。
なんと今の衝撃で女の子は目を覚ましてしまい
しかも親が逃げ込んだらしき体育館が
半壊して燃え上がってしまった。
女の子はショックで気を失ってしまう。
体育館からは悲鳴が上がり始めた。
「カズ…どうするよ!?」
「いや俺にきいてどうすんのよ!w」
「そういえば黒男は何か言ってなかった?
ほら…上に逃げるんだって…」
上に逃げると言われても校舎はほぼ崩壊している。
「上か…あ、そうだ学校の敷地内で
一番高い場所ってたしか…!」
「そういうことかえ!?
まあ確かに(裏山)はいっちゃん高え場所に
あるけどさあ…」
急いで正面玄関から外に出て燃え盛る校舎を
横切り裏山への道を走り抜ける。
火の手の側の通路から偶然に
野上と遥秋が降りてきた。山道らしき道からだ。
「お!?筑前、丘咲、福吉!?
お前ら無事だったのか!?」
「宮前くん!よかった…無事だったんですね!」
先生の顔が綻んだ。山道を登った焼却場で
作戦を練っていたところだ。
「ん…後ろの子は?」
「あ、あー…実はその…」
事情を説明して相談に乗ったが住んでいる世界が
全く違う時代の人間。こちらが手を出すと
タイムパラドクスでも起こりそうだと断定。
仕方が無いので簡易な寝床を作り
手紙と少しの携帯食料を置いてその場を
去ることにした。
「…無事でいてくれよ
あの魔法さえあればなんとかなるわけだし」
「ん?筑前は何か魔法でも教えたのか?」
「プリファールだけだよ…
せんせみたいに太陽なんて出せないし」
「ほお…筑前も成長したもんだな!」
「一貴がいなければ自分ら全滅でしたので」
「お、おう…(え?ホント?)」
校舎が爆撃で壊れたことで警察部隊も撤退。
結界魔法を破るために全員で魔力を集中させて
穴をこじ開けた。
「…と、この様に基礎攻撃魔法には先程使った
(ダブル・ベール)(カース・エッジ)(レジ・ボルト)が有効打となる。テストに出るから覚えてろ」
「こんなとこまで来て授業かよ!?」
その場は解散して一日の学校閉鎖の延期を
図り、明日はお休みとなった。
「さて、と。遥秋先生、私は用事があるのでこれで」
「わかりました。帰り道は気をつけて」
野上はどうやら用事があるらしい。
一方、それを見ていた集団がいた。
和田と知らない男達が数名。
道端にはバイクが止まっており屯している。
「ケッ!魔法使いごっこのガキ共が…
流石にくたばった思ってたが」
「勝、わかっているだろうな
例え俺らのチームに入るにしても
実力の無えヤツは要らんぞ」
「わーってますよ旦那。
あ、今日はもう帰りますんで」
「忘れるなよ。お前は鍵だ…
中に入れるのはお前だけしかいない」
「金は受け取ってますんで
仕事はきっちりしますよ」
そういうとスマホで誰かに連絡を送ると
バイクを飛ばして帰って行った。
「クックック…!さあて、高校生なら
どれくらいポイントが加算されるかねえ!
なあお前ら!!!」
「鬼島さんヤバすぎますよwww
確かに報酬の為とはいえ母校の生徒生け捕りとか
ハンパねえwwwヒヒヒッ!!!」
「女子生徒から掻っ攫うってのも
ポイント高いっすわあwww」
「うるせえぞ!…いいか、確かに親玉が
何考えてるかは知らねえがこっちもこっちで
外車とか工場を貰えるんなら話は別だ!!!
絶対に…成功させるんだよ…!」
鬼島の目がギラリと輝く
何かしらの野望があるようだ。
「リーダー!時間迫ってます!
平尾台までの道、だいぶ混みそうなんで
そろそろいきましょうや!」
「よし…なら行くぞお前ら
どんな外道に成り下がろうと
俺らの誇りだけは傷つかせねえ」
「ヒッヒッヒ…まあたしかに
こうなったのも元を辿れば"政府"がわりいや」
一斉に10数台ものバイクが轟音をならし
走り出して行った。
先に帰った勝は葛藤していた。
鬼島は憧れの先輩だ
何より、退屈な世界に"車"という刺激を与えて
くれたのは紛れもないあの人だ。
あの人すら、政府には逆らえない。
学校はそんな政府の犬同様だったからか
なおさら気に入らない。
「ケッ…何が魔術科だ。
俺は…魔法ってのが大っ嫌いなんだよ畜生が!!!」
学校の付近にはよく部活で使われる山がある。
その中堅の広場に野上は集合を掛けられた。
呼びかけたのは勝だった。
勝は気に入らなかった。
自分は規律ばかり重んじるくせに筑前を調査に
認めて同伴。更には全員無事だったことが
ますます気にいらなかった。
野上がダウンした頃か、偶然タイミングよく
メールを送信する。それを野上が確認したのは
昼ごはんを食べてる最中だった。
「ヒヒヒッ…合図と一緒に俺が門を開ければ
仲間が全員で学校を押し寄せる。
その瞬間に力のよえー女子から狙って…」
「言っておくが和田、生徒に手を出すなら
お前も問答無用で相応の対応をするぞ」
「なっ…!」
背後には野上の姿があった。
「てめえ…!盗み聞きかよ!」
「盗み聞きされて困る話題なら
その態度も頷けるな。」
「上等だよ…肉なり焼くなり好きにすればいい。
なんなら"殺してみろよ"!じゃなきゃアンタの
大事な生徒は生け贄さ!」
野上はブチギレた。
「随分と舐めた口を聞くんだな。
ならばお前が最初の被害者になれば良い」
「は?」
野上が右手に死を彷彿とさせる黒い魔素を貯める。
塊はドス黒く、そしてドロドロに溶けて魔法陣を
描き、野上に暗黒の祝福を授ける。
その瞬間に勝は悟った。
アレはヤバい。人間が使って良い魔法じゃない。
しかし時すでに遅し、漆黒の塊が放たれると
逃げた勝を捉える。足元には円状に闇が展開され
ずもずもと勝の体を貶める。
野上が契約魔術をかけると赫い文字で
空中に文節が出てくる。
「(アズリエル・サイン)」
「クソがっ!離せよ!
うっ…うう…ううううわああああ!!!!!」
1秒が経つと穴の中から勝の物と思わしき
悲鳴が上がる。5秒が経過するまで延々と
とてつもない悲鳴を上げ続けた。
「リンゲージ!」
指パッチンで深い闇から勝が吐き出される。
声を掛けても反応が無くただ怯えていた。
廃人化してしまったのだ。
「わかったのなら、馬鹿なマネは辞めろ。
連れ去られた人間が殺されたらこれだけでは済まない」
閲覧いただきありがとうございます!
勝の家系はみんなが魔法に強く、親父さんは
国家公務員になっています。
言ってしまうなら…
家族は基本顔を合わせてくれません。
期待やプレッシャーから逃げた先で出会ったのが
鬼島率いる暴走族です




