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ロード王国第五軍

私は忙しいながらも淡々と学校生活を過ごしていった。

1年半が過ぎた。

ロード王国高等学校の卒業だ。

私はA組の1位は卒業まで譲らなかった。

有力貴族とのパイプを持つようにもなった。

社交界では流行の発信源になっている。

卒業後はアイヴィーの商会であるハマス商会で副会頭になる予定だ。


今年からロード王国高等学校に入学すると思っていたアイヴィーだが、騎士団と宮廷魔導師になると言い出した。

両方は無理でしょ!

聞いた時はそう思った。


まずアイヴィーは騎士団に入団した。

圧倒的な力を見せつけて一ヶ月で辞めてしまった。

次に宮廷魔導師の試験を受けに行く。

これも史上最高の成績で合格。

その後、魔法の力量をこれでもかというくらい見せつけて一ヶ月で辞めてしまう。

騎士団も宮廷魔導師団も焦ってしまった。

このアイヴィーの行動は王国中を巻き込んだ騒ぎになってしまう。

ロード王国は、現在エクス帝国と緊張感が高まっている状態だ。

アイヴィーの戦闘能力を国として使えないのは問題になる。

アイヴィーは既に今までの人脈や金の力を使って政治工作を終えていた。

アイヴィーのためだけの王家直轄の戦闘集団であるロード王国第五軍を設立する事になった。

軍団長はアイヴィーである。

ロード王国の軍隊は第一軍から第四軍まで組織されている。

アイヴィーのためだけに軍組織を増やしてしまった。

ロード王国第五軍は特別な戦闘集団である。

ロード王国第五軍へはアイヴィー自ら隊員を勧誘して増やす事が許可されている。

私はロード王国第五軍の副軍団長に任命された。

早速、アイヴィーは有力な騎士と魔導師を勧誘していく。

新しく10名の幹部に15名の隊長、75名の隊員。

アイヴィーと私を入れて、総勢102名の軍隊になった。

他の軍団は3〜5万いるというのに第五軍は102名である。

軍団というより中隊規模である。

アイヴィーは幹部か隊長1人に隊員を3人の4人のチームを作った。

ロード王国第五軍は王都ダンジョンでの訓練を実施する事になった。

アイヴィーは王都ダンジョンをどんどん進んでいく。

10階層を抜けた辺りでは隊員にもまだ余裕の表情が見えていた。

隊員は魔法石に次々と自分の魔力を登録していく。


11階層からはオークの上位種が出てくる。少し腰が引けている隊員達。冒険者でもここまでくるのは1%くらいだ。

アイヴィーは気にせずダンジョンの奥に進んでいく。

1日目は16階層の魔法石で帰還した。


次の日は16階層からである。オーガが出現するようになり、隊員達は無口になっている。

気にせずダンジョンの奥に進むアイヴィー。

たまに後ろから出現するオーガは私が倒している。

1人の隊員が私に声をかける。


「軍団長はどこまで行くつもりなんでしょうか?」


泣きそうな顔をしている。

こんなところで置いていかれたら間違いなく死が待っているからだろう。


「さぁ?でもアイヴィーの事だから、しっかりと考えていると思うわ。ほら先に進んでね」


慰めにもならない言葉をかけて隊員を先に進ませる。

20階層のオーガ亜種を見た隊員は恐慌に陥った。

魔力球であっさり倒すアイヴィー。


「落ち着けよ。やっとこれでお前らの能力強化ができるようになったんだからな。まずは21階層の魔力石に自分の魔力を登録してこい」


隊員達はガクガク震えながら21階層の魔法石に自分の魔力を登録しにいく。


「整列!」


アイヴィーの声が響き渡る。

慌てたように動き出す隊員たち。


「これより貴様らの訓練を始める!4人1組でついてこい!」


先頭のチームがアイヴィーについていく。

オーガが3体現れる。

アイヴィーが素早くオーガに近寄り、両手足を斬り落とす。


「おーい!早くトドメを刺しにこい!」


転がるオーガの前から呼ぶアイヴィー。

おっかなびっくりで転がるオーガに近寄っていく隊員。

それでも隊員達はオーガの顔に剣を突き刺していく。

時間はかかったがオーガのトドメを刺す事ができた。


「それでは二手に別れるぞ!俺の他にエルシーに付いていけ!」


私にも付いてくる隊員。

オーガが出現したため、私もアイヴィーのように両手足を切断する。


「早く、来て下さい!」


必死にオーガにトドメを差す隊員を横目に次の獲物を探す。

次々とオーガを転がしていく。

それにトドメを刺す隊員。


これは訓練と言えるのかしら?

オーガの手足を斬りながら私は考えていた。

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