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18話

 ストックを補充するとか言っておいてこの体たらく、本当に申し訳ないと思ってます。

…というか今回もストック無いので毎日投稿復活は無理っぽいです、書き上がり次第投稿していきますね。

「うわぁ! ? 」


 突破口が見えたのも束の間、髪が数人の兵士に絡新宿持ち上げ、お互いに体をぶつけ合わせて粉々に砕き、更に舞い落ちる金属片の中に混ざった球体に髪が絡みついてその球体を引き裂いていく。

 核と思しき部位を潰された兵士達だったが、いい加減彼らも学習しており、飛び散った破片を集めて新たな核を作り出して居た為、事なきを得る。

 引き裂かれた兵士はそのまま液体のように床を這いずって、無事な兵士は己の足で跳躍し、四方八方から攻撃を仕掛ける。

 無慈悲な髪の槍が兵士達を撃ち落とし標本のように床に縫い付けるが、兵士達は怯まずに無謀にすら見える突貫を繰り返す。


「なるほど…髪1本1本の耐久性は大して高く無いか…! 」


 指先から放った光線が弾かれながらも髪の一部を焼いたのを見て1号が笑みを浮かべた。

 分析の結果を活かすべく、今度は腕を枝分かれさせて発射口を増やし、大量の光線を浴びせかける。

 光線は予想通り薄く広がった髪の盾を焦がしていたが、貫通には至らず他の兵士への攻撃を妨げる事にすら繋がらない。


「悪いがソイツは目くらましだ! 」


 しかし、本来の目的である1号の姿を隠す事、そして盾の耐久性を下げる事という本来の目的は達していた。

 髪の盾を突き破り、突如アーゼムの前に姿を現したソレは8号と戦った時に見た高速飛行形態とよく似た姿の1号だった。

 違う所は2つ、表面に溝がついている事、そして前への推進力の他に回転を加えていた事である。

 早い話が彼は全身をドリルへと変えて盾を削り壊したのだ。

 1号はそのまま勢いの落ちたドリル形態を捨てて足と1本のブレードのみを生やす最低限の変形を経て、先程削り抜いた盾を蹴飛ばして加速し、ブレードでアーゼムの腕に切りつける。


「これは…硬いっ…! 」


 直前のミアの予想に反し、鋼鉄程度なら泥のように切り裂くブレードはアーゼムの皮膚すら貫かない。

 それどころか衝撃に耐えかね、折れ飛んで後方の床に突き刺さる。

 そうして無防備になった1号の胴にアーゼムがその身を翻して放った渾身の蹴りが叩き込まれ、1号は人形のように吹っ飛んで直線上にあった髪の壁へと叩きつけられる。


「驚いたな…まさか()()()()で仕込んでいたとは…」


 呟く1号の目線の先には先程使用した腕と脚の一部を輝かせるアーゼムの姿があった。

 その一部とは即ち血管、ナナシが体構造の模倣の為に作ったソレに戦闘用の陣を紛れ込ませていたのだ。


「ちょっ…先輩吹っ飛ばされてますけど? 話が違くないですか? 」


「いやぁ、アレくらいは想定済みですよぉ…その上で問題ないって言ってるんです。

 ほら、見てみて下さい」


 ミアを護りながら騒ぐ6号を鎮めるべく、ミアは先程1号を吹っ飛ばしたアーゼムの方へと指を指した。


「ほら、もう光が消えています。

 あの光が陣の形であった以上、アレを使って自己強化を行っている事は明白、つまり光が消えている間は生身の人間とそう変わらない強度しか持ち合わせていない筈なのですよ」


「つまり強化の隙間を付けばいい、って事ですか」


 天井から再度アーゼムへと飛びかかる1号を眺めながら6号が言う。


「いや、違いますよ?

 普段ならまだしも戦闘に入ってからも断続的にしかアレを使ってないって事は燃費が相当悪いと見て良いはずなので息切れを待つんですよ」


「あ、そうですか…」


 戦場に居るとは思えない2人の間延びした会話とは裏腹に、2つの戦いはいよいよ加熱していた。


「クソッ…コイツもう慣れてやがる! 」


 吐き捨てるように呟いた12号の顔の一部が抉れ飛ぶ。

 殴られた訳では無い、アーゼムはただ拳が最高速に達する瞬間を”万物破断”の直前に設定しただけである。

 しかし”それだけ”が引き起こしたのは、敵を殴り倒す事を目的としていた頃には出ていなかった凄まじい突風。

 所詮剣である”万物破断”に、切られても構わない遠距離攻撃を防ぐ術は無い。

 この突風こそが先程から12号の体を削り取っていたのだ。


「12号くーん、応援要りますぅ? 」


「要らん! 」


 間延びした緊張感の無い声にイラついたのか、一応上司であるミアに目も向けずに12号は再度構える。


「ま、でしょうねぇ」


 アーゼムが再び拳を振りかぶるのを眺めながらミアは少し口角を持ち上げた。

 おおよそ拳が立てる音とは思えない音を立てながら迫る拳を、今度は12号が()()

 剣閃。

 アーゼムの伸びきった腕に一筋の傷が走る。


「浅いかっ…! 」


「…大振りは危険、か」


 両者の技量の差がここで大きく現れる。

 細胞魔道具を破壊するとなればいかにアーゼムでも攻撃は大振りになる、そして技量の乏しい彼の大振りは狙う先があまりにわかりやす過ぎたのだ。

 ならばフェイントを…と言ってもそれこそ技量が足りず、そうこうしている間に少し、また少しと体が傷だらけになっていく。

 魔道具とは精巧にできていればいるほどいかなる部分も無駄にする事なく陣が刻まれ、そして相互に強く複雑に作用する物だ。

 それは裏を返せばどこを切られても能力が少しずつ落ちていくという事。

 その原則には魔道兵…つまりどこまで行っても魔道具であるアーゼムもまた従う事になる。

 アーゼムの能力は加速度的に落ちていき、両者の拮抗はいよいよ確実な物となっていく。


「そらそらっ! 次はどうするデク人形っ! このままじゃどうにもなりゃしねぇぞ! 」


「生憎私の材料に木材は使われていない」


 敵の煽りに相も変わらず平坦な声で応えるアーゼムだが、その動きは最初と比べて明らかに重い。

 戦局は間違いなくミア達の側に傾いていた。

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