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16話

お待たせしました…思ったより時間かかってしまった…。

(私はストック作成を放り投げて大神に夢中になっていましたという札を首から提げている)

「えーっと…私の聞き間違いで? 」


 自身を貫く髪を熱を発する魔道具で焼きつつ、自身もまた飛来した別の髪の束に腕を持っていかれながら6号は問いかけた。


「そうですねぇ、鹵獲と聞こえたなら多分聞き間違いですよぉ?

 私はただあの魔道兵体の一部が大きめに欲しいなぁ、と言っただけなので…ね? 」


「ね、じゃないですけどぉ! ? この惨憺たる状況をわかって言ってるんですか! ? 」


 確かに6号の言葉通り戦況は一目瞭然、兵士たちの中に一瞬でも五体が無事な個体は殆ど存在せず、唯一無事なのは人質として捕まえていた3人を相手している兵士だけである。

 しかしその兵士もまた支援端末の張る強固な結界と常に対策用の魔道具を作動させ続けなくてはならない厄介な妨害には手を焼いているようで、旗色が良いとはとても言えない。


「貴女の方こそわかってないですね…こんな素晴らしい作品を前にして解析や奪取を試みない方が失礼だと思いませんか? 」


「そんな理由で張らされる我々の命に対しては失礼って感情は無いんですか! ? 」


「そんな理由とは失敬な! これは決して私の知的好奇心の為などではないんですよ?

 ナナシ博士の魔道兵に使われている陣には未知の陣も多い、解析できれば大幅な魔法技術の発展にも繋がります…つまり私はアラベルタの発展の為に動いているのですよぉ。

 ええ! 本当です! 」


 白々しいミアの主張に合わせるかのように、ちょうど外側の方のアーゼムに殴られた兵士が2人ほどまとめて宙を舞い、天井に張り付く。


「だからってここから逆転できる訳ないと思いません? 」


「や、逆転する必要は無いんです、ただ部品をもぎ取れば良いだけなんで…とは言えまあ貴女の言う事ももっともですね、では撤退の条件を決めましょう。

 まあ差し当たっては…」


 ミアは言葉の途中で腕を砲身へと変化させ、弾丸を12号の体へ幾らか撃ち込む。


「彼がもう一度倒れたら、という事でどうです? 」


「…どの道作戦司令の言う事には逆らいませんよー…っと。

 そういう訳なんでなるべく早く倒れて貰って良いですかー? 」


 返答より先に風を斬る音が辺りに響き、その音の源に断ち切られた髪が宙に舞う。

 先程までミアの護衛についた6号以外が必死に防衛していた”万物破断”が振るわれたのだ。


「酷い応援もあったもんだな…いや、そもそも応援でも無いのか?

 まあともかく…」


 この場で最も危険な相手の再来に反応したアーゼムが髪を伸ばして全方位から攻撃を仕掛け、外側の方も腕を振り上げながら猛然と突撃を仕掛ける。

 この場にあるどんな盾でも防ぎきれない一撃、それが再度12号に向けて降りかかり…


「生憎希望には添えなさそうだ」


 ピタリ、と停止した。

 手刀を振り下ろすべき相手にもう少しで命中、というところでその腕は止まってしまった。

 無論彼が怖気付いた訳では無い、ただ気づいたのだ。


「わかってきたぞ、コイツの使い方…! 」


 アーゼムの手刀と12号自身との間に滑り込まされた剣に危うく腕を断ち割られかけていた事を。

 止められた攻撃はスッパリと諦めて今度は蹴りを放ったアーゼムだが、12号は剣を構えた腕ごと体表を滑らせる形で再度割り込み、またも止める。

 相手の意図に気づいたアーゼムが今度は両腕で挟み込むように手刀を繰り出すが、12号は片方を剣で止め、もう片方を回避する事で対応する。


「へぇー、こんな使い方あったんですねぇ。

 これなら私の要望に応えるってのもあながち不可能じゃないかも知れませんよぉ? 」


 そう、”なんでも切れる剣”というのは無論攻撃にも使えるが、近接戦闘においてその本質は寧ろ防御にある。

 12号がやったように相手の攻撃の軌道上に置くだけでどんな強力な敵も攻撃を中段せざるを得ず、ならばと同時攻撃を行っても人の形を取っている以上、止められない方の攻撃が来る方向を予想する事も容易、という点に於いて”なんでも切れる剣”はあらゆる盾に勝るのだ。

 よしんば切られながら殴りつけてくる敵が居たとして彼の体は核を傷つけられない限り再生可能、一撃貰った程度で相手の四肢や得物を奪えるなら安い物だ。


「…不可能だと思ってたらしい事については後で伺うとして、アレじゃただの時間稼ぎでしかなくないですか?

 攻撃を凌いでるだけですし、躱し損ねたり他の人達が髪の攻撃を抑え切れなくなって12号さんにあたったりしたらそこで終わりじゃないですか」


「6号は本当に物わかりが悪いですねぇ…あっちは時間稼ぎで良いんですよ」


 その言葉の通りミアの目はもう外側の方から離れ、未だ大量の髪を操って3人を除いたすべての兵士を相手している内側の方へと移っていた。

 更に厳密に言えば彼女の視線はいつの間にやら塞がっていた”万物破断”でつけられた傷跡と、そこから流れ出していた血の跡へと注がれている。


「え、でも遺物はあっちの方にありますし、それじゃ攻撃が通らないんじゃ…」


「6号、考えてみて下さいよぉ。

 あの敵は王女殿下を完璧に模倣した相手…これは推測の域を出ませんが、当時の幼児の姿から態々今の王女殿下ならこんな姿だろう、という姿にまで()()すらできる程の模倣の仕方ですよ?

 その上アレは血を流しています、怪我をするような目にあった時、血が流れないのは不自然だと考えたからでしょう。

 それならとーぜん…」


 兵士の1人が撃った弾丸が囮魔道兵の頬を掠め、そこから()()()()()()


「刃物を腕に叩きつけられて、ちぎれない腕なんか人間として不自然に決まってますよねぇ? 」

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