サイコロファイター~優柔不断を極めた男はサイコロで攻撃を決めることを極めた男~
リハビリ作品九作目。
「第3回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品の為、1000文字以内の超短編です。
優柔不断なコロという同級生が昔いた。
今、彼はなんでもサイコロで決めていた。
「1が出たので助けることにしました!」
「なぁんでぇえ!?」
経緯を話そう。
私、ダイスはとある事情でヤバい奴らに命を狙われていた。
そのボス、『サイ』に追い詰められた時、偶然コロと遭遇。
助けを求める。サイコロコロコロ。出目、一。助けてくれる。
以上、ダイジェスト。
「にしても、久しぶりだなあ、コロ」
「え? 知り合い?」
「兄さんっす」
「はああ!?」
「それにしても、お前今も俺の教えた通りサイコロで全部決めてるのな」
「原因お前かああ!」
「あの頃は楽しかったなあ、サイコロ振ってるお前を殴って、出目見てるお前を殴って、分かり切った攻撃を躱して殴って」
コイツ、悪趣味すぎる……!
「コロ、振るの待っててやるよ!」
「あざっす!」
コロは無邪気にサイコロを振る。
その瞬間、サイが襲い掛かった。
「ひ、卑怯者!」
「振るのを待っててやっただろ」
「そんな!」
「大丈夫っす! 賽の目を見る為には攻撃を躱す敏捷性が必要なんて当たり前っす!」
そう言いながらコロは、サイの攻撃を避け続ける。
「「はあ!?」」
サイと私の声が重なる。
「そして! 目を確認する瞬間、一番無防備っす!」
「いや、弱点教えてる場合!?」
「ばあか! もらったあ!」
コその瞬間を逃さずにサイの拳が突き刺さる。
「なので、どんな攻撃にも耐えられる強靭な肉体が必要っす!」
コロは笑ってサイの一撃をボディで受け止めていた。
「「はああ!?」」
そして、驚く私達を無視してコロは目を読み上げる。
「六っすね! 無敵パーンチ!」
コロの拳を受けたサイは吹っ飛んでいた。
サイは驚いていたが、慌てて取り出した薬を飲み込むと急激に身体が膨れ上がっていき、ニヤリと笑う。
「ブっこロす!!」
サイの嵐のような攻撃にコロは賽を振るのも難しそうだったが、
「このように賽を振るのが難しい時は!」
コロは賽を指ではじき……サイの額にぶつけていた。
「相手に当てることで、振る、見る、攻撃を同時に可能にするっす!」
いや、最初からそうしろよ。
「六っすね! 無敵パーンチ!」
「分かってるンだヨ!」
「分かってても止められない筋力があるっす!」
サイは空を舞った。
戦いは終わった。
「いや~、それにしてもあの時1が出て助けてくれることになってよかった~」
「ん? ああ、そうっすね!」
コロが出目を調整できる繊細な技術まで持っていることを私は後に知ることになる。
最後までお読み下さりありがとうございました。
一〇〇文字バトルは私には難しかった……!
☆評価、感想頂けると嬉しいです。