裏1
あいつは昔から一人だと心細そうだった。
でも、俺が近づいていくと満面の笑みを浮かべる。
そんな、あいつをいつの間にか、俺は好きになっていた。
「琉斗!」
そう名前を呼ばれるだけで嬉しかった。
あいつはBLとかないだろって言っていたから告白はしなかった。
取り敢えず、一緒にいるだけで嬉しかったからな。
そんな、平穏で幸せな毎日がこれからも続くと思っていた。
しかし、車が突っ込んできて引き殺された。
せめて、あいつだけでも!と思ってもただの高校生には無理な話だった。
こんなんで終わるのか、と思ったら続きがあった。
それも、あいつが女の子になって。
本人は嫌そうだったけど俺は嬉しかった。
《血の契約》というものをいて、俺の首筋に葵の花のマークがついたらしい。
結婚してるように思われる上にあいつの所有物ってことは俺には嬉しく思えた。
…言っとくが、俺はMではない!
地上に降りたあとも、吸血鬼の特有の魔法の血の魔法を使ったときの心細そうな顔を浮かべたときは焦った。
俺がそんなんで嫌うはずがないのにな。
街に入ると周りからの視線が凄かった。門番もそうだし、少しの行動が周りを惚れさせていく。
本人は理解してなさそうだが。
もし、この世界であいつを取られたら俺はどうなるんだろうな?
だから、ずっと俺のものであってくれ。
ギルドの外で待っていると、女がよってきた。
俺はあいつ以外に興味が無いんだが。
日本にいるときもそうで、クラスの皆にはばれていたので体のいい恋愛相談を沢山の受けた。
あいつはそれをモテていると勘違いしていたようだが。
まぁ、その様子を見たあいつが、不安そうになってくれて、少し嬉しかった。…少しずれてるだろうけどな。
宿でも、あいつは無防備だった。前よりも更に魅力的になっていることに気づいてないな。
でも、その無防備さを俺の前でさらしてくれるのは俺を信頼できるってことの現れだと思うと嬉しかった。
この世界に来て嬉しいことばっかりだ。
「リュ…ウ…。」
あいつが起きたのかと思って意識を現実に戻す。
布団に近づいて見てみると、寝ていた。
「寝言か。…さぁ、俺も寝るかぁ。」
布団に潜り込むと、すぐに眠気が襲ってきた。
トサ、トサと音がなる。
気になって目を開けるとベットの横にあいつがいた。
「どうしたんだ、アオイ?」
返事はなし。
寝惚けてるのか?
そんなことを考えていると布団の中にはいってきた!
「ちょっ!アオイ!?」
中に入ってきたら俺の胸に頭を乗せた。
「リュ…ウ…、ずっ…と…一緒……に……いて。」
そう言いながら、涙を流していた。
「…アオイ、俺はずっと一緒にいるからさ、安心しろ。」
そう言って、俺は抱き締める。
何の夢を見ているのかは知らないがせめて、幸せな夢になって欲しいと思って。