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「風呂上がったぞ~。」
これからの予定を考えつつ、のんびりしてたら時間はあっという間だった。
リュウに顔を向けると、
…ヤバかった。…色々な意味で。
上半身裸のままで濡れた黒髪が何かエロイ!
「アオイ?どうかしたか?」
「っ!いや、何でもない!」
顔を近付けてくるものだから全力でお風呂に逃げる。
「焦った。
あぁ~、もうどうしたんだ俺!」
ほてった顔をどうにかしようと風呂に入るために服を脱ぐ…はずだった。
「帯が取れねぇ…。」
リュウの前に行かなきゃダメか…。
「リュウ…、あの……、帯をとって欲しいんだが。」
やはり、リュウはまだ上半身裸のままだった。
あぁ~、直視できない!
「…取ってやるから、こっちにこい。」
「っ、あぁ。」
シュルシュルと帯が外れる音だけが部屋に響く。
「取れたぞ。」
「っ!ありがと!」
俺はまた全力でお風呂に逃げる。
「あぁ、もう本当にどうしたんだ俺…。」
お風呂に入りながらのんびりする。
やっぱり体を服越しではなく、生で見ると更に落ち込むな…。しかも、意外に胸があるし。はぁ。
長い髪の毛を苦労しながら洗って出る。
「髪がふけない…。
仕方ない、リュウに頼むか。」
服は《時の間》に入っていた、濃い青の浴衣をきた。
日本での生活は殆ど着流しだったから普通の洋服より慣れている。
さっさと着て、リュウの元に向かう。
リュウは既に上も着ていた。
「リュウ、髪の毛を拭いて欲しい。」
「分かった。タオルは?」
「ほれ。」
タオルを渡すとすぐに俺を椅子に座らせ髪を拭いていく。
「何で俺に頼むんだ?」
「他に人いないし、しょうがないだろ。」
「まぁ、確かに。」
「それに……、信頼できるのリュウだけだし。」
「それに?」
「何でもない。」
「そうか。で、飯はどうする?」
「いらない。寝る。」
眠くなってきた。髪を拭いていく感触が気持ちいい。
「アオイ、まだ寝るな。
せめて、布団で寝ろ。」
「うん。」
返事をしつつも、動かない。
動かないんじゃなくて、動けない。
「はぁ、仕方ねぇ。」
よいしょって聞こえたら、浮く感じがした。
この体制はお姫様だっこかぁ。
更に眠くなっちゃうよ。
ぼすん、と布団に置かれる。
「アオイ、おやすみ。」
「おや…すみ………。」
頭を撫でられる感じがする。
その感触がとても安心できた。