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礼儀試験はすぐに終わった。
冒険者だから、最低限出来れば良いらしい。
なぜ、すぐにBランクになれたかというと、ギルドマスターが引退時にAランクだったからだそうだ。
引退したのもまだ半年前らしくて、ほとんど現役バリバリらしいがそれにリュウが余裕で勝ったかららしい。
ちなみに、俺は今受付嬢の簡単な講習を受けている。
詳しくは明日らしいが、ギルドマスターが急かしたらしい。
受付嬢の服は何でも良いらしくて帽子さえギルドのものを被れば良いらしい。カスタマイズもOKだそうだ。
俺の選んだのは黒のシンプルな帽子だ。
「アオイさん、リュウさんのほうが終わったみたいなので、続きは明日で良いですか?」
「はい。ありがとうございました。
明日から、宜しくお願いします。」
「えぇ、宜しくお願いします。」
挨拶をすませて外に出るとリュウが待っていた。
女子から熱い視線を受けていた。
「アオイ!早く行くぞ!」
リュウが俺に気づいて、声をかけてくるものだから、女子からの視線が痛い。
…視線を独り占め!と、喜べない悲しさが…。
はぁ、気を取り直して。
「何処に行くんだ?」
「『精霊の宿り木』っていう宿が良いんだってさ。
それなりに安いし、ご飯も美味しい、あと安全だって。」
「それは良いな。」
「だろ?聞いてみて良かったぜ。」
「そうだな、でも、誰にきいたんだ?」
「ギルドマスター。」
「そうか。」
聞いた相手が受付嬢じゃないと知って少しほっとした俺がいた。
…何なんだろうな。
「アオイ、早く行こうぜ。」
「そうだな。」
てくてくと歩いていくと大通りに面したところにそれなりに大きい宿があった。
「ここだな。失礼しまーす。」
リュウはどんどんと中に入っていく。
「部屋を借りたいんだが。」
「ああ~、今二人部屋が一つしか空いてなくてねぇ。
それでも良いなら、良いけど。」
「…アオイ、どうする?」
リュウが少し焦ったような顔をしつつ聞いてくる。
何を焦ってるんだろうな?
「別におんなじ部屋で良いけど。」
それを聞いたとたん、宿の人がニコニコしはじめた。
何なんだ?
「では、ご案内しま~す!」
リュウが少し赤い顔をしつつも続いていく。
着いていくと、一番端の隅だった。
「この部屋をお使いください。
取り敢えず、代金は二週間分もらいますが、短くなる場合は言ってくれれば返します。延長したい場合は二週間後に言って下さい。
朝食等は料金に入っておりませんので下の酒場まで降りてきてください。
以上で説明は終わりです。
鍵はこちらです。出掛けるときは預けてくださいね~。
壊した場合の料金等は部屋の中にある案内書をご覧くださ~い。
ごゆっくり、お過ごしくださ~い。」
宿の人が去っていくのを見て部屋にはいる。
ぼふっ!
「疲れた!」
「リュウ、布団に飛び込むな!汚れるだろ!」
「うぃ~。」
ふらふら立ち上がると風呂に入りに行く。
風呂つきって良いよな。
リュウが出てくるまで椅子に座ってボヘ~っとして待つ。
この世界に本は無いのかな?
時間あったら探しに行こう。