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「で!管理者さん、どうなの?」
焦って、管理者に話を聞こうとすると、琉斗のいるほうからニヤニヤとした気配が感じられる。
お前があんなことを言わなければ!
「術者が契約を切るか、死なない限り消えません。まぁ、先ほど仰れていたように[この者は、私の所有物です。]と言っているようなものなので。」
「そうですか…。」
ちょっと落ち込むと琉斗が頭を撫でてくる。
「止めろ!」
「良いじゃねぇか、少しくらい。」
手を弾いても、撫で繰り回してくる。
「お二人とも装備はこちらで勝手に決めて良いですか?」
「あ、くれるんですね。」
「ええ、もちろん。簡単に死んでしまわれると目覚めが悪いので。」
そう言って、手のひらを上に向けるとそこから光が溢れてきた。
その光は俺たちの体にまとわりつき、光が収まると、着ていた服が変わっていた。
俺は和ゴス?のような感じだろうか。所々に葵の花が散りばめられていて、可愛い服だった。
手には黒光りして先端に赤い宝石の様なものがついた杖を持っていた。
琉斗は袴を着ていて、腰には刀をつけていた。
かっこよかった。…羨ましい。
「こんな感じで良いでしょうか?」
「大丈夫です。」
「では、私の管理する世界でお好きなように生きてください。
出現位地は様々な種族が集まる国【サルペン共和国】の首都に近い森です。」
そう言うと、俺たちは落ちていくような感覚がした。
少し怖くなって手に当たったものに引っ付いた。
落ちていく感覚がなくなると、周りには森が広がっていた。
「すごいな。」
「そうだな。しかし、…いつまで引っ付いてるんだ?俺は嬉しいが。」
「え?」
自分の手を見ると琉斗の手を抱き締めていた。
「あ、ごめん!」
そう言って全力で下がり距離をとる。
しかし、すぐ後ろには木があったため、後頭部を思いっきりぶつけた。
ゴンッ!
「…痛い…。」
「何やってんだ。」
呆れた顔をしながら琉斗が手を出してくる。
ドスンッ!ドスンッ!
「なんだこの音。」
ぬうっと木々の間からデカイものが現れる。
「…マンモスだよな?」
「…そうだな。」
「取り敢えず、琉斗がやれ!」
「はぁ!?」
「足止めはするからさ!
『木々よ 草花よ 成長し鎖とかせ《自然の鎖》』!」
周りの木々がうねうねと動きだし、マンモスに巻き付く。
「ほら、止まったぞ!早く!」
「はぁ~、人使いあらいな。」
そう言いつつも、刀に手をかける。
キンッ!
刀が鞘に収まった音がしたと思ったらマンモスの首は切れていた。
「…すごいな。」
「…ああ。」
「お前がやったことだろ。」
「いや、こんな結果になるとは…。」
「俺らの力はこの世界ではトップレベルの様だしな。仕方がないか。」
「それは葵もだよな?
何で殺らなかったんだ?」
「ああ、ただ単純にマンモスみたいなのを倒す攻撃力のあるやつをすぐに出せなかっただけだ。」
「何でだ?」
「詠唱が長いんだよ。そして、俺が使える魔法は通常魔法の光以外の闇・風・水・土・火・無の上級までと血魔法だ。で、俺が得意なのは血魔法。だから、とっさに出なかった。」
「通常魔法は俺も中級まで使えるし、もらった知識にも入ってるから分かるが血魔法ってなんだ?」
「それは…。」
グルル、グルル
狼が鳴くような声が周りから聞こえてきた。