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「姫か…。」
そう言って琉斗が笑う。
「それを言うな…!」
「良いだろ~。」
さらに、笑う。
「ふふ、そろそろ良いですか?」
「っ!すいません。」
うわ~、また恥ずかしい思いを…。
「あ、質問一個いいっすか?」
「ええ、どうぞ。」
「俺と葵は寿命が大分違うっすよね。
一緒に生きたい場合はどうすればいいっすか?」
「それは…、寿命を全うするという形が最善になりますが…。」
「一緒に生きる方法は?」
そこまで即答されると恥ずい。
「…葵さんから説明をした方が…。」
「そう…ですね。
《血の契約》と言ってね、吸血鬼が永い永い命をあげる代わりに、吸血鬼に血をあげる。…で、これが問題なんだけど…、この契約をすると…。」
「すると?」
「結婚していると思われる。」
「…くはははっ!」
「笑えることかよ!」
「別に俺は葵と一緒にいられるならそれくらい困らないけどな。
それに…。」
「それに?」
「葵とだったら別に良いしな?」
目の前の男は黒だった目を金色に光らせながらそんなことを言った。
「な!ば!」
うぁぁ~。はずい。
「顔真っ赤だな。」
「誰のせいだ!誰の!………お前の目の色が変わったのは何か理由があるのか?」
「感情が高ぶるとなるらしいぞ。」
そんなことを琉斗はさらっと言った。
「あの、本当にそろそろ良いですか?
それに大丈夫そうですので、契約をするならここでやっていってください。」
「そうだな、するか。」
「契約ってどうするんだ?」
「取り敢えず、しゃがんでくれ。」
これからやることを考えると恥ずかしいが我慢だ、俺!
琉斗がしゃがんだのを確認すると呪文を唱え始める。
『我の永遠の命を分け与え 共に永い時を生き 我に血の恵みを与えよ 《血の契約》』
目の前にしゃがんで不思議そうな顔をしている男の首筋に噛みつく。
「ん、ん…。」
ジュル、ジュルと音を立てながら、血を啜る。
初めて飲んだ血は甘くてとても美味しかった。
口を離すと、首筋には葵の花のマークみたいなものがついていた。
俺のマークなんだろうか?まぁ、薔薇じゃないんだな。
「琉斗、何か変わったことはあるか?」
「いや?特にはないな。……しかし、ヤバイな、これ。」
「何がだよ。」
「いろいろな意味で。…俺以外にやるなよ。」
「やんねぇよ。出来るかこんな恥ずかしいこと。
つーか、管理者さん、このマークどうにかなんない?」
「マーク?」
「ああ、琉斗の首筋に葵の花のマークが出てきたんだよ。」
「ふーん、俺は葵のものってか。」
「言うな!それを!」
恥ずかしいから黙ってたのに!
契約をしたらマーキングみたいなのが出ました。