2 エリー
「食事はひとりで取りなさい」はい…と頷いた。
「あなたは学校に行かなくていいわ」はい…と頷いた。
「家庭教師?余計なことは考えるな。毎日静かに過ごしなさい」
はい…お父様。
「社交界?無理に決まってるでしょう」
はい…お母様。
「メイドに迷惑をかけるな」
ごめんなさい。
「弟の邪魔をしないでちょうだい」
ごめんなさい。
「私は忙しいんだ。おまえに付き合う暇はない」
違う、わたしはただ…
「前にも言ったでしょう?弟とあなたじゃ時間の価値が違うの」
わたしはただ…今日はわたしは誕生日だから…
弟ロイドは優秀だった。
わたくしへの扱いが変わったあと、両親は期待を弟に対して一手に注いだ。
弟が10歳になったとき、才と適正のお告げが行われたけれど、
両親が大絶賛するほどその結果は優秀で素晴らしいものだった。
同年代の中で1番でした。
わたくしは3歳離れた弟に対して、自分と同じ無能であるようにと祈りました。
ほんとうになんてことを思うんだろう、思いたくないのにそう神に願ってた。
その罰が下ったかのように、ぶたれることが始まった。
わたくしはいない者として扱われる。
この家での役割はもうない。
親の愛情はとうに失せ、弟には貶められ、だれも味方じゃない。
なにひとつ言い返せない。
才能がないから。
それってそんなにわるいことだった?
わたくしがいる意味は、わたくしが生まれた意味は、ねえあったの?
誰からもいらないと言われるんなら、なんのために存在してるの
生きてちゃいけないの?
わたくしはあなたたちのこどもじゃなかったの……!!
ふつうであることができない……ただそれだけなのに!!!!
14歳の誕生日、わたくしは終わらす気持ちで刃物をもって親の寝室に向かっていった。