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86話:勇者を使おう

 上空にてこちらを見下すシュトルツは、こちらに手の平を向けた。

 シュトルツの手の平に膨大な魔力が集束し、それが放たれた。


 数多の小さな魔力弾となって地上へと降り注ぐ。


「回避しろ!」


 バルザークの声によって、レイド達は防御へと徹する。


 魔力弾は雨のように地上へと降り注がれ、建物を破壊していく。

 突然の事で逃げ惑う人々。何人かが魔力弾に撃ち抜かれ死んでいく。


 レイドは魔剣で防ぎながらフランへと尋ねる。


「どうする? このままだと被害が大きくなる一方だ」

「確かに」


 魔王軍にも被害が出始めていた。


「バルザークよ。ここから魔王軍を撤退させる」

「了解です!」


 直ちに魔王軍の撤退を始めるバルザーク。

 折角落とした王都を占拠できないのは致し方なかった。


 撤退を始める中、レイドは瞳の色がない勇者へと近寄った。


「何をする気だ?」


 フランの言葉にレイドは笑みを浮かべた。


「折角だ。勇者には活躍をしてもらわないとな」


 上空で悪意をばら撒くシュトルツを見てそう告げた。


「なるほどな」


 それを察してかフランも笑みを浮かべた。

 レイドはラフィネの腕に付けていた魔道具(アーティファクト)を外すと、ゆっくりと瞳の色が戻っていく。


 少ししてハッと気が付いたラフィネは、目の前に居るレイドへと罵声をあげる。


「あなたは屑よ! 私に仲間を殺させるなんて!」


 自我が消えたとしても記憶は残る。

 だから自分が何をやったのかも覚えているのだ。


「黙れ。この状況がわからないのか?」

「――ッ」


 首輪の効力で黙らせられるラフィネに、レイドは続ける。


「今この王都の惨状は、あそこにいるシュトルツが引き起こしている」


 そう言って上空に佇むシュトルツを指差す。

 その方向を見て驚きで目を開くラフィネ。


「ッ!?」

「お前には選択肢が二つある」

「……」

「今ここで死ぬか、奴と戦って死ぬかだ。選べ。口を開くことを許可する」


 そうして喋ることが可能になったラフィネは、すぐにレイドへと問いただす。


「なんで殿下がこのような事を!」

「知らん。それに言ったはずだ。選べと」

「――ッ!?」


 レイドから発せられるプレッシャーによって強制的に黙らせられるラフィネ。


「選べ。時間は無い」

「何よ! こんなことになったのもあなた達魔族の仕業じゃないの!!」


 怒りを露わにそう叫ぶラフィネだが、フランもレイドも聞く耳を持たない。

 そこへ、ミレーティアが口を開いた。


「この人何を言っているの? 自分の立場が分かっていないの?」


 尤もな言葉だったが、それはラフィネの感情を逆なでした。


「何よ! あなただって人間じゃない!」

「?」


 ラフィネが何を言っているか意味がわからないミレーティア。


「ミレーティアはドラゴンですよ? 人間でも魔族でもないですよ」

「……え?」


 ミレーティアが何者なのか知らなかったのだろう。間の抜けた反応が返ってきた。


「勇者よ。早く答えるのじゃ」

「――魔王!」


 剣に手を抜こうとするも、レイドが言った『魔族に危害を加えるな』という命令によって痛みが生じた。


「ぐっ、がぁぁぁッ!?」


 しばらくして治まったのか、キッとレイド達を睨み付けるラフィネ。


「答えろ。次は無い」

「一つ聞かせて」

「……いいだろう」

「もし私がアレを倒したら、私をどうするつもり?」

「先ずは倒してから言え」

「……わかったわ。私がやる」

「賢明な判断だ」


 ラフィネは剣を抜きシュトルツへと向けて構えるのだった。





勇者、お前は特攻するんだよ!


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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者の言動で思い出しましたが、リアルで、これが正しいと思い込んだら、間違っていても、ぜったい認めない人っていますよね。
[良い点] 敵味方見境なしかよ王子。 [一言] 二択がどちらとも死とか・・・。 作者さんも、特攻とか言うし。 勇者に対して、レイドも酷過ぎる様な、直接な復讐対象ではなかったはずだし。
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