72話:王国の動きⅡ
誰もが絶望する中、玉座の間の扉が開く音がした。
「父上に皆さん。まるで絶望したとでも言いたそうな顔はどうしたのですか?」
みんなが扉の方へと視線を向け、現れた人物を見てカルロア国王が声を上げた。
「シュトルツ! どうしてここにいる!」
まだ20代前半のこの男の名は、ライネール王国第一王子、シュトルツ・ゼン・ライネール、その人であった。
「どうしてって言われても困りますね。何やら急いで招集を掛けたら気になるに決まっているじゃないですか」
そう言って笑みを浮かべるシュトルツ。
「それで、何があったのですか?」
「実は――」
カルロア国王は簡潔に何があったのかを、息子であるシュトルツへと包み隠さずに告げた。
しばらくして、その内容を聞いたシュトルツは、両手で顔を覆った。
やっぱりそうなるか。そう思っていたが、シュトルツの反応は違った。
シュトルツから笑い声が聞こえてきた。
「何が可笑しい! トチ狂ったか!」
カルロア国王がシュトルツへと怒声を上げる。
「あはははっ! いやはや、すまない父上。あまりにも愚かだからですよ」
「……愚かだと? 何が言いたい?」
「早く国王の座を私に譲ってください。そうすれば後は私が引き受けます。大丈夫ですよ。まだ策はありますから」
「そう簡単に譲れるわけがないだろう! それに策だと!? お前はこの状況が分かっていないのか!」
「十分にわかっていますよ。策も準備しています。それに、魔王軍はすぐに反撃に出て来るでしょう。どうしますか父上? あとは私が代わっても良いのですよ?」
「ふざけるな!」
「……そうですか。ではもうしばらく、様子見をさせていただきましょうか。これにて失礼します」
そう告げて立ち去るシュトルツを、誰も止める者はいなかった。
「……これより国際軍事会議を始める。準備せよ」
「「「はっ!」」」
こうして遠隔通信魔道具で、各国の代表と会議が始まったのと同時に、各国にも同様に激震が走り、ライネール王国に共同戦線という名の、防衛をすることになった。
連合軍参加国はライネール王国を入れて5ヵ国。
唯一の大国であるライネール王国と小国は、総勢1万名もの軍勢にて魔王軍へと対抗するために動き始めるのであった。
73話、イチャイチャ回ではなくて、修羅場になってしまった。
74話がイチャイチャ回です!
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