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57話:元勇者、本陣へ

 アルミラースは己が背から戦場を見渡すレイドに問いかけた。


『何処に向かう? それともここいら一帯を焼き払うか?』

「それも悪くないな」


 確かに悪くはない、だが、勇者であるラフィネだけは殺したくないのだ。

 人間達がどれだけ醜く汚い手を使ってくるのか、それを知ってもらいたい。


 それでどの様な判断を下すのかを。


 裏切るのか、それでもなお人間を信じるのか。


 すでにレイドは人間を信じてすらいない。

 どれだけ醜く、欲望に忠実でそのためなら汚い手を使ってくるのかを知っているからであった。


 気絶しているラフィネをそのままにしておき、アルミラースの背中からレイドはある一点を見つめていた。


 レイドが見つめるそのさきにあるものは――人間軍の指揮を任されている最高指揮官、デルマ・フリーデンがいる司令部であった。


『レイド、どうする? 我が焼き払ってくれようか?』

「……いや。俺が直接乗り込んで潰してくる」

『そうか。では直上でよいな?』

「ああ、そしたら飛び降りる」


 すぐに作戦司令部の上空へと到着したレイドとアルミラース。


「ミレーティアにアルミラース、行って来る」

「うん!」

『うむ』


 そうしてレイドはアルミラースから飛び降りたのであった。



 ……


 …………


 ………………


 レイドが降下するさらに前。


 最高指揮官のデルマへと伝令が物凄い形相でやってきた。


「何事だ」

「勇者が敗北致しました!」

「……なに? 嘘ではないだろうな?」


 デルマから発せられるプレッシャーに伝令の男は冷や汗を流しながらも答えた。


「じ、事実です。四名全員が負傷しており、一刻も早く治療が必要です」

「なんと……それで、勇者を倒したのは四天王のバルザークか?」


 歯切れが悪い伝令の者に「なんだ? 早く答えろ」と急かす。


「そ、それが……例の魔族側に付いたと言われる正体不明の人間、ノワールです。勇者様は四天王のバルザークをあと一歩のところまで追いつめておりました。そこにノワールが突如現れ……」

「わかった。勇者殿達の救助は?」

「早急に行っております」

「ふむ、下がれ。勇者殿達を連れて戦場を離脱し、治療に専念せよ」

「はっ」


 そう言って伝令の男は去って行った。

 そこでデルマは部下であり、参謀でもあるキーリスへと尋ねた。


「キーリス、現在の戦況はどうなっている?」

「はっ」


 キーリスは近くにより現在の戦況を伝える。


「現在、敵魔族軍と我ら連合軍は拮抗しております。このまま続きますと消耗戦に繋がると思われます」

「そうか。では――」


 その瞬間、戦場全体へと咆哮が轟いた。

 それは衝撃波を伴ってデルマがいるこの司令部まで伝わった。


「何事だ!? 今すぐ状況を知らせ――」

「「「ッ!?」」」


 この場にいる全ての者が感じた圧倒的なまでの気配。


 轟いた咆哮と気配に、本能が警鐘を鳴らす。


 今すぐ逃げろ、と。


「こ、これは一体……だ、誰か今すぐに報告せよ!」

「報告します!」


 周辺警戒をしていた兵が青い顔をしながら駆けこんできた。


「あの咆哮はなんだ!」

「そ、それが――煉獄龍王アルミラースが、こ、この戦場に出現いたしました」

「――なッ!?」


 デルマ達司令部に、衝撃を持って伝えられた。


「ど、どうしてここに」


 キーリスがその男に問うた。


「わ、わかりません。そしてすぐに上空へと飛び立ってしまいました。気配を消したようで何処に行ったか分かりません」

「何が起きている」


 突然の事態に困惑する一同。


「そ、早急に作戦会議を――」


 デルマがいる作戦司令部本部へと何かが落ちた。


「今度は一体何だ!」


 砂煙が上がっている方向を見てそう叫ぶデルマであったが、その砂煙が晴れ現れたのは――地面に突き刺さった漆黒の大剣の上へと立ち、デルマ達を見下ろす仮面を付けた者であった。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 煉獄龍王アルミラースはどことなく惹かれますね。 [気になる点] 少し主人公が甘い性格にみえる。
[気になる点] 自分みたく利用されるのが嫌なのでは? 自分の過去に重ねてるとか もしかしたら自分より上手くやって何とか 魔王軍と戦うのを阻止したり出来るかもっていう希望的な? あとメタ発言だけど勇者仲…
[一言] 「人間を信じてすらいない」なら、何故ラフィネだけ特別扱い? 勇者パーティーの他メンバならともかく、ラフィネは面識すらない筈だよね? どこにも描写がなかったけど、幼馴染みとか大切な友人だったの…
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