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56話:参戦!

この戦闘が終了したら新章に突入します。

「――待て」

「……なんだ?」


 バルザークが俺を睨む。


「何故勇者を殺さなかった?」


 尤もな意見であった。

 勇者は魔族の敵だ。だがレイドにも殺さないだけの理由はあった。

 別にバルザークが殺すのならレイドはスルーしていただろう。だが、自分が勇者を手に掛けるのは違うと言えた。


 それはレイドの次に選ばれた勇者であり、レイドが追放された件の事を聞かされてはいないからだ。


 レイドの予想では、世に出回っている噂しか聞かされていないのだろう。


「俺に今の勇者を殺す理由などは無いだけだ」

「だが魔族の敵だ! 魔王軍にいるからには敵を殺さなければ――」


 そこでバルザークは言葉を止めた。いや、止めざるをえなかったからである。

 その理由は明白。

 レイドがバルザークに向けて殺気を放ったからである。


「俺は魔王であるフランの為に戦っている。それだけだ」

「なら他はどうでも良いとでも思っているのか!」

「それも違うな。フランの為にお前達を助けた。フランの悲しむ姿を見たくないだけだ。ただフランにはいつまでも笑っていてほしい、それだけだ」


 そう言い残しレイドは空を見上げ手を上げて合図を送った。

 その場の全員がレイドの取った行動に不思議そうな表情をしていた。


 すぐにそれが何を意味するのかわかってしまった。


 天より迫りくる圧倒的な気配、気配、気配!


 曇天から何かが現れ一拍。


 グルァァァァァァァッという咆哮が戦場へと響き渡った。


 その咆哮により雲っていた空を放射状に吹き飛ばし、大気が揺れた。


 全ての者に恐怖と畏怖の念を抱かせる存在――ドラゴン。


 その中で最も神に近いドラゴンと恐れられる存在がこの戦場へと顕現した。


 ――煉獄龍王アルミラース。


 アルミラースが現れたことによって全ての戦闘が止まった。否、止められたのである。


「な、な、何故ここに……」


 バルザークが呟いた言葉はその場、戦場にいる全ての者が抱いていた言葉であった。

 レイドはその疑問に答えた。


「アルミラースは俺の友人だ」

「……は? まさか暗黒山脈で」

「そうだ」


 そこに丁度アルミラースの背中からリリスが下りてきた。


「レイド、これからどうするの?」

「決まってる。人間どもを追い返す。この地に足を踏み入れたことを後悔させてやるだけだ」

「わかった」

「バルザーク達や負傷した兵達を下がらせるんだ」

「任せて」


 リリスはレイドの言葉に強く頷いた。


「――召喚(サモン)


 幾つもの魔法陣が展開され、そこからさまざまな死んだ魔物が現れ、バルザークを含めた負傷した兵達を下がらせていく。


 そしてレイドはアルミラースを見た。


「アルミラース、お前も一緒に暴れるか? 人間どもを蹴散らす簡単な仕事だ」

『――よかろう我が背中に乗るがよい』


 レイドはアルミラースの背へと乗った。


「そうだ、魔王城に一度寄ってくれ」

『どうしてだ?』

「ミレーティアを安全な所に下ろしておきたい」

『うむ。それが良い――』

「まってよ!」


 ミレーティアがレイドの袖を掴んで待ったをかけた。


「どうした?」

「私だってドラゴンなの。このくらい平気だもん」

「だそうだぞ、アルミラース?」


 思案したアルミラースは答えた。


『良かろう』

「ありがとうパパ、レイドお兄さん!」


 そうしてレイドは上空で戦場を見渡しながら……


「さあ、蹂躙の始まりだ。絶望を味わうといい」


 仮面越しに狂気にも似た笑みを浮かべそう呟くのであった。


ちなみにアルミラースは60話ぐらいから戦闘に参加します。


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― 新着の感想 ―
[一言] >「それも違うな。フランの為にお前達を助けた。フランの悲しむ姿を見たくないだけだ。ただフランにはいつまでも笑っていてほしい、それだけだ」 ならこんな戦をとっとと終わらせればいいのでは?勇者…
[良い点] 話は読みやすいし面白かったです。 [気になる点] 皆さんも書いていますが、なぜ勇者を殺さないのですか?こんなの絶望じゃないです。 元勇者は勇者を鍛えるだけのただの良い人に思えます。 ざまぁ…
[一言] >アルミラースは60話ぐらいから戦闘に参加します。 えっ?戦闘になるのかな? 一方的に蹂躙しますの間違えじゃ……
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