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49話:開戦Ⅲ

「うっ、ぐっ……!」


 全身を痛みが襲う。

 全員の服は一部が炎で焼け肌を露わにしていた。

 それでも立ち上がろうとするラフィネ達。


 そんなラフィネ達の前に一歩、また一歩とまるで死の宣告の如く歩み寄るバルザーク。


 だがそこに……


「勇者様達をお守りしろ!」

「「「応っ!」」」


 見守っていた兵士達がラフィネ達を守るかのように武器をバルザークへと構えていた。

 ここで人類の希望が潰えては未来が無いからであった。


「さ、下がって! あなた達にそいつは止められない!」

「そうだ! 下がるんだ!」

「お願い!」

「下がるのだ!」


 ラフィネ、トロワ、エリス、ダイリが叫ぶようにして身を盾にしてでも守ろうとする兵士達へと告げるも。


「勇者をお守りするのが我らの役目でもあります。どうかここは我らに! 今は下がって体力を回復させてください!」

「そうです! 勇者様は私達の希望なのですから!」


 口々に同じことを言う兵士達に、ラフィネは何も言えなくなってしまう。

 ゆっくりと立ち上がるラフィネ達。


「私は大丈夫。あなた達は下がって――うぐっ……!」


 痛みで膝を突くラフィネ。


「――範囲回復(エリアヒール)!」


 エリスを中心とした範囲型の回復魔法が発動した。

 徐々に傷が癒えて行く。


「ありがとうエリス」

「はい。二人も大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない」

「助かった」


 だが回復しきれていない四人。


 バルザークはこの光景を見て思った。

 人間にもまともな奴らがいるもんだ、と。

 だがそれでも変わらない。自分達が住む土地に進軍され、さらには同胞も死んできたのだ。

 だから――見逃すことはできなかった。


「「「うぉぉぉぉぉぉぉお!!」」」


 剣を片手に突っ込んでくる人間の兵士達。


「同胞の仇だ」


 そう告げて一閃。

 遅れて高温の炎が発生し攻撃しようとしていた十数名の兵士達が消し炭となった。


「貴様よくも! ――灼熱の嵐(ファイヤーストーム)!」


 トロワが怒りで炎の魔法をバルザークへと放った。

 バルザークの足元から炎の嵐が発生し包み込んだ。


 燃え続けて数秒。


「……やったか?」


 その発言はこの場で最もいけない発言だった。ダイリの零した言葉に答える者がいた。

 それは――


「いや、やってないな」


 ――バルザークであった。


 魔剣を一振りし炎の嵐を掻き消した。

 そこには無傷で立つバルザークの姿があった。


「な、ぜ……」

「俺に炎は効かない」

「そんな……」

「じゃあな、勇者共。同胞達の仇だ」


 そして魔剣を振り下ろそうとして――バルザークは後方へと跳躍した。

 次の瞬間には、自分が立っていたところへと次々とあらゆる魔法が着弾し爆発し砂塵が舞う。


 魔剣で砂塵を振り払ったが、そこにはもう勇者達の姿は無かった。


「チッ、仕留め損ねたか」


 それと同時に人間軍は森まで前線を後退させた。

 追撃しようとしていた魔族達へとバルザークは後退するように伝えるも。


「バルザーク様、追撃は?」


 そう尋ねたのはバルザークの軍の参謀を務める男、シャグランであった。


「追撃はしない」

「理由をお聞きしても?」

「こっちも被害が出ている。このまま追撃してもいいが何かを隠しているかもしれない。ここは一度引き態勢を整えて備えた方が賢明だ」

「なるほど。ではこちらも戦線を下げますか?」

「そうだな。少し下がって防衛を整える。俺は魔王様の下へ行くがあとの指揮は参謀である貴様に任せた」

「ハッ!」


 こうして開幕は魔族側の勝利となった。




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