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35話:覚醒

 迫りくる漆黒の炎の塊を前に高速で思考を巡らせる。

 そしてレイドは最善の案を思いつき、即座に行動へと移した。


 魔力と気を体内で練り圧縮を何度も繰り返す。


 あと少しで当たる瞬間――空気が、大気が弾けた。

 迫っていた漆黒の炎の塊も同時にレイドが放った衝撃波で弾け飛んで消えたのだ。


『なっ!? まだそんな魔力が残っていたか。だがこれは避けきれまい!』


 口内に収束し圧縮されてゆく膨大な魔力。

 流石のレイドも魔力と蓄積したダメージにより地面に着地し膝を突いてしまう。

 リリスも不味いと察したのか、駆け寄ろうとしてレイドに止められた。


「来るな! 巻き添えを喰らうぞ!」

「だけど! それだとレイドが!」

「俺なら大丈夫だ。安心してそこで見ていろ。俺は――死なない」

「……分かった。レイドを信じる」

「ああ」


 そして全てを滅する破滅のブレスがアルミラースからレイドに向けて放たれた。

 だが、ここで死んではフランが悲しんでしまう。

 レイドは迫る死のブレスを前に残り少ない魔力を身体強化へと回し――動いた。


「はぁぁぁっ!!」


 迫るブレスを前に気と魔力を混ぜ合わせた渾身の一撃をブレスへと放った。

 その一撃はレイドにとって最高の一撃であり、ブレスと拮抗して見せたのだ。


「我の破滅のブレスに拮抗するとは見事だ、人間。だが……」


 だが、その拮抗も一瞬であった。すぐに押し返されブレスが徐々に迫ってくる。


「――レイド!」


 リリスの声が聞こえた。

 その声はレイドを心配しての声であった。

 リリスは続けた。


「レイドが死んだら魔王様に何て言えばいいの! 私はレイドの死を見届けに来たわけじゃない!」


 確かにリリスの言う通りである。

 レイドは思う。


 自分が死んだらフランは悲しむだろうと。

 そして自分が死んだと知ったフランの泣き顔が脳裏に思い浮かぶ。


 嫌だ。そう思った。

 フランには笑顔でいてもらいたい。悲しむ顔なんて見たくもない。


『死ぬがよい。強き者よ』


 だから――


「――俺は死ねない!」

『強情な奴だ。この状況では何もできまい。そのまま朽ちるがよい』


 そのままブレスはレイドへと直撃し爆炎が周囲を彩る。


「レイドッ!!」


 リリスの悲壮な叫び声が木霊する。


『我をここまで消耗させさらにはダメージを与えたのだ。貴様の名は生涯忘れは――ッ!?』


 勝った。倒した。そう思っていたアルミラースであったが、悪寒が、寒気を感じ取った。

 それを感じる場所は今も燃え盛る炎の中から。


 そして燃え盛る漆黒の炎が――爆ぜ、膨大なまでに膨れ上がった濃密な魔力と尋常ならざる一つの気配、気配、気配!


 まるで最強である自分と同等。あるいはそれ以上の圧倒的な魔力と気配を。


 炎と砂塵が晴れそこから現れたのは真紅のオーラを身に纏うレイドの姿であった。






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