32話:真の武器
色々あって忙しくて過労しそうです……
ぴえん
『……今なんと言った?』
「聞こえなかったのか? その竜鱗を寄こせと言ったんだ。早く剥がして必要分を寄越せ」
レイドは手のひらを龍王へと向けて寄越せという。
『痛くて出来るわけがなかろうっ⁉』
どうやら痛いようである。
「仕方がない。無理矢理にでも頂くとするか」
『させると思うか?』
「どうだろうな」
無言の静寂。
レイドとアルミラースは睨み合ったまま動かない。
「レイド……」
「リリスは隠れていろ」
「ん」
リリスはすぐに移動して物陰に隠れた。
元々リリスはこの戦いには参加できないと思っていた。なんせリリスとレイドの実力には大きな差があったからである。
煉獄龍王アルミラースは最も神に近いと言われるドラゴンである。
かく言うレイドも魔王を上回る実力を兼ね備えていた。
そんな化け物同士の戦いに混ざりたいとはリリスは思わなかった。
睨み合ったまま動かない両者。
先に動いたのはアルミラースであった。
『我に逆らったこと、その身をもって償うが良い!』
顎門を開き、そこに膨大な魔力が集束し――ブレスが放たれた。
膨大なまでのブレスはレイドを消滅させようと迫り来る。
まるで何千年も生きた巨大な大樹のような太さがあるブレスに逃げ道などありはしない。
レイドは背中の大剣を抜き魔力を流し限界まで強化する。だがこれだけでは足りないと判断したレイドはさらに『気』を取り込み大剣へと流す。
そして――一閃。
するとアルミラースから驚愕の声が聞こえてきた。
『なっ、我のブレスを斬っただと⁉︎』
そう。レイドはアルミラースのブレスを両断したのである。
「そう驚くな。よくあることだろう?」
『そんなわけがあるか!』
アルミラースの周囲に幾つもの大小様々な魔方陣が展開される。
その一つ一つが必殺の威力が込められており、掠っただけでもタダでは済まないことが伺えた。
そして――魔法が放たれた。
避けて時には切断してアルミラースへと迫る。
そのまま目の前まで迫ったレイドは跳躍し大剣をアルミラースの首目掛けて振り下ろした。
ガキンッという音と共に火花を散らしアルミラースの腕によって防がれてしまった。
アルミラースがレイドを振り払おうとブレスを放つも、それを回避した。
だが――死角から迫っていた尻尾に気が付くのが遅れ回避を取ろうにも間に合わず、それを受けてしまう。
「――ぐっ‼︎」
ギリギリ受け身を取ることができ、ダメージを最小限に抑えた。
そのまま吹き飛ばされるも空中で態勢を整えて地面に着地した。そこへ無数の魔法が迫っていた。
着地を狙われた攻撃。
レイドは体に気を纏わせて前方へと走った。
『下がらずに前へと出ることで逃げたか。だが甘い』
ノータイムによるブレス攻撃がレイドへと迫る。
『これで逃げられるまい』
「まだ、だな」
そう告げてレイドは大剣を盾にし突き進む。
ピキッという嫌な音が大剣から聞こえてきた。
どうやら耐久力の限界らしい。
しばらくしてブレスが止んだがレイドの持つ大剣はボロボロとなっており、そのまま崩れるようにて足元へと大剣の残骸が落ちた。
レイド自身も衣服がボロボロとなり体の所々に傷がある。
『貴様はもう武器がない。これで我の勝利だ。このまま諦めて帰るというのなら見逃してやっても――』
「黙れ」
『なに? 見逃してやると――』
「黙れと言っている。武器がない? お前は何を勘違いしている? これは仮の武器だ。俺の真の武器はここにある」
そう言ってレイドは拳を構えるのであった。
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