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3話:元勇者は魔族領に入ったようです

私WINGは、暑くて冷房を入れてしまったことをここに報告します(どうでもいい)

あとがきに次の更新情報を書いてあります。

 レイドは夜の街道を歩いていた。


 特に行く場所がなかったレイドだったが、そこでふと思った。

 ならいっそ魔王城にでも乗り込んでやろうと。


「まあそのまま魔王と戦って死ぬのも悪くは無い……か。取り敢えず魔王城にでも行って魔王にでも挑んでくるとしよう」


 目的を決めたレイドは魔王城へと向かうことにした。


 この発言を聞いたものがいたのなら笑いながら「絶対に死ぬ」と馬鹿にしてくるだろう。だがレイドの実力ならそれが可能である。


 魔王城へと向かっているレイドであるが、黒髪黒目の青年という人相もバレているので極力フードを被ってさらには仮面を着けて移動することにした。注意して移動していたことで、周りに怪しまれることはあったものの、バレることは無かった。





 ――それから数週間が過ぎてレイドは魔族領のとある街にいた。


 街に入ることは容易であった。だって検問などがないからである。


「おい。お前、ここの者ではないな?」

「胡散臭い仮面をしやがって」

「素顔を見せて見ろ」


 レイドは現在、魔族三人に囲まれ睨まれていた。


「……忠告だ。そこを退け」


 仮面越しに三人を睨む。

 その只ならぬ視線と雰囲気に三人は息を飲む。だがその発言は怒りへと変換されてしまったらしい。


「ああわかったぜ。ならテメェをここで殺してその仮面を剥がしてやる」

「……そうか。出来るものならやってみろ」


 一触即発。周りにいた魔族たちはこれから起こりうることを予想して遠ざかり、その様子を遠巻きに伺っていた。



 それを見て飽き飽きしたレイドに痺れを切らした三人がとうとう攻撃を仕掛けた。

 攻撃は剣や拳ではなく――魔法であった。


 魔法だったのは魔族だからだろう。

 三人が手の平をレイドへと向けていたのだ。


 これが人間であったなら拳か剣が出てきていたところだ。


 放たれる数々の魔法。だがレイドは迫りくる魔法へと手を振るうと、魔法が一瞬で掻き消えた。


「「「……は?」」」


 そんな間抜けな声が聞こえた。


 何を驚いているのだろうか? 

 レイドは史上最強の勇者と言われた男。いや、元勇者と言った方がいいだろう。


 消えた理由だが、それは風圧である。

 ただの風圧ではない。自身の魔力を乗せた風圧で放たれた魔法を搔き乱したのだ。そうすることで魔法が維持できなくなり消えたのだ。これは実体がある攻撃魔法には効かないが。


 レイドは何が起きたのか理解出来ないでいる魔族三人へと再び問いかける。


「最終忠告だ。そこを退け」


 放たれる尋常ならざる殺気に一歩、二歩と後ずさる魔族。


 先程の消えた魔法を遠巻きに見ていた周りの魔族達は唖然としていた。


 レイドの殺気を浴びて後退していた足を止め、馬鹿なのか受けた殺気による恐怖を屈辱へと変換されてしまったようだった。


 頭に青筋を浮かべている。


「この仮面野郎っ!」


 魔族の男は身体強化を施し接近しレイドへと拳を振りかぶった。その男に続いて残りの二人も接近した。


「遅いな」


 迫る三人の魔族相手にレイドは言葉を零し目の前から姿を消す。


「なっ!? 一体どこに――がぁっ」


 男達は最後まで言葉を喋る事無く意識を暗転させたのだった。

 殺したわけではない。ただ意識を刈り取っただけである。


 今のレイドにとって魔族は敵ではなくなった。だから敵でもない人を殺す意味などありはしない。


「死んではいない。気絶しているだけだ」


 心配している周囲の魔族達にレイドはそう言葉を言い残し再び歩を進めると、人々は道を開け譲った。誰もレイドに絡もうとも話しかけようともしなかった。


 レイドの歩き去って行く後ろ姿に人々は奇異な、まるで化け物を見たような視線を背に受けていたが関係なかった。

 そして歩を止めて魔王城があるであろう方向の空を見据えた。


「待っていろ魔王。すぐに会いに行ってやる」


 そう仮面越しに笑みを浮かべるのだった。

次の更新は18時となっております。


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