この世界の縮図
空が青い。
それは当たり前のようで当たり前ではない。
海は青い。
それは常識なのか、常識でないのか。
それは誰にもわからない。このセカイは何でできているのか。
それすらも理解に及ぶことのないまま、私達は生きている。
人は争い、殺し、奪う。そのことをやめない。
ただ終わることのない連鎖が続く。永遠に。
不安が憎しみを生み、憎しみが不安を呼び起こす。
平和が戦争を引き起こし、戦争が平和をもたらす。
このセカイに終わりはない。
このセカイの果てに何があるのか。
何もないのか。
その答えは誰にもわからない。
爽やかな風が吹く。少し肌寒いようで体が震えるが、そんなことは冬の寒さに比べればどうってこともない。森の木々たちがざささやく。地面には、雨が降ったあとだと思わせるくらいの柔らかさだ。水の流れる音がする。穏やかな自然の風景。その自然の中に一人の少女がいた。
背丈は140センチほど。身なりはそれほど裕福であるとは思えないが、貧相であるとも思わない白色を基調とした普通の服だ。髪は長く、ちょうど肩を超えるあたりまでは長い。しかし、雰囲気はそれほど幼さを感じなさせないくらい大人びている。魅力を感じるほどだ。
彼女の手には少し大きめの手提げ袋のようなものがあり、森に食べ物や何か木の実などを取りに来ているのだろう。
ちょうどそのときだった。
大きな音が森中のいたるところまでに鳴り響いた。森の木々たちはざわめき、虫たちは何か危険を察知したかのように一目散に逃げ出す。無論、鹿などの動物たちも同様だ。
そこにいた少女は何が起きたのかを確認するために周囲を見渡した。大きな音がしたのは南東の方角からであることがわかった。南東の方角から、少し赤さが混じった黒い煙が空高くに舞い上がり、森全体を覆うようにこちらに向かってきていた。
火事なのか。それとも山火事であるのか。それはわからない。
しかし、黒い煙が上がっている方向の先に何があるのかその少女は知っていた。少女の暮らしている村の方角であるからだ。
火事であるとわかったその瞬間、その少女の顔は青ざめ震えていた。何も信じられないような状態だった。しかし少女は走った。ただ、彼女の家族や村人に何もないことを願って。




