花嫁
初めまして。海鈴です。
初心者なのでつたない文面もあるとは思いますが温かい目で見守っていただけるとありがたいです。
小茉莉は朝からドレスを見に来ていた。
恋人の弘樹にプロポーズされたのは先月のことだった。
来年に結婚式を挙げる事が決まった小茉莉は少し浮足立っていた。
「ねぇ、このドレスはどう?」
ドレスを自分にあて婚約者の弘樹に問いかけた。
弘樹とは高校からの同級生で付き合って10年になる。
「ん?あぁ、、いいんじゃない?」
弘樹は昔からそうだ。私が言うことには肯定しかしない。
「もう、、私一人の結婚式じゃないんだからもっと真剣に決めてよね?昔っからそうなんだから」
いつものように小言を漏らした。
「なぁ、俺さ」
涼しい店内で弘樹はダラダラと汗をかいていた。
「俺、、好きな子がいるんだ。会社の二個下の後輩で、その子のこと幸せにしたくて、、だから、、その、、」
弘樹のぱっとしない口調に初めは何を言われているのかわからなかった。
「は?何言ってるの?私たち来年結婚するんだよね、、?」
弘樹は下を向いたまま「ごめん」とだけつぶやいて黙ってしまった。
隣で困っている店員さんにドレスを渡してすみませんと店を出た。
弘樹は私の荷物をもって後をついてくる。
「とりあえず家で聞くから」
弘樹は車を取ってくる。と店の近くのパーキングに走っていった。
家について私は弘樹に問いただした。
「え?私たち結婚するんだよね?プロポーズしてきたの弘樹だよね?それが何?好きな子がいる?」
ふざけんなと私は弘樹の胸ぐらをつかんだ。
「3年前くらいから会社の後輩と身体だけの関係だったんだ。それがどんどん本気になっていって、、でもそんなことはよくないって!だから、、もうやめようと思って。お互のためにその子と別れて小茉莉と結婚してちゃんと向かい合おうって思って!」
弘樹は涙ぐんだ目ででこっちを向いた。
「それで?それでなんで向こうを幸せにするって答えになるの?」
「妊娠したんだ」
小茉莉は弘樹の顔を力いっぱいに叩いた。
叩いた手から熱をもった。
「俺、、来週には家を出るからそれまで待ってもらっていいですか」
弘樹の何も考えてないような無神経な言い方にまた小茉莉の手は上に持ち上がったがそのまま振り下ろされることはなかった。