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双天の悪魔   作者: Rukuran
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転生編

こんな世界に生きていたくないって?



それなら作るしかない。



異世界への扉を…

「…やっと。

やっと完成だ。」


仄暗い地下室に響く機械音と男の静かな声。



「準備は出来た。

いざ異世界へ。」


一層大きな機械音と共に部屋が光に包まれる。



真っ白な世界へと変わり、次の瞬間元の仄暗い地下室へと変わる。



そしてそこには男の姿は無く、飲みかけのコーヒーと何かの式が書かれた紙が数え切れないほど。



光を放った機械のみが残されていた。










その2年前…


「なぁ健二。」


「ん?なんだ兄貴。」


「お前はこの世の中どぉ思う?」


このよく分からない質問を投げかけてくる男は俺の2つ上の兄貴。



俺と兄貴以外に兄弟はおらず、父と母はいない。



いや、正確には父と母を知らない。



俺を産んだあと直ぐに姿をくらまして兄貴が産まれたばかりの俺を抱えているところを警察に見つかり、そのまま孤児院へ入れられた。



そこからの生活は地獄だった。



俺達の入った孤児院はそれはそれは素晴らしい孤児院で、いじめ、それを無視する孤児院の大人達、むしろ機嫌が悪いと殴る蹴る。



もちろんそこを出て生きていく術を知らない俺達は耐えるしかなく、兄貴が


「今はひたすら耐えろ」


と言うので耐え続けるしか無かった。



体が大きくなって俺が中一になる頃兄貴と一緒にそこを抜け出した。



兄貴がある夜俺を起こして言った。



「健二。ここを抜け出すぞ。」


「…うん。」


「今までよく耐えた。ここからは俺達の自由に生きるぞ。」


「うん!」


俺の喋り方が子供っぽいのは今までのいじめや暴行のせいだ。



後で知った事だが。



そして施設を抜け出した後、兄貴は働き出した。



と言っても中3のガキを雇ってくれる所などほとんど無い。



しかも親もなく自分の身分すら証明できない奴ら。



俺が社長ならまず雇わない。



だが兄貴はどこかから雇われ先を見つけてくると暫くそこで働いて金を稼いできた。



中学には不自由無く行かせると言った兄貴の言葉通り俺は無事中学を卒業した。



俺は中学の時に剣道をやり、そこで芽を出した才能を買われてある道場に引き抜かれることになる。



最初は兄貴と離れるのは嫌だと断ったが兄貴本人に絶対に行くべきだと言われて離れ離れになった。



兄貴の金で持っていた携帯で連絡は常に取っていたとは言え最初はめちゃくちゃ寂しかった。



だけど兄貴の叱咤激励を受けてその道場の中で俺はひたすらに腕を磨いた。



その剣術道場は今の世の中にはそぐわない程実戦型の道場だった。



門下生は俺と道場の跡取り息子のみ。



だけど何故か金は持っていた。



その理由は後で知ることになる。



道場主の宗次郎とその跡取り息子海斗は稽古中は鬼の様に見えたが普段の生活では優しく特に暴力があったりとかは無かった。



そこで毎日文字通り死ぬ程鍛えられた俺は数年後には剣を振る理想的な体つきになり、(所謂細マッチョ)

その実力は跡取り息子を越え、免許皆伝となっていた。



正直自分にそんな才能があるとは思っていなかった為驚いた。



1度実力差を知った海斗に跡取りを譲ると言われたが全力で断った。



宗次郎も俺に継がせる気は無く揉めることは無かった。



他人の家庭に割り込む気は無かったし何よりこの腕があれば金には困らないし兄貴とまた暮らすつもりだったからだ。



宗次郎との約束で免許皆伝後、年は20歳を越えたら好きに暮らせと言われていた。



なぜ引き取ったか聞いたら


「お前には才能があった。

その才能を開花させる事が出来るの俺だけだった。

それだけだ。」



と時代錯誤も良いとこな武士的回答が来た。



免許皆伝後、宗次郎に連れられてある場所に来た。



そこは所謂裏闘技場。



人と人が本気で殺し合う場所だった。



勝てば大金持ち、負ければ死の世界だ。



観客は皆大金持ち。



金を持つとこうも歪むものなのかと集まっている人数に驚く程いた。



俺はそこで真剣を用いて戦った。



つまり人を殺しまくった。



身元がバレないように覆面してだが。



最初は無我夢中で殺した。



人を殺した反動で暫く何も食えず眠れなかったが、2人目からは落ち着いていた。



宗次郎は昔ここの覇者だったらしく結局引退まで1つも傷を負うことは無く、伝説となっていたらしい。



20歳になるまでの2年間、俺はそこで戦いに戦った。



そして20歳になると同時に引退。



無傷の覇者の伝説がもう1つ打ち立てられることとなった。



2年間で貰った金額は莫大なものとなっており、その一部は宗次郎の道場に渡した。



それでも一生遊んで暮らしても問題ない程の額を持っていた。



そしてそのまま俺は道場を後にし、兄貴と合流する事となる。



兄貴は汗水流して働いて…いなかった。



ニートではない。



昔から兄貴はどこかぶっ飛んでいた。



ラリってたわけでなく、単純に凡人に理解出来ない人間だった。



その思考回路は奇々怪々。



何を言ってるの?

と思った事は数知れず。



しかし最終的に最も理想的な所に落ちる。



と言った人間だった。



世の中のほとんどの人は兄貴の才能を見抜けず変人扱いしていた。



多分俺も弟で無ければ全く理解出来ない側だったと思う。



しかし産まれた時から隣にいて兄貴の事はよく分かっていた。



兄貴は本物の天才だった。



世の中で言う天才のさらに上を行くような天才だ。



10のことを言われて努力して10出来るのは秀才。



努力せず何となく10できるのが天才だとしたら、兄貴は100の事をこなし、その中から最も理想的な解を見つけて更に改良する。と言った人間だった。



その例として1度だけ俺が免許皆伝を得てから兄貴が俺のいる道場に顔を出した事があった。



その時宗次郎が興味本位で兄貴を道場に連れていき俺との稽古を見せ、手合わせしてみろと言った事があった。



結果から言えば俺の大敗。



全く何をしても手も足も出なかった。



兄貴は剣術などその時まで見たことさえなかったのにだ。



まるで兄貴の思う所に刀を振り下ろし、兄貴の振り下ろす所に俺が移動する様な感覚だった。



兄貴曰く俺のは剣術じゃない。



との事だったが結局1本も取れなかった。



自信を持っていた俺は落胆と共にやはり兄貴は天才だと確信した。



そんな失意の中にいる俺と宗次郎に対し、兄貴が言った言葉が



「この剣術は完成系ではない。

10程欠陥が見つかった。

それを教える。」


だった。



宗次郎も流石にキレたが兄貴が指摘した部分を聞いて開いた口が塞がらなかった。



確かにそこを改良する事でより効率的で完璧な物になるからだ。



そんな兄貴は俺と別れてからの事を話してくれた。



要約するとある程度金を貯めた後、それを元手に適当に特許を取って莫大な金を稼ぎ、その後は1つの研究をひたすら行っていた。



という事だった。



あまりにもぶっ飛んでいた。



まず適当に作った物で儲けるなんて常人には出来ない、そしてそれがバカ売れ後数年間1つの研究をし続けるとは…



そんな天才な兄貴が何年も掛けて作る物とは一体何なのか…



聞いても教えてくれず結局謎のままだった。



それからは2人で一軒家を購入。



2人で暮らしていた。



俺にも兄貴にも彼女が出来たり別れたりしたが結局結婚はせず5年が過ぎた。



そして今に至る。



「この世界どぉ思うって言われてもな。」


「…」


「一言で言えばクソ。」


「あはははは!」


「なんだよ。」


「やっぱりお前は俺の弟だわ。」


「なんだそれ。」


にこやかなままコーヒーを啜った後で兄貴は自分の研究室に行った。



この質問が2年後思わぬ形で理解出来る事とは思っていなかった。



それから数ヶ月後。



兄貴が行方不明になった。



当然俺はあらゆる手を使い、金を使い探し回った。



しかしながら兄貴の足取りは掴めず2年が過ぎた。



痩せこけて…なんて事にはなっていなかったが。



そして兄貴が消えて丁度2年後の今。



郵便で兄貴からの手紙が来た。



『健二へ。

兄貴の一輝だ。


突然消えた事は申し訳なかった。

お前がもし俺を失った後の2年でこの世界に愛着が出来たならばそれで良し。

ここから先は読むな。


もしそうでないならば、そして俺の事を信じてこの危険な賭けに乗るならば続きを読んで欲しい。



俺はこの何年かひたすら同じ研究をしていた。


端的に言えば異世界への門を作っていた。

異世界への門だけであれば4年で完成した。

しかし俺の望む世界、しかも所謂神と言う奴に会ってから転生するには更に研究をする必要があった。


そして遂にそれは完成した。


だが人が入る以外に試す術はなく、一世一代の賭けになる。


もしお前が俺に着いてくると言うのであれば俺の研究室の床にある戸を開けてパソコンに下に書いたコードを入力して光の壁を通り抜けろ。


先に行くぞ。いざ剣と魔法の世界へ。』



「…………はぁ?!」


ツッコミどころ満載過ぎて逆に何も言えなくなるパターンだ。



「4年で異世界への門完成て…しかも神?いや、もぉぶっ飛び過ぎだろ。

はは。ったく。兄貴らし過ぎる。

だが…」


俺は躊躇無く研究室の地下に行った。



こんな世界はクソだ。



それは今も変わらない。



そして剣と魔法の世界?

サイコー過ぎんだろ。



迷う必要なんざ皆無。



今行くぜ。兄貴。



光に包まれた後、仄暗い部屋に爆発音が響く。



地下室には粉々になった機械の残骸が残るのみ。



「ん…」


どぉやら気を失っていた様だ。



門をくぐった所までは覚えているが…



何も無い真っ白な世界。



「本当に来るとはな…」


「?」


「お主が健二か。」


「え?はい。」


そこにはテンプレな白髪、白ひげをアホほど伸ばした神らしき奴がいた。



「お主にはおじいさんに見えるのか。」


「え?はい。」


「わしは神。姿形はその者の想像によって形作られる。」


「ん?はい。

神ってことは分かりました。

そんで、俺の中の神のイメージがそのまま貴方の姿形になるって事ですか?」


「全く。兄も兄なら弟も弟だな。

つまらんわい。」


「はぁ…」


「まぁよい。」


「兄貴にはどぉ見えたんですか?」


「あいつには光の塊に見えた様だ。

あまりにも神に対するイメージが希薄な者にはそぉ見えるんだ。」


「へぇ。」


「それより兄貴から色々聞いとる。」


「何を?」


「まずお前が行く世界の話をする。

簡単に言えば剣と魔法の世界。

お前達の世界で言うモンスターや冒険者がいて実に危険な世界だ。それでも行くか?」


「行きます。」


「即答か。

ではまず世界に送る前にギフトと試練がある。」


「?」


「分からずともお前の兄がこの進行を約束して行ったからきにするな。」


「あ、なら大丈夫です。」


「ふむ。

まずギフトから。

与えるのはアイテムボックス、スキル獲得スキル、ステータスオープンスキル、言語習得迅速化スキル。」


「分からないのはスキル獲得スキル、ステータスオープンスキルの意味ってところですかね。」


「話が早すぎてつまらーん。

まぁいいわ。

スキル獲得スキルはある種の行動や経験でスキルを獲得できるスキルだ。

これは行く世界ではお前の兄しか持っとらん。

次にステータスオープンスキルの意味は行く世界にはレベルが存在し、自分の持つスキルや魔法、アイテムボックスの中の情報等を見ることの出来る事にある。」


「なるほど。」


「では最後に試練について。

試練は全部で7つ。

行く世界に存在する魔法の根源である火、水、土、雷、闇、光、時の7つに対する試練だ。

そしてその試練は各属性の魔法を司る精霊王に一任する。」


「はい。」


「試練に向かう前にお主の転生後のステータスについてだが、魔法重視、剣重視のどちらにするかを選べる。」


「剣重視で。」


「これも即答かい。」


「はい。」


「分かった。それでは試練の間に送る。

頑張れよー。」


世界がぐにゃりと歪むと意識を失った。



「ん…熱い。」


火山の中の様な場所だった。


「よく来たな。」


「あ、はい。」


俺の目の前に全身火の髪の毛を持つ浅黒い肌のワイルドな人がいた。


「お主あやつの弟だな。」


「多分そぉです。」


「よぉし。では始めるか!」


「え?!何を?!」


「あぁ。すまんすまん。ついな。

説明する。

今から7つの精霊王と戦ってもらう。

もちろん魔力は無いからお主の場合は剣を渡す。」


目の前に日本刀が出現する。



「魔法が使えんからせめてもの足掻きが出来るようにその刀には魔法を切る能力を付与してある。

あ、ちなみに転生後そんな付与滅多に見られないスーパーレアなもんだぞ。」


「はぁ。」


「それを使って7人の精霊王を戦い転生後の魔法能力値を決める。」


「?」


「つまりお主がワシらにどれ程楽しみをくれるかによって各属性の魔力値を決めるわけだ。」


「なるほど。」


「ではやるか?!」


「おぉう!」


と言うことでいきなり戦闘開始。



「ゆくぞ!」


火の玉がいくつも出現するとそれがこちらに向かって飛んでくる。



俺は必要な火の玉だけ切り落として走る。



「まだまだ。」


更に大きな火の玉を飛ばしてくるがそれも切り落とす。



「やるな。こんなのはどぉだ?!」


地面が熱く感じると同時に火が吹き出す。



咄嗟にジャンプし、下に切りつけた後地面を蹴って着地する。



「ほほー。やるなー。どんどん行くぞ!」


次は火のムチ、その次は火の波。


どちらも切り落として精霊王に向かって走る。



「終わりだ。」


元気〇みたいな火球を飛ばしてくる。



切りつけたがもちろんアホほどのサイズがある為そのまま火の玉に飲まれる。



「しゅーりょー。」


「かー!行けると思ったんだがなー!」


「ははは。まだまだ。だがいい線行っとった。

楽しませてもらったわ。そんじゃ。ほい。」


火の粉みたいな小さな火が俺の体の中に入る。



「?」


「これでお主の中に火の魔法が宿った。世界の平均より上だな。

じゃ次の試練にGO!」


またぐにゃりと世界が歪む。



「これ毎回やるのー…」


気を失う。


「んお?!」


バシャ


綺麗な浅い湖みたいな所で目を覚ます。



今度は水の髪を持つ超絶美人が目の前に現れる。



「あ、付き合ってください。」


「いきなり何を?!」


「あっ。間違えました。愛をください。」


「…」


「ごめんなさい。」


「…まったく。兄も兄なら弟も弟ね。」


ん?兄は割と人付き合いが苦手でこんなこと言う人間じゃ無かったが…


「あなたの兄は見るなりその髪どぉなってんの?!ちょっと研究させて。

だったわ。」


「あはは!流石兄貴。」


「まったく。それより試練。行くわよ。」


「おっと。はいよ!」


水球、水の刃、津波、泡、様々な攻撃を切り落とす。



「やるわね?!」


「そりゃどーも。」


「行くわよーーー!」


「?!」


地面に広がっていた水が全て俺の周りに集まる。



逃げようとするが時すでに遅し。



莫大な水量が俺に向かって収束する。



「ごぼぼぼぼぼ」


もちろんそんな量は切れない。



あえなくギブアップ。



「くそー!やられたー!」


「まぁなかなか楽しませてもらったわ。はい。」


小さな水球が体に入る。



「これが愛…」

「ちがーう!」


顔面に水球を貰うと同時に世界が歪む。



「あーれー。」



「んぉ?!」


目を覚ますとそこはゴツゴツした大地、似た場所と言えばグランドキャニオンみたいな場所だった。



そして全身が岩でできた精霊王。



「…」


「…」


「…」


「…」


「…」


「いや何か言えよ?!」


「うむ。」


「…」


「…」


「えー…」


「ゆくぞ。」


唐突に石つぶてが出現すると俺に向かって飛んでくる。



「いきなり?!」


何とか石つぶてを切り落として精霊王を見ると更に大きな岩が数個出現。



飛来。



切り落とす。



「うむ。」


次の瞬間に足元の岩盤がめくれ上がり岩盤でサンドイッチされる。



潰される前に片方の岩盤を切り裂いて事なきを得る。



が、足元に出来た影をみて上を見上げると



「天空の城ラピュ〇?」


質量的に切れるとは全く思わないサイズの岩が浮かんでいた。



当たり前だが降参。



「なかなか良かった。これを授ける。」



小石が体の中に消えていく。



ぐにゃりと世界が歪む。



「無口過ぎるだろー…」


ピシャーン


轟音に目を覚ます。



「うわっ?!」


「よく来たな。」


「えー…」


そこには全身に雷をまとう精霊王。



「ゆくぞ!」


なんなの?精霊王ってせっかちなの?



精霊王が指を俺に向けると指先に帯電し始める。



俺は次に来るであろう雷光を予想して刀を振り下ろす。



何とか雷を切る。



「俺すげー。雷切った剣士って俺くらいじゃね?!」



感動していると2発目、3発目が襲来。



何とか切り落とす。



「ふははは!まぐれではなかったか!

楽しませてくれるわ!」



更に大きな帯電を見たあと、精霊王から雷のかめはめ〇。



何とか切るがビリビリと体に衝撃が走る。



そこで降参。



痺れて動けないんだもん。



「うむ。よくやったな。」


ビリビリ玉がフワフワと飛んで体内に入る。



「次に送る。」


「早いってばー…」




「んー…」


「よくぞ参られました。」


「光の人?」


眩しくない光が人の形に収束したような精霊王。



「私は光の精霊王。

これからあなたに試練を与えます」


「え?あ、はい。」


初めてまともな精霊王キター。



「これから私はあなたに計6発の光線を放ちます。」


「はい。」


「そのうちいくつ切り落としたか、それを持ってあなたに与える魔力量を決めます。」


「分かりました。」


「準備はよろしいでしょうか?」


この普通のよろしいでしょうかが何故かものすごく優しく感じて泣きそ。



「大丈夫です。」


「ではいきます。」


光という事は光線は光の速度。



1秒で地球を七周半できる速度で飛来する。



認識してから刀を振るでは遅すぎる。



俺はヤマカンで刀を振り下ろす。



光線には殺傷力が無いらしく当たっても痛くは無かった。



「2本ですね。」


なんとか2本の光線を切り落とした。



「勘で振り下ろした様ですが2本となると偶然とは言えないですね。」


「いや、完全に偶然です。」


「ふふふ。どうぞ。」


光の粒が体に入る。



「あと二つ。頑張ってください。」


「ありがとうございます!」


ぐにゃりと歪む。



あー。なんか癒されたー。



「おい。起きろよ、おーい。」


「お?」


「やっと起きたか。俺は闇の精霊王。」


そこには子供くらいの大きさの暗闇があった。



周りは真っ暗で一切の光が無いのに暗闇の子供がいる事が分かるほど闇が濃い。



「んー…」


「なんだ?」


「一応試練だから試すけどお前多分闇の魔力合わないぞ。」


「そぉなのか?」


「うん。やっぱり向き不向きはあるから。

お前の兄ちゃんにも合わないって思ったら最悪試練与えなくても良いって言われてる。」


「なるほど。そんじゃ次に回してくれ。」


「試練は良いのか?」


「兄貴がそぉ言ったなら試しても無駄だ。」


「さっぱりしてんな。魔力はあげられないけど気に入った。闇魔法の耐性だけあげるよ。」


闇の子供が俺に触れると何かが体内に入った気がした。



「ありがとな!」


「じゃな!」


俺はそのまま次に回された。



「んー…」


目を覚ますと何とも不思議な空間だった。



なんと表現したら適切か分からないが空間が歪んでぐにゃぐにゃした世界だった。



「ん?なんか飛ばされる前みたいだな。」


「ここはそぉゆう世界だ。」


「おぉ。」


シルクハットに白黒のチェックスーツ。



こんな精霊王もいるのかと2度見したほど不思議な精霊王だった。



「前の試練はスルーしたのかい?」


「ん?あぁ。時間の無駄だと思ったからな。」


「なるほど。僕の方はどぉする?」


「ん?」


「一言で言えば時間を止めて攻撃する。

それを避けられるかどうか。」


「…無理じゃね?」


「まず無理だね。」


「パース。」


「了解。」


「これで全部か?」


「そぉだよ。おーい。」


「終わったか。」


そこには今までの試練で出会った計7人の精霊王がいた。



「全員集合したな。

7時か。」


「ん?」


「あ、いや。こっちの話。」


「とりあえず全部終わったけど転生先が特殊でね。

少し時間が必要なんだよ。」


「なるほど。ここで待ってれば良いのか?」


「だね。」


「じゃあ兄貴がどんなだったか教えて欲しいんだが。」


「良いよ!」


俺はそこで驚愕の事実を知ることとなる。








光の門をくぐるとそこには予想通り神らしきものがいた。



「え?誰?」


「俺は一輝(いっき)

異世界に転生したくてここに来た。」


「マジ?」


「マジ。」


「ちょーっと待ってくれ。」


「…」


「なるほど。お主門を自力で作ったのか。」


「苦労した。」


「というか非常識通り越しとるの。」


「よく言われる。」


「まぁよい。それで?」


「あぁ。とりあえずギフトとかあるのか?」


「そぉじゃの。お主のいた地球には戻せんが、異世界への転生が目的となればギフトも与えられる。はずじゃ。」


「はず?」


「何せ生きたままここに来る奴はおらんかったからの。」


「初体験だな。」


「言い方が引っ掛かるがまぁそぉだの。

それで普通の転生者と同じ様に扱うならギフトはやれる。」


「なるほど。」


「どこに行きたいんじゃ?」


「剣と魔法の世界。

モンスターや冒険者がいてレベルが存在する世界。」


「その世界はあるが危険じゃぞ?」


「望むところ。」


「してギフトは何が?」


「アイテムボックス、スキル獲得スキル、ステータスオープンスキル、言語習得迅速化スキル。」


「以上か?」


「あぁ。」


「転生者に与える能力で与えた事の無いギフトが1つ含まれとるがまぁ初めて生きてここに来たご褒美として与えるかの。」


「ありがと。」


「転生にあたって魔法と剣と適正を選べるが。」


「魔法で。」


「即答じゃの。分かった。じゃあゆくか?」


「いや、1つ頼みたいんだが。」


「?」


「魔法の世界って事は精霊王なんかもいるのか?」


「おるぞ。7人な。それぞれの属性の主と言ったものよ。」


「なるほど。そしたらそいつらに試練受けさせてもらえないかな?」


「試練?」


「あぁ。そこでそいつらと勝負して結果に応じてその属性の適正を上げて欲しいんだ。」


「ギフトでやれる内容に似たものがあるぞ?」


「いや、与えられてもつまらない。勝負して勝ち取りたい。」


「ほっほ!了解じゃ。なかなか面白いことを言うの。わしも見学する。精霊王の元に使いを出して事を説明させ試練を受けさせてやるわ。」


「助かる。」


「それと転生先だが、人種で良いのか?」


「あぁ。エルフとかドワーフとかいるのか?」


「おるぞ。」


「楽しみだなー!」


「ドラゴンもいるぞ。」


「マジか?!待てよ…

なぁ神様。人族でドラゴンから生まれる事って出来るか?」


「………ふははは!面白いこと言うの?!」


「混血になるかもしれんけど。」


「まぁなるわな。

せっかくならあやつらに託してみるか。」


「あやつら?」


「この世界で最も恐ろしく最も強いドラゴンが2頭いる。白いドラゴンと黒いドラゴン。」


「へぇ。」


「魔法重視ならばそのうちの白いドラゴンに産んでもらうのが良いかもしれん。」


「なるほど…」


「人型にもなれるからの。出産には影響なかろ。

その2頭は子を持っておらんでの。どちらもメスなんじゃが自分より強いオスにしか興味が湧かぬと子を作らんのだ。」


「なるほど。」


「心配しとるところにお主じゃ。渡りに船。

白いドラゴンは魔法が得意で物理攻撃に完全耐性。黒いドラゴンは魔法が効かぬ。」


「なんか物凄い強そうだな。」


「最強じゃからの。」


「んー、俺は嬉しいがその2頭は了承するか?」


「知らん。と言うか説明だけして勝手に腹にぶち込んでやる。」


「い、いいのかよ。」


「わしが何度も言っとるのに聞かんかったからの。天罰じゃ。」


「恐ろしい事するな。」


「子を産めばあやつらの粗暴な性格も変わるじゃろ。」


「粗暴なのかよ。」


「そぉと決まれば早速試練じゃ。行ってこい!」


「お?おおー…」


世界が歪んだ。



「おい!おーい!」


「なんだ?」


「起きてたのか!」


「あぁ。?!その髪なんだ?!なんで燃えてんだ?!研究するが良いか?!」


「いや。ダメだろ。

お主精霊王に対して不躾すぎるだろ。」


「おぉ。すまん。つい。」


「まぁ良いわ。お主が試練を与えろと言った人間か?」


「そぉだ。一輝と言う。」


「なるほど。じゃあ試練行っとくか?」


「あぁ。」


「と言っても俺が攻撃して避けるだけだが。」


「俺は攻撃出来ないのか?」


「俺たち精霊王は魔法でしか攻撃出来ないんだ。

物理攻撃は基本的に無効。」


「なるほど。となると俺の勝利条件決めないとか。」


「全部避けたらって事じゃいかんのか?」


「は?そんなん俺はつまらんし。」


「ぶはははは!つまらんとは!」


「お前もつまらんだろ?負けがあるから面白い。」


「確かに。ではどぉする?」


「そぉだな。攻撃を避けながら近づいて精霊王にタッチ出来たら勝ちってのは?」


「なるほど。わしら精霊王は近づかせないように攻撃するわけだな。」


「どぉだ?面白そぉだろ?」


「よいな!よい!やるぞ一輝!」


「よっしゃ!来いや!」


ボボボボボッ


いくつかの火の玉が精霊王の周りに出現する。



それが俺目掛けて飛んでくる。



それを躱し、躱し、躱す。



「ぬぅ?!」


「ほらほら!近づくぞ!」


「生意気な!」


火のムチ、火の壁、あらゆる攻撃をスルスルと躱していく。



「やりおる!これでどぉだ!」


「元気〇?」


「いけー!」


ドゴーン


爆音と共に火の海。


「あ。やりすぎだったかの。」


「ちょっとな。火の海だよ。」


「だったな。つい力が入ってしまったの。」


「まぁ気にするな。」


ポンポン


「うむ。

…………?!」


「俺の勝ち。」


「なっ?!

どぉやって?!」


「ん?いや、避けたよ。」


「…………ふははは!負けた負けた!

お主の勝ちじゃ!」


「おぅ!」


「まさか魔力すら持たん人族にやられるとはわしも修行が足りんな!」


「いや、一応試練だからな。手を抜いてることくらい分かってるさ。」


「それでも負けは負けじゃ!いやー愉快愉快!ふははは!

こんなに楽しませてもらったのはいつぶりかの!あの生意気なドラゴン以来か!ふははは!」


「笑い過ぎだろ。なぁ!勝ったんだし、別で1つお願い聞いてくれよ!」


「良かろう!申してみろ!」


「俺と友達になってくれ!」


「………………ふははは!精霊王に勝って頼むのが友達か!なんとも愉快!こやつ本物じゃ!

よーし分かった!そなたには同格として扱うという火の印を与える!目には見えんがそれを持っておれば友達として認めた事がわかる奴にはわかる!」


「やったぜ!」


「その印はわしが与えられる魔力量の上限を与える事になる。これで良かろう!」


「おぅ!あんがと!また遊ぼうぜ!」


「うはははは!愉快愉快!

次に送るぞ!」


「よしきた!」


ぐにゃりと歪む。



「ん…」


「起きましたか。」


「…………なにそれ。その髪どぉなってんの?研究させて。」


「なっ?!そなた不躾では無いのか?!」


「あ、いや、すまん。つい。」


「デジャブ?!さっきの火の精霊王でも同じ事言わなかったかしら?!」


「見てたのか?」


「えぇ。私達は互いを見れるのよ。」


「んじゃ説明はいらないか。」


「そなたのような不埒者には手加減しないわ!」


「望むところ!」


人を飲み込める程の水球が飛んでくる。



十数個。



ヒラヒラと躱す。



「な?!この!」


泡や津波、あらゆる攻撃を躱していく。



「このーーー!」


周りの水が集まり出す。



「これでどぉだー!」


「………」


「やった…?」


「…」


「?!いない?!」


「ここだよー。」


ポンポン。



「ひっ!」


「俺の勝ちー。」


「いつの間に?!」


笑みを浮かべる俺を目を開いて見てくる。



「2人目友達ゲット!」


「………はぁ…。私の負けよ。」


「へへへ。」


「本当に人間?」


「紛うことなき。」


「負けは負けね。悔しいけど楽しませてもらったわ。」


「おぅ!」


印を受け取って次に向かう。



「さっきはすまんかったな。また遊ぼうぜ。」


「いいから行きなさい!」


「へーい。」




「…」


「…」


「無口だな。」


「うむ。」


「よしこい!」


「うむ!」


石つぶて、岩盤返し、地面から石のニードル。

多彩な攻撃を躱していく。



「やりおる。」


「ラピュ〇!?」


ドゴーン


「俺の勝ち。」


バカーン


ラピュ〇が自重で2つに割れる。



「?!」


中から俺が産まれてくる。



正確には落ちてくる岩の塊の中、俺がしゃがめば無事な亀裂を瞬時に判断しその下に動いただけだ。



精霊王は更に石つぶてを生成しようとするが。



ポン


「俺の勝ち。」


俺のタッチの方が早かった。



「…………ふははは!ふははは!ふはははははは!」


「まさかの笑い上戸?!」


「やりおる!こやつやりおった!」


「まぁな。」


「本当に面白い人間だ!面白い!」


「あんがと。」


「ふははは!印をやろう!」


俺は印を貰って次に行く。



最後まで笑い声が聞こえていた。



「お?来たか。」


「おうよ。」


「なかなかやりおるが、ここではそぉはいかんぞ。」


「やってみなきゃ分からんだろ?」


「言いおる。おら!」


まさに雷が精霊王の指から走る。



もちろん避ける。避ける避ける。



「やりおる!なんじゃこれは!

わしがお主のいないところを撃っとるのか?!

面白い!いくぞ!」


「かめはめ…」

ビリビリビリビリ


「おぉー。消し飛んだか?」


「ここだぞー。」


ポンポン。


「ぬお?!下?!」


「おぉ。下に避けて来た。」


「…………やられたー!見えんかったー!」


「俺の勝ちー!」


「くやしー!めちゃくやしー!」


「友達4人目!」


「くー!次は勝つ!」


「次も負けん!」


印を貰う。



最後まで悔しがっていた。





「お、おぉ…」


「ようこそ。」


「光の精霊王?」


「はい。」


「ビーム撃てる?」


「撃てますよ。」


「まじかー。ちょーかっけー。」


「ふふふ。ありがと。」


「勝ったらビームの出し方今度あった時教えてよ。」


「あら。もぉ勝った気でいるのかしら?」


「いや、願望。光の速さでしょ?頑張る。」


「いい心掛けね。行きますよ!」


ここまでもそぉだったが俺が何故避けられるのか。



簡単な話。



相手が自分だったら。最初に話してどんな奴かを見極め、そんな奴だったらどこをどう攻撃するかを見極め先に避けるだけ。



もちろんビームも避ける。



「なっ?!光の速さですよ?!」


「へへへ。」


「この!この!」


「おっと!」


「当たれー!」


「はいハズレー。」


「このーーー!」


「これぞまさに元気…」


「や、やりすぎました。」


「…」


「殺傷力の篭った攻撃を仕掛けるなんて…私とした事が…」


「大丈夫大丈夫。」


ナデナデ


「え?!」


「俺の勝ち!」


「えぇーーー…」


「避けたもんねー。」


「………ふふふ。ふふふふふ。本当に人間ですか?」


「もちろん!」


「まったく驚愕としか言えませんね。また遊んで下さいますか?」


「もちろん!友達!」


「えぇ。友達です!」


印を貰う。




「お?今度は真っ暗だな。」


「一輝!」


「お?子供の姿なのか?」


「うん!まぁね!」


「どぉだ?楽しんでるか?」


「もちろん!めっちゃ面白い!」


「だろ?やるか?!」


「よーし!負けないぞー!」


ゾゾゾゾ


精霊王の後方から広がるように深い闇が襲ってくる。



今までの精霊王とは違い巧妙な攻撃を仕掛けてくる。



俺は避ける中で子供の姿をした策略家をイメージする。



巧妙が故の読みやすさがある。



つまり避けやすい。



「なんでなんで?!なんで当たらないの?!すごーい!」


「ほっと!よっと!」


「うわわ!近づくなー!」


「あらよっと!」


ポン。


「はい。俺の勝ち!」


「すごーい!一輝すごーい!」


「まぁな!」


「友達じゃなくてお兄ちゃんって呼ぶ!」


「お?嬉しい事言ってくれるな!」


「えへへ!じゃあ印渡すね!」


俺は印を貰って次に向かう。



「またねー!」


さて、最後の試練。



ここが勝負所。



「よしっ!」


「おっと!」


「惜しい!」


「いきなりタッチしに来るとは。」


「勝負は始まってるだろ?」


「仰る通り。では行きますよ!」


「………」


「さすがに時を止められては手も足も出ないでしょう。」


「………」


「私の勝ちですね。」


「そこまで。」


「?」


「ん?なんで全員集合?7時か?」


「ん?」


「いや、なんでもない。」


「まさか時の精霊王が負けるなんてねー。」


「え?は?」


「勝った!」


「どぉ言うことです?」


「よく見て見なさい。袖。」


「え?

……えぇ?!」


「袖ボタンゲット!」


「いつの間に?!」


「最初避けられた時に反対の手で見えないように掴んだ。」


「えぇ?!」


「ふふふ。一輝を甘く見たでしょ?私達の友よ?油断出来る相手でないことは最初に分かってたはず。あなたの負け。」


「………あはははは!負けました!実に愉快!

時を止める前に勝負して来てたとは!」


「時魔法なんて聞いたらこれくらいしか勝つ方法思い浮かばなかったよ。俺も装置があれば時くらい止められるけどここには無いからね。」


「………あははははは!完敗です!実際に装置があれば時くらい止められるみたいですし!印を受け取って下さい!」


「やったー!全員友達!」


「それにしても全員やられるとは。」


「化け物だな。」


「人間です。」


「ほっほ。全員揃っとるの。」


「神様!」


「転生前にドラゴンにあいにいくぞ。」


「あ、その前に。

多分ここに2年後弟が来ると思う。

その時俺と同じギフトと試練を受けさせて欲しい。」


「まだ来るのか?!」


「多分だよ。しかも2年後。

で、その時なんだけど弟には魔法が切れる刀を持たせて欲しい。」


「まぁあんな避け方一輝くらいしか出来んわな。」


「分かった。」


「んで、多分弟にはどの精霊王にも勝てない。んでもって闇と時の精霊王にはまったく歯が立たないと思う。

本人が試して欲しいと言ったら試してくれても良いが最悪スルーしても良いと思う。」


「んー?なんで?」


「あいつは剣の達人だがこのレベルの読み合いとか騙しあいになると荷が重い。闇の精霊王は化かしあいでは負けないだろ?」


「一輝には完敗したよ?」


「俺はそっちの方が得意だからな。」


「なるほど。分かった。」


「あと神様。」


「なんじゃ?」


「その魔法が切れる刀ってのは持って行けるか?」


「無理じゃ。物を与える事は出来ん。」


「なるほど。となると現地調達か。」


「日本刀自体は向こうには無いぞ。」


「なるほど…まぁ何とかする。」


「そろそろいいかの?」


「あぁ。頼む。」


俺は自分の体が光の玉になるのを見届ける。



その状態でも意識はハッキリしている。



「一輝!またねー!」


「次は負けねー!」


精霊王達の別れの挨拶を聞いて神に連れられてワープ?する。



空間の歪んだ球体を通り抜けた先に2頭のドラゴンが見える。



一瞬過ぎて笑える。



「神か。」


白いドラゴンがこちらも見ずに喋り出す。



黒いドラゴンは少し離れた所で寝ているようだ。



「久しぶりじゃの。」


「また何か小言か?」


「いや。今日は主に妊娠してもらおうと思っての。」


「は?耄碌したか?」


「お主の粗暴な態度も我慢ならん。」


「ぬ?!なんだそれわ?!」


「これか?お前がこれから身篭る子だよ。」


「小癪な!誰が身篭るか!」


「お主じゃ。」


「屁理屈が!やってみろ!腹捌いて殺してやる!」


「ほっほ。どこに植え付けられたか分からんのにそんなこと出来るんか?」


「ぐ。大きくなってから腹捌いて殺してやる!」


「本当に出来るかの?」


「当然!」


「まぁよい。それよりこやつは人種での。無下に扱うと本当に死ぬ。大事にしろよ。ほれ。」


「やめろー!」


あの神マジパネェ。



本気でぶち込みやがった。



そこで俺の意識は暗く深い所に沈むこととなる。



ここからは神と黒いドラゴンに聞いた話になる。



「あの神ぶっ殺す!」


「まぁまぁ。姉さん。落ち着いて。」


「これが落ち着いてられるか!」


「本当に腹捌いたら死んじゃうよ?」


「ぬ。」


「とりあえず本当に身篭ったか分からないし様子見よ?」


「…分かった。」


この2頭のドラゴンは姉妹で白が姉。



それから数ヶ月後。



「大分お腹出てきたね。」


「む。」


「やっぱ身篭ってたのかー。」


「…」


「どぉするの?」


「むむむ。」


「正直産んでも良いんじゃない?」


「うーん。」


「可哀想だし。それに可愛くなってるでしょ?」


「……うん。」


「やっぱり。じゃあ頑張って産もうよ!」


「分かった。」


ドラゴンでも実際に腹の中に子が出来ると可愛く思うんだと後に聞いた時に思った。



それから更に数ヶ月後。



「うぁぁああああ!」


「頑張って!もぉ少し!」


「あぁぁぁぁああああ!」


「もぉ少し!」


オギャーオギャー


「産まれたよ!男の子!」


「はぁ…はぁ…」


「なんて可愛いの?!」


「抱かせてくれ。」


「うん!」


「あぁ。天使。私の子。」


2人は人型で産むことを決めた。



俺が人種だった為ドラゴンの状態だと産めないと知っていた。



「なんじゃ?!」


「体が光ってる?!」


「いかん!体が持たんぞ!魔力量がとんでもない!」


「このままじゃ死んじゃうよ?!」


「そんなことさせるか!私の子だ!

ファンカンテ(3重究極結界)!」


「な、何とかなった?」


「あぁ。ほとんど魔力持ってかれたがの。

なんという子だ。冷や汗かいたわ。」


「物凄い魔力量ね?」


「さすが私の子だな。」


ここからは意識があったが時々俺の意識が浮上してくる程度でそれ以外の時はただの赤ん坊だった。



俺の母、白いドラゴンの魔法によって俺の左の二の腕には腕に巻き付く様に3つの術式が刻印されていた。



魔力が強すぎたためそれを留める為の術式で、魔力を制御する魔法らしい。



いきなり死にかけるとか。しかも爆散仕掛けるとかシャレにならん。神よ。覚えてろ。



それから2頭のドラゴンは俺に名前を付けた。



キース。キース-フラクネル。



白いドラゴン。つまり俺の母はプラウ-フラクネルと言う名で真っ白な髪や眉毛、まつ毛。瞳は真っ青。



絶世の美女がいるとしたら恐らく母の事を言う。



髪はストレートで腰下まである。



サラサラで髪をいじるのが俺の趣味らしい。



らしいと言うのは意識がボヤけてる、つまりただの赤ん坊の時にそうしてるようだからだ。



「ほらキース。また髪触って。このこのー!可愛いなー!チュッチュッ!」


「姉さんまたチュッチュしてるの?!」


「なによ。悪い?!」


「私にもさせてー!チュッチュ!」


「可愛いでしょ?」


「めちゃくちゃかわいー!!」


「ふふん!」


黒いドラゴン、つまり叔母さんに当たるドラゴンはジーズ-フラクネル。



真っ黒な髪に真っ黒な眉毛、まつ毛。そして真っ赤な瞳。



母と同じくサラサラで腰下まである髪。



同じく傾国の美女レベル。



顔付きは似ているが性格も似てる。



「だー!だ!」


「私の髪も触りたいの?良いわよー!」


「だ!」


「あー。死ぬ。可愛すぎて私が死ぬ。」


2人の堕落…もとい、可愛がりは半端なく、ひたすら甘やかされた。



こんな絶世の美女からの食事は非常にオドオドするが意識がボヤけてる時に貰ってたためそこはなんとかクリア出来た。



因みに俺を産んでから2人はほとんどずっと人型で過ごしている。



ドラゴンの姿だとサイズ比があれなのと力加減が難しいらしい。



「たー!」


「ジーズ!ジーズ!」


「なに?」


「見て見て!」


「え?!うそ!ハイハイしてる!」


「可愛いー!」


「たー!」


「ぐふっ。母はキュンキュンで死にます。」


「ダメよ!死んだらキースが1人になっちゃうわ!」


「死ねーん!死んでなるものかー!」


「たー!」


ピトッ


「………ぐはっ!」


「ねぇさーーーん!」


「キース…恐ろしい子…ガクッ」


「ねぇさーーーーーーーん!」


「たーー!」


ピトッ


「………ごふっ!」


2人撃沈。



と言った感じで3人仲良く過ごしていた。



俺も弟も親の愛を知らず、暴力の中で育ってきたため2人の愛には最初こそ戸惑ったが暖かいものを感じていた。



そしてそれを最も身をもって感じた事件がある。



ハイハイ出来るようになった俺は毎日ハイハイして目を離した隙にどこかに行ってしまうほど活発に動いていた。



意識もハッキリする時間が増えてきており、好奇心も旺盛だった。



生活していた場所は森の奥深くでドラゴン2頭がいても気にならない位のスペースがある所だった。



文明的な物は特に無かったが別に困ることも無かった。



木々の生えていない場所が生活範囲であったが、好奇心からその範囲を少し出てみようと右手を出した時だった。



目の前を黒い何かが通ったと思ったら右腕が無くなって血が吹き出した。



「キース!!!!」


「ビエーン!」


「パーフェクトヒール!!!!!!」


腕が元に戻った。



すげぇ回復魔法だと言うことは分かった。



「キース!大丈夫?!キース!」


「きさまーーーーーーーー!!!!!」


「……殺す。跡形もなく殺す。」


2人の美女のマジギレ。



美女がマジギレするとすんごい迫力なのを初めて知った。



そしてこの2人が最強だと言うことを体感した。



俺の腕を持っていったのはブラックファング。



簡単に言えば黒い毛を持ったクソでかいオオカミ。



所謂モンスター。



その中でもかなりの上位種。



ドラゴン特有のキレると瞳が縦に伸びた様になる瞳をした2人の美女。



俺ガクブル。



腕治ったし痛くないが2人にはそんなことより落とし前の方が大事らしい。



因みに人型だと力加減が割と簡単なだけで弱くなると言った事はない。



つまり2人ともドラゴンの姿の時と同様の攻撃力。



ドラゴンの子、しかも莫大な魔力を持ち、本人には攻撃力は皆無。



そんな極上の餌を前に我慢出来ず食いついた様だ。



「…バインド。」


「ギャイン!」


「ダメよ。姉さん。簡単に殺しては。」


「分かってるわ。100回は殺す。」


そこからは2人の殺戮ショー。



殺すと同時にパーフェクトヒール。



本当に100回は殺した。



100回目のパーフェクトヒールは無かった。



「キース!!ごめんなさい!」


「ごめんなさい!私が見ておけば!」


さっきまでマジギレモードだった2人が信じられないほど顔をぐしゃぐしゃにして大粒の涙を流しながら抱きしめてくる。



ひたすら謝っていた。



「だー!」


チュッ


チュッ


「キース!?」


「キース!!許して…許してくれるのね?!」


「だー!」


「もぉ二度とあなたを怖い目に合わせないわ!約束する!ごめんなさい!ごめんなさい!」


「キースーーー!うえーーーん!」


最強と謳われるドラゴンの2人が号泣。



なかなか見れるものではなかった。



そしてこの騒動で俺は2人を自分の母だと完全に認識した。



その事件から暫くすると。



俺の意識も大分しっかりしてきた。



あれから2人は俺をしっかりがっちり見るようになった。


「ほらー。キース!

お母さんって言ってごらん!おかーさん!」


「あ、あー、かー!かー!」


「今かー!って!聞いた?!ねぇ!ジーズ!」


「聞いたわ!言ったわ!」


「私の顔みてかー!だって!きゃーー!」


「?どぉしたの?キース。」


「かー!」


「全世界が涙した!バタッ」


「ジーズもかー!なの?!」


「ぐふっ…本当に死んじゃう。」


「2人で育ててきたものね。2人のかー!よ!」


「かー!」


そのあとはキスの嵐が吹き荒れた。



「んー!あ!」


ボッ


「あー!」


「え?!うそ?!」


「いま炎出したわよね?!」


「え?!もぉ?!まだ1歳になってないのよ?!」


「さすが姉さんの子ね!!」


「なんという…天才よ!間違いないわ!」


「えぇ。確実ね。キースは確実に天才だわ。」


暫く魔力というものが分からず魔法の使い方が理解出来なかったがやっとそれが可能になった。



試行錯誤してやっと炎を出せた。



ライターの火程度だったが。



しかも一瞬。



「というか3重究極結界入ってるのよ?!それで魔法出せるってどれ程魔力あるのよ?!」


「ふふふふ。ふふふふふふふ。

私の子よ!私の子!」


正直いきなり魔法使ったら怒られるかと思ったがむしろ大いに喜ばれた。



「キース。まだ分からないかもしれないけど、魔法を使うのは大丈夫よ。でも結界を解いてはダメ。

それはあなたの命を守る物よ。

魔法は基本的に自分を傷つけることは無いわ。でもあなたの魔力は膨大なの。その結界を解いては体が耐えられない程に。

だから私達が許した時だけにして。約束。」


「姉さん。まだ分からないわよ。

それに結界解くなんてまだ…」

「だ!」


「うそ…」


「分かってくれたのね?キース!」


「だー!」


「天才…現る!」


もちろん意識がハッキリした事で言っていることも理解できるし返事しただけだ。



未だ喋れないのはもどかしいが。



それからは魔法を練習しながら喋りと歩きを頑張った。



「か、かーしゃん!」


「ふべらっ!」


「しお、しおかーしゃん!」


「ごふっ!」


「く、くおかーしゃん!」


「………ドサッ」


「え?なに?死ぬの?私死ぬの?」


「し、しんしゃらめ!」


「あぶふっ!」


たどたどしいがなんとか意思の疎通が出来るほどになってきた。



「よーし!さすがキースね!大分安定してきたわ!」


「うん!」


「火の魔法って言うのよ!」


「でもちっしゃい。かーしゃんのもっとおっきい。」


「ダメよ。焦っては。慣れもあるし、少しずつやるの。」


「ん!」


「いい子ね。」


「んー!は!」


ピュルルル


「え?!ジーズ!ジーズ!」


「え?!水まで使えるの?!」


「でけた!」


「キース!あなたやっぱり私の子よ!」


「ん!かーしゃん!しゅき!くおかーしゃんもしゅき!」


「「ぼほぉーー!」」


「んー!はぁ!」


「えぇーーー!!!」


「う、嘘でしょ?!」


「全属性?!」


「雷に光に闇、土もよ!」


「しゅごいの?」


「凄いわよ!人種で全属性持ちなんて数人しかいないわよ!」


「かーしゃんのおかげ!」


「あー。きたわー。キュンキュンパラダイス。」


「もしかして今じゃ使い手のいない時魔法も使えるかしら?」


「キースなら出来そうね。」


「できゆよ!」


「やっぱか。キースだもんなー。私たちの子だもんなー。てえぇーーーー!?」


「でもむつかしい!」


「時魔法は難しいからね。もぉ少し大きくなってから教えてあげる。」


「いまじゃらめなの?」


「今教えるよりもまずは魔法を上手く使って上手く制御出来るようにしないと危ないの。

下手したら止め方分からなくなってしまうわ。」


「んー。わかった。」


「いい子ね。」


「んー!」


「え?キース?」


「あ!」


「キース、キースが立った!」


「掴まり立ちよ!」


「え?なに?永久保存しなきゃ。」


プラウ母さんの服に掴まってだが。


「かーしゃん!」


「どーしたの?」


「おとおと!」


「弟?」


「うん!もおすぐおとおとくる!」


「どぉ言うこと?」


「くろかーしゃんにおとおとくるの!」


「えっと…つまり私も身篭るってこと?」


「うん!」


「えっと…」


「かみしゃまとやくそくした!」


「え?!そぉなの?!」


「うん!」


しばらくすると俺の言った通り神が光の玉を持って登場した。



「白いの。元気そうじゃの。」


「お陰様で。正直感謝してるわ。」


「ほっほ。それは良かった。して。今日は黒いのに用があってきた。」


「良いわよ。ちょうだい。」


「話が早くて助かるわい。ほれ。」


光の玉がジーズ母さんの中に入る。



「これで私も母になるのね。」


「くおかーしゃんはかーしゃんだお!」


「ぐふっ。そ、そぉね。あなたの弟は元気に産んでみせるわ。」


「あーと!」


そこからは割と早かった。



捕まり歩きから普通に歩けるようになり、言葉もスラスラ出るようになった。



「プラウ母さん!」


「なに?キース。」


「時魔法また教えて!」


「よーし!母さん頑張っちゃうぞー!」


「母さん好きー!」


頭から腹に突っ込む。


「ごふっ!

え?なに?物理的にも精神的にも攻撃してくるなんて。この子策士?天才なの?」


時魔法を教えて貰えるようになってからガンガン練習した。



おかげで全ての魔法が2年経つ前には難なく使えるようになっていた。



ジーズ母さんは魔法が得意ではなかったためあまり教えて貰えなかった。



そのためいつも寂しそうに見ていたが、愛情をプラウ母さんに負けない程注いでくれた。


「ジーズ母さん!」


「なーに?」


「好きー!!!」


頭から腹に突っ込む。



大きなお腹だからそっとだが。


「ごふぉ!

姉さんの言っていた伝説のダブルパンチね。

私完敗………。」


暫くあと、遂にその時がきた。



「んぁぁぁあああ!」


「ジーズ!頑張りなさい!」


「あぁぁぁぁあ!」


「あと少し!」


「あぁぁぁああああああ!」


オギャーオギャー



無事に弟出産。



「元気な男の子よ。」


「はぁ…はぁ…なんて可愛いの。」


俺の髪はプラウ母さんと同じ真っ白。



弟は真っ黒な髪だった。



そして今世での弟の名前が決まった。



ライル-フラクネル。



俺と同じなら今はまだ意識がボヤけてる状態。



1年もすれば意識もハッキリしてくるはず。



「キース?」


「ん?」


「あなたの弟よ。」


「ジーズ母さん。

うん。何があっても僕が守ってみせるべき男の子だね。」


「…キース…」


「プラウ母さんもジーズ母さんも僕にとっては二人とも母さん。そんなジーズ母さんの子は僕の弟。

2人で力を合わせてどんな事も乗り越えてみせるね。」


2歳にしては言うことが臭すぎたかな。



まぁ本心だし良いか。



「「キース!」」


4人で抱き合ってうち2人はギャン泣き。



これが俺と弟の母さん達だった。



俺の時同様にライルが喋ったり笑ったりでギャーギャー騒ぎ立て、いちいち泣いたり笑ったりする母さん達のお陰で俺もライルも表情が豊かに、感情が豊かに育った。



因みに、俺の腕が吹っ飛んだ事件から木の生えていない部分が母さん達の結界で守られている範囲だと知った。



その範囲内から出ることは簡単な事だが入る事はほぼ不可能。



その事を知ってライルには意識がハッキリしている時に伝えてある。



こんな野生児でも食事や服には困ったことが無い。



プラウ母さんはいつも真っ白な服、ジーズ母さんはいつも真っ黒な服を来ていた。



俺はプラウ母さんのアイテムボックス内にあった子供服を着ていた。



何故そんなものがあったのか聞いたが忘れたらしい。



ジーズ母さんのアイテムボックス内にも同じ様に子供服があり、それはライルが着ていた。



服の系統が白と黒だったのは母さん達の趣味だろう。



ライルが生まれてから1年の月日が流れた。



ライルも少しずつたどたどしいながらに喋れるようになってきていた。



「母さん達。ちょっと聞いて欲しい事があるんだ。」


「急に改まってどぉしたの?」


「いいから聞いて。」


「…なに?」


「実は…

僕達は転生者でね…」


俺は自分達が何故母さん達の元に生まれてきたかを伝えた。



「正直神様と話した時は強い人たちの元ならどこでも良かったんだ。

僕と弟は前世では親がいなかったんだよ。」


「「?!」」


「親の愛情とは無縁でね。

代わりに育ててくれた人達からは酷い暴力を受けながら育ってきた。

僕が弟を全力で守るしか無くて…」


前世での生い立ち、そこから転生者になる事を決意、弟は何も知らずに付いてきただけ。



「正直神様も2人は粗暴な態度が目立つって言ってたし運良く生まれても放り出される覚悟もしてた。

それでも2人の愛には物凄く感謝してる。

これが母なんだって、この人達の元に連れて来てくれてありがとうって。毎日毎日思ってる。

だからこの話を聞いてもし僕の事を嫌いになってもライルだけは育てて欲しい。出ていけって言うなら僕は出ていくから。」


正直な気持ちや2人への感謝をありのまま伝えた。



「キース!」


プラウ母さんの声。



目を瞑って下を向く。



自分が母さんと認めた人に捨てられることが怖くてまともに顔を見れなかった。



こんな感情は前世から通して初めてだった。



「あなたは誰が何を言おうと私の子、いえ、私達の子。

誰よりも深く愛しているわ。

そしてこれから先も永遠にあなた達を全力で愛するわ。

嫌いになるなんて絶対に無いし追い出すなんてことしない。

前世であったことは物凄く腹が立つけどその分も私達が愛せる自信があるわ。

だからそんな寂しい顔をしないでいつもの様に笑ってちょうだい?あなたの笑顔が私達の幸せなの。」


どんな顔をしているか自分でも分からなかった。



ただ。



この人達の、この2人の母の愛に流した事の無いほどの涙を流した。



ライルも同じ様に泣いた。



「うぁーー!

かあさーーん!」


「うえーーーん!」


「ほら。おいで、二人とも。」


「前世の人達は私達がぶっ飛ばしといてあげるわよ!」


2人に挟まれて俺とライルは泣いた。



泣き疲れてライルが寝た後。



「キースは転生者だったのかぁ。」


「うん。」


「てことはギフトも貰ったの?」


「うん。」


「ステータスは見れる?」


「多分…」



言われてみれば見た事が無かった。



「ステータスオープン。」


目の前にウィンドウが現れる。



名前=キース-フラクネル

種族=龍人種

レベル=1

称号=???

双龍愛を受けし者(全ステータスにプラスの効果、中)

精霊王の友(全属性の魔法力にプラスの効果、大)

世界を渡る者

スキル=???

=ドラゴンブレス

=苦痛耐性

=恐怖耐性

職種=???

=魔道士

体力=60

筋力=50

俊敏=60

物防=70

物攻=50

魔防=10000

魔攻=50000

魔力=100000

火=13000

水=15000

雷=14000

土=12000

光=20000

闇=19000

時=10000

幸運=10000


この値が平均なのかは分からない。

それとギフトはここには表示されない様だ。



「所々に???ってあるけどなに?」


「そんなものがあるの?

んー…分かんないなー。見たことない。キース、良かったら私にも見せて?」


「いいよー!でもどぉするの?」


「見せたい人の名前を呼んでステータスオープン!」


「分かった!プラウ母さん、ジーズ母さん、ステータスオープン!」


「「………………なんじゃこりゃーーー?!」」


「な、なんか変なの?!」


「あ、ごめんなさい!変じゃないわよ!ステータスの高さにビックリしただけ。」


「高いの?」


「えぇ。ドラゴンの子として見ても高いわ。

魔力なんて10万もあるじゃない。

私が魔法得意なのは知ってるわよね?」


「うん!」


「9億。それが私の魔力よ。」


「ん?そしたら僕大したこと無い気がするけど。」


「姉さん。比較になってないから。

んー、魔道士の平均値とか分からないけど、ドラゴンの子、魔法得意な子で大体5万が平均なの。

その倍ってことはかなり高い能力値。」


「そぉなんだ!プラウ母さんの子だからかな?!」


「あふっ。なんて可愛いの?!」


「可愛いのは認めるけど今は説明!」


「そぉだった。

んー、完全に魔道士タイプね。

筋力とかは平均値より少し高いくらいかな?

まぁまだ3歳だし。

あとは、多分これ3重究極結界が効いての数値ね。」


「この三本の線?」


「そぉよ。それはあなたが産まれる時に魔力が強すぎて体が耐えられないから絞るためのもの。

だから絞られた値でこの値。」


「キース!あなたやっぱり天才だったのね!」


「えへへ。」


「「ぎゃおす!」」


「んー、やっぱり人種の人と比較したいなー。」


「となると…あいつ呼ぶ?」


「あいつ?」


「私達が認めた人種が数人いてね。

そのうちの1人が学校の校長してるの。」


「そぉなの?」


「名前はパーム。パーム-ファンデリカ。」


「そのパームさんに頼めば分かるの?」


「なんせ校長だからね。分かるわよ。」


「んー、そしたら1回会ってみたいな。」


「でもなー。あいつなー。」


「なに?」


「んー。あんまり会いたくないのよねー。」


「嫌いなの?」


「パーム自体は嫌いじゃないのよ。でも子供好きでね。」


「あいつ2人を見たら毎日通って来るわよ。」


「だよね。なんかそれやだなー。」


「そっかー。母さん達が嫌なら別に僕は大丈夫だから。」


「「……ぶわっ!」」


俺の前世での事を思い出したのか号泣し始める。



「私のバカ!私のバカ!」


「あぁ。私の頭を治して…」


「そ、そんなに大切な事じゃないし大丈夫だよ?」


「私のアホ!私のアホ!」


「なんて罪深いの、私は…

キース。ごめんなさい。あなたがしたい様にさせてあげるわ。」


「大丈夫だよ?」


「いいえ。私達が間違ってたわ。

パームを呼んでみるわね。」


「う、うん。」


「……パーム。聞こえる?」


「………えぇ。久しぶり。

いきなりなんだけど、私達の子を見て欲しいのよ。

………え?いや、別に今からじゃなくても…………

え?あ、えぇ。分かったわ。待ってる。」


「今の何?」


「念話って言ってね。皆が出来るわけじゃないけど魔力の強い人は相手と会話出来るの。」


「離れてても?」


「魔力量で距離が決まるわ。」


「へぇ!僕にも出来るの?!」


「出来るわよー。また教えて上げるわね。」


「ありがとー!」


「ごふぉ!だ、ダブルパンチ!」


「そぉ言えばパームさんは?」


「そぉだった。今から来るって。」


「近くに住んでるの?」


「近くは無いけど…直ぐに来れると思うわ。

見てたら分かるわよ。」


フォン


突然結界内に空間が球状に歪んだ場所が出来る。



2度見た事がある。



神がここに俺を連れてきた時とライルを連れてきた時だ。



「あれ魔法だ!どこでもド〇…じゃなくて転移魔法!」


「えぇ。フージカって魔法よ。」


そこから足が出てくる。



なんとも不思議な光景だ。



出てきたパームはザ、魔女って感じだった。



大きな帽子に大胆に肩のあいた服。大きな杖を持っていた。



「2人とも久しぶりー!

そしてかわゆーい!」


いきなり俺のところへダイブしてくるパーム。



それを足で顔を抑えてガードするプラウ母さん。



なんとも奇っ怪な人がきた。



「少しくらいいいじゃないのよー。

じゃあこっちー!」


同じくジーズ母さんに抑えられた。



ライル。耐えるのだ。その恐怖した顔を止めろ。



「もぉーー。けちーー。」


「そんなことしたらこの子達がビックリするでしょ?!」


「分かったわよー。それより二人とも?」


「「うっ。」」


「私子供が出来たなんて聞いてないわよ?」


「まだ誰にも言ってないのよ。」


「相手は?」


「それが神の奴に託されたの。

今となっては感謝してるわ。」


「ジーズも?」


「えぇ。」


「まったく。あれだけ荒れてた2人が母とはね。」


「そんなことこの子達に聞かせないでよー。」


「僕聞きたい!」


「うふふ。今度教えてあげるわ。」


「パーム!」


「はいはい。それで?」


「この子が自分の能力値を人種と比べたいそうなの。

3歳にしては高いから気になったみたい。」


「なるほどね。分かったわ。

お名前はなんて言うの?」


「キース!弟はライル!」


「偉いわねー。私にキース君のステータス見せてもらってもいい?」


「分かった!えーと、パームお姉ちゃん!ステータスオープン!」


「ぼごふぉー!ぱ、パームお姉ちゃん!なんて甘美な響き!はぁ、はぁ。」


「はぁはぁするな!怖がるでしょ?!」


「し、失敬。

どれどれ。

……………なんじゃこりゃー!?」


「プラウ母さん達と同じ事言ってる!」


「あ、ご、ごめんなさい。

確かに高いわね。3歳でこの能力値となると将来有望だわ。

私もこの年齢で10万は初めて見た。

それに精霊王の友?世界を渡る者?所々に???ってあるし。」


「実はこの子達…」


プラウ母さんが俺達の事を伝えた。



パームお姉ちゃんは信用出来る人なのだろう。



「はぁー!なるほど。それで神様が自ら来たわけね。それにしても精霊王達と勝負ってまた…」


「ふふーん。私達の子は天才よ!」


「天才なのは確かね。

魔力10万と言うと中等部の最高値より上って所ね。」


「すごいの?」


「そぉね。すごいわよ。

大体12歳くらいまでの子達の中でトップクラスってこと。」


「んー、よくわかんない。」


「この世界の学校には、小等部、中等部、高等部があって、それぞれ9歳まで、12歳まで、15歳までの子達を教えてるの。」


「真ん中の子達と同じくらいってこと?」


「その中でもすごい子達と同じかそれ以上ってことよ。」


「やったー!」


「…………はぁ、はぁ。」


「だからはぁはぁすな!」


「はっ?!つい。」


「でね。パーム。

この子には3重究極結界を施してあるの。」


「えっ?!それ本当?!」


「えぇ。キース。見せてあげて?」


「うん!」


「……ほんとね。

プラウ!あなたこれがどんな事か分かってるの?!

この魔法は非常に危険な事は分かってるでしょ!」


「う…ごめんなさい。」


「どぉ言うこと?」


「ごめんね。キース君。

この魔法は私がプラウに教えた魔法なのよ。」


「パームお姉ちゃんが?」


「はぐぅーん!

え、えぇ。

私は校長もしてるし人種の中ではかなり魔力は強い方。

それでもあなた達のお母さんには100回挑んだら100回負けるわ。

そんな私があなた達のお母さんに認めてもらえたのは使える魔法が人より多かったからなの。」


「使える魔法?」


「えぇ。大体魔道士になる人達は多くて100個の魔法を使えるの。

私は1000個の魔法を使えるからその数の多さを認めてもらえたの。」


「すごーい!」


「母さんは?」


「私は火力タイプだから900個くらいしか使えないわ。」


「それでも凄いよ!」


「ふふ。ありがと。」


「それでいくつか知らない魔法を教えたのよ。

その中の1つが3重究極結界、ファンカンテ。」


「うん。僕にしてくれた魔法だよね?」


「そぉね。

この魔法は相手の魔力を制限できるのよ。

ただ、この世の生き物は少なからず魔力を放出し続けてるの。」


「んー?」


「分からないかもしれないけど、その放出が完全にストップすると、行き場を無くした魔力が暴走して死んでしまうのよ。」


「え?!」


「そぉ。だからこの魔法は禁術の1つに認定されたもの。そんなものを子供に施すなんて危ないの。

だからプラウに怒ったわけ。」


「そぉなんだ…でも、僕が生まれた時ファンカンテを施さないと爆散してたって聞いたよ?」


「え?」


「この子が産まれた時その魔力量の多さに体が耐えられなかったのよ。」


「それほど?!」


「えぇ。このステータスもファンカンテの影響下での値よ。」


「そ、そんな?!」


「だからあなたを呼んだのよ。」


「なるほど。

……分かったわ。

キース君。こらから定期的に私が来てあなたの魔法を見てあげるわ。」


「?」


「あなたにはプラウっていう魔法の先生がいるから色々聞けるかもしれないけど、繊細な魔法とか、魔法陣の事とか、色々知識を付けないと魔力量に押しつぶされちゃうわ。

だから私が来た時にプラウに聞けないこととか色々教えてあげる。

大きくなる前に制御できるようにお手伝いさせて?」


「いいの?!」


「えぇ。よろしくね。」


「パームお姉ちゃんありがとう!」


「ぶふぅ!

物理的にも精神的にも攻撃してくるなんて…幸せのダブルパンチ?!

ガクッ」


「キース…恐ろしい子!」


「あれ?」


倒れたパームお姉ちゃんをプラウ母さんが送り返して一件落着。



「とりあえず一段落ね。」


「ライルは見てもらわなくて良かったの?」


「そぉね。まだ1歳だから。また今のキースくらいになったら見てもらうわ。」


「分かった!」


「キースは話では剣術が得意みたいだけど魔法は使えないのかしら?」


「多分使えるよ?」


「そぉなの?」


「うん!ライルなら5属性は使えると思う!

魔力量はそんなに多くないと思うけど。」


「それでも5属性?!凄い!」


「ステータスみたらまた驚きそうね。」


「ジーズ母さんの子だもん。当たり前だよ。」


「このこのー!嬉しいこと言ってくれるわねー!」


「そぉだ。キース?」


「なに?プラウ母さん。」


「ステータスの事なんだけど、あまり人に見せないようにね?」


「うん。色々厄介事に巻き込まれそうなステータスだもんね。」


「えぇ。もし見せる時はここだけ見せるって念じたら他は見えない様に出来るから。上手く使いなさい?」


「そぉなの?わかった!」


「これから定期的にパームが来るから知りたい事はドンドン聞きなさい。」


「うん!ありがとう!」


「ライル。あなたも理解出来てるか分からないけどキース兄さんに言ったようにあなたも気をつけなさい?」


「あい!」


「ライル。お前も魔法使えるんだろ?」


「あいっ!」


ボッ


「よしよし。パームお姉ちゃんが来たらお前も一緒に聞いとくと良いぞ。」


「あい!」


ライルにも一緒にパームの授業?を受けることを促した。



それから数日後、なんやら色々持ってパームお姉ちゃんが来た。



「はーい!キースくーん。ライルくーん!」


「こんにちは!パームお姉ちゃん!」


「……もう一度戻るからパームお姉ちゃんって言って?」


「なにしてんのよ。パーム。」


「だってかわいーんだもーん!」


「可愛いのは分かったから早く授業しなさい。」


「はーい。」


「パームお姉ちゃん!あ、違うか。パーム先生!」


「あれ?いつも言われてる気がするけどなんか違う言葉の様な響きね…そぉか!これが甘美!」


「ぱーーむーー?!」


「ご、ごめんなさい。

はい!キース君!」


「ライルも聞いてて良いですか?」


「もちろんよ。聞いてて分かるかは分からないけど。」


「ありがとう!」


「ずんっ!この子のダブルパンチ…効いたぜ…

っと、あんまりやってるとまた怒られちゃうから始めましょうか。

まずはー、魔法について。

キース君は魔法についてはどぉやって理解してる?」


「んーと、質量に依存しない現象を起こす力。かな?」


「…………プラウ?」


「なによ?」


「あなたこの子に何か教えた?」


「いいえ。私も今驚きの中にいるの。」


「………これは大幅な進路変更が必要かもしれないわね。」


「変なこと言っちゃったの?」


「キース君。そんな事ないのよ?

まずキース君は思った事を言いなさい。

それが間違っていても変でも、なんにもおかしいことじゃないのよ。

だって知らないんだもの。だから誰も笑ったり、馬鹿にしたりしない。」


「うん!分かった!」


「さて、今のキース君の答えは一般的には間違いとされてるわ。んー、言い方が違うかな。その見解に辿り着いていないという方が正しいわね。」


「?」


「世界での魔法の認識は、私達が魔法を使う時に感じる魔素を物質等に変換すること。これを魔法と言います。」


「魔素ってこの空気中にあるものだよね?」


「えぇ。この世に生きる者はこの魔素を常に放出、吸収して生きていると言われてるの。」


「それが止まると死んじゃうんだよね?」


「そぉね。それは前に少しだけお話したわね。

この魔素を操って自分の思う形に変換する能力の事を魔法と読んでいるわ。」


「んー、でもそれだと辻褄が会わないよ。」


「と言うと?」


「もし先生の言う通りだとしたら、魔法で作った物はどれも全く同じになるはずだもん。」


「そぉね。その通りよ。それに3歳で気付けるのは魔法の申し子、天才の証ね。

まだ証明は出来てないけど、私の考える魔法、魔力って言うのはそんなものじゃない。」


「うん。魔素を操って何か現象を起こす力を魔法って言うんだよね?」


「そぉね。ライル君も聞いてるから分かりやすくもう一度説明するから聞いててくれる?」


「お願いします!」


「まず魔素を操ります。

そしてここに全く同じ立方体を作ります。」


「はい。」


「どちらも重さは全く同じ。素材もね。」


「はい。」


「これを潰すと!」


パーム先生が手で同じ様に潰す。



「片方は潰れないのに、片方は潰れます。

これはこの作られた立方体に織り込んだ情報量の違いによる結果ね。」


「片方は立方体ってことだけ、片方にはその形を保とうとする情報を織り込んだんだよね?」


「本当にキース君は凄いわね。

その通りよ。この魔法には3つの段階があるわ。

1つ目は"土を生成する"という現象。

2つ目は"立方体を作る"という現象。この2つで作った立方体は潰れた方。

3つ目は"その形を維持する"という現象。これが潰れなかった方の立方体ね。

この時に使う魔力は後者の方が多いのよ。」


「うん!だから質量に依存しないんだよね?」


「そぉよ。もし今の定説が正しいのであれば、魔素の量イコール作られた物の質量となるのよ。」


「うん!でも作った物の質量に関わらず、必要な魔力量が決まっている。

という事はその現象の数、精度で魔力量が決まるんだよね?!」


「あなたには驚かされるわね。

私の考えもあなたと同じよ。」


「やった!」


「じゃあ、なんで皆は全属性の魔法を使えないのかしら?」


「うーん。その現象を起こすのに適した魔法の色が分からないから?」


「なるほど。独特の感性を持ってるわね。

あなたの言いたいことは多分私と同じ。

属性は全部で6つあるわ。

火、水、土、雷、光、闇。

そしてそれとは区別されて、今では人種では私しか使えない時魔法。

これらの現象を起こすためには必要な魔素、配列、イメージ、全てが違うの。

だから得意不得意があって、合わなければ一生使えないのよ。」


「うん。何となく分かる。」


「あなたはそれを色と表現したけど、同じね。

そして、その人の得意な魔法が分かる豆知識!」


「なになにー?!」


「魔法の得意不得意は髪の色に出るの。」


「髪?」


「そぉよ。あなた達の種族は正確には龍人種。人種とは似て非なるもの。だから髪の色がそのままという事は無いみたいだけど、

人種は得意な魔法のイメージカラーがそのまま髪の色になるのよ。」


「例えば火なら赤とか?」


「えぇ。私の髪が紫色なのは、火と水の魔法が特に得意だからよ。」


「へぇ!面白い!」


「火は赤、水は青、土は茶色、雷は黄色、光は白、闇は黒ね。」


「じゃあ僕が人種の街に言ったら光魔法が得意な子になる訳だ!」


「えぇ。その通り。実際光魔法は得意みたいだから嘘にはならないわね。

ライル君は闇魔法が使えないって聞いたからちょっと嘘になっちゃうわね。」


「大丈夫!ライルは魔法使える剣士だから!」


「何が大丈夫か分からないけどキース君が言うなら大丈夫ね!

そしてこの魔法を全属性使えるキース君は、どんな魔法も使える事になるわ。」


「先生も使えるんだよね?」


「えぇ。ちなみにプラウも使えるわよ!」


「うん!」


「そして魔法の面白い所はここから。

現象を起こす力という事は、想像力次第でどんな魔法でも?」

「作れるんだ!?」


「その通り!だから私は沢山の魔法が使えるのよ!」


「ワクワクしてきたー!」


「その代わりすっごく難しいわ。

魔力量、イメージ、物理的矛盾、いろーんなこと考えて、上手くいかないと魔素が霧散して終わり。だからね。」


「不発ってこと?」


「えぇ。でもそれが出来てしまえば面白いわよ!」


「面白そー!!」


「ふふふ。さっき言った6+1属性はあくまでも素でしかないの。いわゆる元祖魔法。」


「それを元に沢山の魔法が作れるんだね?!」


「その通り。ね?面白そうでしょ?」


「うん!」


俺は年甲斐もなく、いや、3歳だから周りからしたら年相応なのか?ぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。



あまり見せた事が無い喜び方に3人の女性が倒れかけた。



「とりあえず魔法の説明は分かりましたか?」


「はーい!」

「あーい!」


「二人とも元気でよろしい!

じゃあ次はレベルやスキル、称号等のステータスについて教えるわよ。」


「はい!」

「あい!」


「まずは職種(ジョブ)について説明します!

ジョブは、自分に適した特性を持つものしかステータスに現れません。

そしてこのジョブが発現した時点ではジョブ名しか見えませんが、そのジョブに対して適切な経験値を得ることでジョブのレベルが上がります。」


「おぉ!」


「このジョブのレベルは自身のレベルとは無関係です。

自身のレベルは経験値、基本的には魔素に生かされる生物を殺す事で集められます。」


「殺さないとダメなの?」


「えぇ。こればかりはどうしようもないの。」


「そっか。

それは人間も対象になるの?」


「もちろんよ。」


「じゃあ植物とかは?」


「なるけど、気が遠くなるくらい少ない経験値ね。1部を除いては。」


「なるほど。植物系モンスターとかだとそれなりに貰えるんだ?」


「よく分かったわね。その通りよ。

これは相手とのレベルの差だけでなくて、色々なファクターを通した強さの差で経験値が決まるわ。

その内容については今でも解明されてないわ。

もう一つ経験値を得る方法があって、それは魔石を取り込む方法。」


「魔石?」


「えぇ。魔力量の多いモンスターや、人間にも魔力の強い人は体内に生成されて、それを自ら破壊して取り込むことでも経験値が貰えるわ。」


「どちらにしても殺さないといけないの?」


「えぇ。取り出した時その持ち主は絶対に死ぬわ。」


「そっか。」


「話は戻るけど、ジョブはある一定の条件を満たせばステータス画面に出てくるの。キース君は魔力が一定値以上だから魔道士が出てきたのね。」


「じゃあステータス上げたりしたらもっと増えるの?」


「そぉよ。沢山のジョブがある人はそれだけ強いとも言えるわね。」


「なるほどー。」

「あいあい!」


「各種ステータスが解放条件って決まりは無いから日頃の行いとか色々気をつけることをおすすめするわよ。」


「はい!」

「あい!」


「各種ステータスはレベルアップ、鍛錬で伸ばせるわ。

もう一つが称号。

これも能力値だけじゃなくて行いによっても解放される事が分かっていて、解放した段階で上方補正、下方補正がある称号もあるわ。

称号もジョブも1度解放されたら取り消せないから気をつけてね。」


「はーい!」

「あーい!」


「さ、難しい話はこれで終わりね。

質問は?」


「えっと、僕が母さん達の結界から出ようとして腕を食べられたでしょ?この辺に僕達が倒せるようなモンスターっていないの?いないといつまでもレベルが上がらない。」


「その話をしてなかったわね。

基本的にはあまり気にしないんだけど、プラウ達のように魔力量の多い存在は放出し続けてる魔力量も大きいの。

だからその魔力によって常に周りにはモンスターが集まってきてしまうの。」


「そぉなの?!」


「えぇ。魔素の濃い部分では魔石が発生しやすくなって、その魔石を元にモンスターが生まれるのよ。」


「そっか。」


「プラウ達はこの世界では最強。つまり馬鹿みたいな魔力量を放出してるから集まったり発生するモンスターも馬鹿みたいな強さのものが多いのよ。」


「じゃあ離れてくほど弱くなるの?」


「えぇ、この森はかなり大きいけど再外周はほとんど魔物も居ないわよ。」


「そぉなるとモンスター倒せないよ?」


「そぉなると思って弱いモンスターを確保しておいたわ。

そのうち連れてくるから実戦の練習も出来るわよ。」


「やった!」


「でも、その前に。まずは魔法をもっと正確に、精密に使えるように練習する所からよ?」


「分かった!」

「あい!」


「今日はこの辺りで終了!

魔法は次に来た時に教えてあげるわ。」


「パーム先生ありがとー!」

「あーい!」


「ごふへぁ!

し、幸せのマルチパンチ…ごほぉー…」


しばらく遊んで満足したのかパーム先生は去っていった。



プラウ母さんとジーズ母さんは自分達のせいでここから俺達が出られない事を気に病んでいたみたいだが、そんな事は特に気にする事ではないと言ったら泣きながら俺とライルを抱きしめた。



前世でここまで親に直接的な愛情を受け取っている人間を見た事が無かったのでたまにライルと困った顔をしてしまうが、基本的には嬉しい。



しかし、ここから先の事を考えるといつかはここを出たいと考えている。



色々な世界を見たいし、色々な魔法にも興味がある。



子離れの心配はその時すれば良いとしてもやはり頭を抱える問題な事には変わりはない。



パーム先生は週に2回ほど来てくれる。



時間の感覚や1年の感覚は日本、前世とほとんど変わらない。



つまり、7日間に2日来てくれるペースだ。



そして今日が2回目の授業。



「キースくーん!ライルくーん!」


「パーム先生!」

「あいー!」


「久しぶりね!さ!今日は魔法の練習しましょう!」


「お願いします!」


「そぉね。まずは魔法を使うところからにしましょう。

それじゃ出来そうなら火の玉を作ってみて。」


「はい!」

「あい!」


ボボッ


2人して火の玉を作る。



「うん!素晴らしい!

そのまま維持して話を聞くように。

まずは前のおさらいね。2人の火の玉を見比べると一目瞭然だけど、同じ火の玉でも随分違うわね?」


「はい。僕の火の玉はライルより大きくて高温。そして安定してます。」


「そぉね。ライル君も1歳で火の玉出せるとか十分天才。

でもこの2つの魔法は大きく違うわ。

ライル君のは情報量が少ないので炎が揺らめいて消えてしまいそう。

そして温度も低い。

多分そぉいった情報まで魔法に入れなかったせいね。」


「むむー!」


「聞いた話ではライル君は剣士。それだけの魔法が使える時点で充分凄いけど、もっと多くの情報量を入れることを考えてみるとより良いわ。

そしてキース君はまだまだ無駄な魔力を使ってるわ。」


「無駄な魔力?」


「えぇ。あなたは物凄い量の魔力量だから気にしてないかもしれないけど、魔力をいかに無駄無く使えるかはその魔法自体の精度に関わってくるわ。」


「なるほど。でもどぉしたら良いんですか?」


「そぉね。あら、ライル君はギブアップの様ね。火の玉が消えてしまったわ。」


「うー!」


「ライル君は使える魔法の種類全てで同じ様に玉を作ってみて。より情報量の多い物をね。

そしてそれを維持するの。すると想像力が着くし、持続力。つまり魔力量自体がアップしていくわ。」


「あい!」


ライルはひたすらそれに打ち込んでいた。



剣術が得意なだけあって集中力は尋常ではない。



直ぐにマスター出来るはずだ。



「キース君は、魔法を使う上で重要なもの、つまりより強力な魔法を使うために最も必要なことって分かるかしら?」


「んー…魔素の操作能力ですか?」


「相変わらず素晴らしわね。

その通り。あなたは既に魔力量が凄まじいからその魔力量をより効率的に使うために魔素を完全にコントロール、効率的に魔法に変換するプロセスが大事よ。」


「うん。魔素をより多く、的確に操作出来れば、必要な魔素ギリギリで完璧な変換が出来るってことですよね?」


「えぇ。そのために今のあなたがする事は、魔素のコントロール。

魔素自体は感じられてるみたいだからできるかな?」


「やってみます!」


俺は1度火の玉を消してより少ない量の魔素をコントロール、火の玉を作る。



がしかし、火の玉が発生しなかった。



「絞りすぎたわね。それを繰り返してより正確に、精密にコントロール出来るように練習しましょう。」


「はい!」


「じゃあ次に来る時までそれを頑張って練習してね?」


「はい!」

「あい!」


俺とライルはひたすら同じ事を繰り返した。



コントロール自体は可能だがベストなコントロール量を手探りで探す。



この情報量ならばこれくらい、と言うように非常に気の遠くなる話だが、辛くは無かった。



むしろ非常に楽しい。



飽きもせずひたすら練習した結果を三日後にパームに見せることとなった。



「はーい!二人ともー!元気にしてましたかー?!」


「はい!」

「あーい!」


「今日は前に教えた練習の成果を見ましょう!

そこから改善点を見つけて更に良くしましょう!」


「はい!」

「あい!」


「じゃあまずはライル君から!」


「あい!」


ボッ


「え?!」


「あーい!」


「ま、まさかここまで来てるなんて…」


「ライルは努力家だから!他の魔法も同じくらいだよ!」


「え?!

凄いわ!情報量が倍以上に上がってるわよ!

それに持続時間も倍以上!」


「あい!」


「正直ビックリしたわ!

これは次の段階ね。ライル君はキース君がやってた練習をしてください!」


「あい!」


「ビックリしたー。」


「ライルは凄いでしょ?

魔力量も大分増えたと思いますよ!」


「そぉね。たった三日でよくここまでやれたものね。」


「うん!」


「自分のことみたいに喜ぶのね?」


「弟だから!」


「そっか!偉いわね!

じゃあキース君の番!」


「はい!」


ボッ


「?!」


「どぉです?」


「なんて美しい魔法なの?!」


「でもまだほんの少しだけロスがあるんです。」


「いやいや、本人以外には分からないレベルよ?!そんな綺麗な魔法初めて見たわ!」


「ありがとうございます!それでなんですけど。

授業を聞いてて考えてたんですけど、ロスなく使えるのであれば、こんな事も出来るかと!」


「ん?………んん?!」


「自分から放出される魔素をコントロールして、拡散させた場合、こんな風に魔素の出ない人間を作れちゃう!」


「ほ、ホントだ…ちょ、ちょっと待って!」


ゴソゴソ


「私が持ってる魔力量測定器!これで魔素量測ってみてくれる?!」


「はい。」


「えぇ?!ぜ、ゼロ?!」


「?」


「キース君…凄いわよ!魔素のコントロールがほとんど完璧に出来てる証拠よ!?」


「ありがとうございます!

それで、もし魔法具なんかがあったら、それを使ってやれば母さん達の周りに魔物が集まらないんじゃないかなって!」


「「……キースー!!!!」」


「か、母さん達?!」


「うえーん!なんていい子なのー!」


「母さん達は幸せ者よー!」


「確かに理論上は出来るわね。

でも多分まだまだ先の話になると思うわ。」


「え?!

なんで?!」


「魔法具自体は沢山あるけど、魔素のコントロールを出来る魔法具は無いのよ。」


「なんで?」


「魔法具って言うのは魔石を使って魔法、つまり現象を起こすものなの。

魔石自体が媒体となって魔法陣を介して現象を起こす。だから魔素を操るのは、魔法陣。

そしてキース君がやってるように魔素のコントロールには必ず人の感覚と手が必要なの。

それを代替する魔法陣って無いのよ。

今まで試みはあったのだけれど成功した人はいないわ。」


「そっかー…」


「いいのよ!キース!あなたのその気持ちだけで充分!私達はどうしてもそのコントロールが苦手だからこうして森にいるけど、嫌なわけじゃ無いから気にしないで?」


「でもやっぱり僕いつか必ず魔法具作って母さん達と街に出たい!」


「「キーースーーー!」」


「ふふふ。キース君は本当に凄いわね。じゃあ頑張って色々教えなくちゃね!」


「はい!」


「じゃあ今日は、魔法陣について触れたし魔法陣を教えます!」


「?はい!」


「魔法陣の役割はさっき話したわよね?」


「はい!」


「魔法陣って言うのは…」

「パーム先生!」


「どぉしたの?」


「魔法陣って、皆見ただけじゃ内容分からないんですか?」


「………は?!」


「えっと、色々聞いてて不思議に思って。」


「えっと、キース君は魔法陣見ただけで内容分かるの?!」


「え?はい。」


「………あれ?私何教えたらいいの?」


「ん?」


「魔法陣って言うのは今まで誰も読み解けていないのよ。

役割は分かっているけどイメージを与えるとそれに適した魔法陣が世界の理で自動的に生成されると考えられているわ。」


「はい。そぉですね。

だから先生に聞いて色々な魔法考えて試した結果、それがどぉやって機能してるのか解析したら大体分かったんですけど。」


「えぇー…」


「あれ?僕おかしかったです?」


「えっと…まずは魔法を自作したってことでいいのかしら?」


「はい!まだ10個くらいですけど出来ました!」


「じゅ、10個…しかもそれだけで解析したのね…?」


「は、はい…」


「えっと…」


「今日は解析したけどさっきの魔法具を作るための魔法陣が分からないから聞こうと思って…」


「まったく…本当の天才ってこんな子の事を言うのね…」


「ご、ごめんなさい…」


「キース君!そんな顔をしないの!

あなたは凄い魔道士なのよ?喜ぶべきところなの。

確かに3歳とは思えないけど年齢は関係ないわ。

あなたは素晴らしのよ。もっと自分に誇りを持ちなさい。」


「は、はい!」


「それで、魔法陣って言うのはどういう仕組みになっているのかしら?」


「えっと…説明は非常に難しいです…。

形や文字、その他諸々の内容が絡まりあっているので…感覚的に…です。」


「なるほど…やっぱりあなたは天才よ。

でもあなたに分かるのなら私にも可能性があるはず。

帰ったら勉強ね!」


「え?帰っちゃうんですか?」


「正直教えられることはもぉほとんどないのよ。

キース君がいればライル君の指導も出来ると思うし。

後はプラウ達もいるしね!」


「そんなー。せっかく仲良くなれたのに…」


「なーにを勘違いしたのかしらないけど、これからもちょくちょく来るわよ?

せっかく仲良くなれた天使達に会いに来ない手は無いでしょ?

それに解析した魔法陣について色々聞きたいし。」


「ほんと?!」


「えぇ。それにレベルアップの魔物もまだ連れてきてないしね。」


「やったー!」


「ふふ。じゃあ次来る時は実戦よ!」


「はい!」


パーム先生はそそくさと、ブツブツ言いながら帰った。



たった数日だけど俺の魔法基礎はパーム先生から受けた知識。



この恩は一生掛かっても返していくつもりだ。



ライルも同じ考えらしい。



それからは俺がライルを教える事になった。



と言ってもライルは1度教えたら練習して必ずものにする。



前世からもそうだった。



俺に少しでも近づきたいからと言われたが俺なんかよりずっと凄い。



俺も負けないように頑張らなくては!



数日後、パーム先生はゴブリンを連れてきた。



「それじゃあ私からの最後の授業になるわ。」


「はい!」


「キース君。今回はゴブリンを連れてきました。

今回はこのゴブリンと戦ってもらいます。」


「はい!」


「キース君。確かにあなたは天才だし、素晴らしい才能を持っているわ。

でも、実戦ではそんな才能が仇になるケースも沢山あるの。

自分の才能を過信せず、常に自分が劣っていると心に言いながら戦闘しなさい。」


「はい!」


「それでは解放します!」


パーム先生がブツブツ言うとゴブリンの鎖が解ける。



手にはこん棒が握られている。



ゴブリンの背はさほど大きくはない。



俺よりも少し大きいくらい。



しかしその筋力は人間の大人さえ適わない程のもので非常に危険。



冒険者も侮ってやられるケースが常に見られる程。とパーム先生から聞いた。



俺は前世で殺傷行為自体はした事があった。



実は弟が裏闘技場に出てると聞いて思わず行ってしまった。



出場者として。



もちろん弟と当たらないようにカードは調整した。



そこで何人か殺めている。



特に鬱になったりとかは無かったが、そんな自分に嫌悪感を少し持ったこともあった。



そんな過去があるため、ゴブリンを殺傷することに対しては引け目はない。



レベルを上げなければ生きては行けないし、それがこの世界のルールでもある。



俺は素早く火の玉を作り出すとゴブリンに向けて発射する。



ゴブリンが火の玉を避けようと横っ飛びを試みる。



が、俺が同時に発動していたバインドに動きを封じられ直撃する。



ゴブリンの上半身は消え去る。



ドサッとゴブリンだったものが倒れると死体は霧散して消えた。



「おめでとう。これで実戦は終わり。大丈夫?」


「はい。」


「強いわね。

最後の授業。魔物なんかの魔素から作られた様なものは死ぬと今のように霧散して消えるわ。

その時に魔石や1部のパーツが霧散し切れずに残る事があるの。

それをドロップアイテムと言って色々なものに使われているわ。

とても貴重なものも多くて重宝されるの。

これがあるから冒険者と言う職業が成り立つわけね。」


「そぉなんだ。じゃあ体を吹き飛ばすような攻撃は避けた方が良いのかな?」


「基本的には討伐優先よ?

手加減して自分が殺られたら元も子も無いから。」


「分かりました!」


「それではこれで私の授業は終わりにします!」


「ありがとうございました!」

「あーと!」


「いい子達ね。また来るから仲良くしてね?」


「もちろん!パームお姉ちゃん好きー!」

「しゅきー!」


「マルチパンチ!私必死!」


ヘロヘロになりながらパーム先生は帰って行った。



「キース。お疲れ様。」


「うん!」


「これからはどぉするの?」


「んー、出来ればもっとモンスターと戦って強くなりたい!」


「さすが私達の子ね。」


「よく言ったわ!」


「そぉね。ライルもあなたと共に動ける様になったら2人で森の端まで連れて行ってあげる。

そこから2人で力を合わせて私達の元に戻ってきなさい。」


「…分かった!」


「まだ先の話だからしばらくはここに居るのよ?

それでキース。あなた既にファンカンテを解けるわね?」


「やった事ないけど…多分。」


「あなたには2つまでファンカンテを解くことを許可します。」


「3つ目は?」


「ダメ。あなたが魔素をコントロール出来ても体が追いつかない。

解除したら弾け飛んでしまうわ。」


「う…」


「私とジーズの許可が降りるまで絶対に解除しないこと。」


「うん!分かった!」


「よろしい。

それにここまで来るだけならファンカンテの3つ目を解除しなくても辿り着けるはずよ。」


「うん!もっと頑張ってその時まで力つける!」


「頑張りなさい!」


「うん!」


そこからは毎日毎日魔法の開発、練習の日々だった。



ライルも3歳を迎えるころから動けるようになり、少しずつ慣らして行った。



ちなみにライルのステータスは下のようだった。



名前=ライル-フラクネル

種族=龍人種

レベル=1

称号=双龍愛を受けし者(全ステータスにプラスの効果、中)

精霊王の試練を越えし者(全属性の魔法力にプラスの効果、中)

世界を渡る者

スキル=ドラゴンブレス

=闇魔法耐性

=異世界の剣技

職種=剣士

体力=1200

筋力=1500

俊敏=1100

物防=1600

物攻=2500

魔防=100

魔攻=120

魔力=160

火=80

水=60

雷=70

土=60

光=40

幸運=100


完全な剣士型。



体力等千越え。



母さん達が卒倒してパームお姉ちゃんは開いた口が塞がってなかった。



それ程までに3歳児の能力値を越えていたからだ。



スキルにドラゴンブレスがあるのは恐らく母さん達の子だから。



未だに使い方は分からない。



教えてと言ったら森が無くなるからダメだと言われた。



一体どれ程の威力なのか。



そして俺が6歳。キースが4歳になった時、遂にその日が来た。



「二人とも。」


「「はい!」」


「今までよく鍛えてきました。ここからはあなた達自身の力でレベルアップしてきなさい。」


「「はい!」」


転移魔法をプラウ母さんが発動させる。



「頑張ってきなさい!」


「「はい!」」


俺とライルは転移魔法に入った。



どこからか心地良い風が吹き抜ける。



原っぱにいた。



後ろを振り向くと大きな森が広がる。



ここから俺とライルの初めてのレベルアップの旅が始まった。



「兄さん。僕とりあえず武器が欲しい。」


「ん?あぁ。そりゃそぉだわな。」


「やっぱ木の剣とかかな?」


「いや、せっかくだしあれ試してみるか。」


「ん?」


「よっと。」


地面に手を添える。



そのまま手を引くと地面から1本の刀が出てくる。



「うぇ?!なにそれ?!」


「へっへ。どぉよ?」


「どぉやったの?!」


「魔法さ。

素材は石だから日本刀とは行かないけど強化魔法掛けたから簡単には折れたりしないぞ!」


「すっげ!僕にも出来る?!」


「いや、残念だけど難しいな。」


「ちぇー。」


「ま、必要なら俺が作るから大丈夫だろ?」


「普通に魔法じゃ作れないの?」


「出来るけど素材があるならそれを使った方が効率も性能も良いんだよ。想像より現物の方が情報量は基本多いからな。」


「なるほど…」


「最悪魔法で作るけど基本は素材使って作った刀を使った方が良い。」


「分かった。」


「鞘も作ったから戦闘時以外は収めとけ。」


「うん、」


5歳児が持つ刀だから若干短いがステータスは充分なため脇差程小さくは無い。



「さて、行きますか。」


「うん!」


俺とライルは森に入った。




その頃プラウとジーズは…



「あの子達大丈夫かしら…怪我なんかしないかしら?」


「怪我?!が、我慢出来るかな…?」


「私キレて助けに行っちゃったらどぉしよ…」


「あんなにカッコよく送り出したのに常に魔法で気づかれないように見てるなんて知られたら怒るわよキース。ライルも。」


「えー!怒られるの?!私泣きそう…」


「もぉ全神経集中して見つからないようにしなきゃ。」


「頑張って姉さん!」



まったくカッコよく無い2人だった。




「よっと。」


「どぉだ?」


「うーん…兄さんの索敵魔法通りこの辺りにモンスターはいなそうだね。」


「そっか。レベルアップも必要だけど自給自足だからな。木の上からなんか食えそうなもんとか見えないか?」


「えーつと…あれなんだろ?」


「どれだ?」


「100メートルくらい先の木についてる実。」


「えーっと…あれか。」


「あれって食べられるのかな?」


「どぉかな。とりあえずもぎってみようぜ。」


「うん!」


遠視の魔法で実を確認した俺達はその木に近づく。



「なんか前世で食ってたミカンみたいな形だね?」


「だな。とりあえず食ってみるか。」


「えっ?!いきなり?!」


「食ってみなきゃわからんだろ?」


「危ないよ…」


「んー、そぉだなー。そんじゃあるだけ取って誰かに食わせてみるか?」


「誰かって?」


「モンスター。」


「なるほど…毒耐性とかないかな?」


「どぉかな。でも何か食えるもん探さないと俺達も死んじゃうぞ?」


「ある程度冒険も必要か…」


「即効性の毒とかじゃなければ大丈夫だし何匹かに試して大丈夫そぉなら食ってみようぜ。」


「分かった。」


「?……なんか引っかかったな。」


「どっち?」


「あっちに50メートル。」


「えーっと。……兎?」


「なんかゴッツイ角生えてるな。」


「うん。一角兎だね。」


「一応モンスターだったな。」


「うん。運が良ければ肉が手に入るモンスターだから食用に使われるって言ってたね。」


「あいつこの実って食うのかな?」


「どぉだろ?草食って言ってたし食べるんじゃない?」


「よし。あいつとりあえず狙うか。実を与えてみて食ったら少し観察。食わなきゃそのまま倒しちゃおか。

俺はゴブリン1回倒したことあるしライルがやるか?」


「うん。とりあえず少しでも経験値手に入れておきたいな。」


「よし。援護する。」


ライルはひとっ飛びで木の上に上がる。



俺は静かに一角兎に近づく。



ライルが木の上から実を投げる。



兎の前方に落ちて兎は直ぐに木の幹に隠れるがしばらくすると顔を出す。



周りを伺っているようだ。



敵がいないと判断したのか木の実に近づき匂いをかいでいる。



しばらく実の周りをクルクルしていたが遂に食べた。



最初の約束通りしばらく観察する。



木の実を美味しそうに食っている一角兎。



特に変化は無いようだ。



ライルとアイコンタクトを取ると俺はバインドを発動させる。



実に夢中になっていた兎はその場に足止めされる。



と同時に木の上から刀を振りかざして降りてきたライルに首を切り取られる。



しばらくすると兎の体が霧散していく。



「肉はドロップしなかったか。」


「うん。でも。」


「あぁ。初めての戦利品だな。」



一角兎は角を残して霧散した。



「素材としては武器には向かないかな?」


「んー。だな。多分象牙とかと同じ様なもんだな。」


「これは兄さんが持っててよ。」


「良いのか?ライルが仕留めただろ?」


「んー、ドロップアイテムとかは基本兄さんの方が上手く使えるでしょ?」


「お前が良いならそぉするがみんな俺の事買いかぶり過ぎだろ?母さん達もパームお姉ちゃんも。」


「あはは!兄さんほんとかわらないよね。

前世から自分のこと優秀だと思ったこと1度も無いでしょ?」


「そりゃそんな事ないからな。」


「兄さんに慢心とかありえないよね。

だからこそ追いかけがいがある。」


「ん?なんか言ったか?」


「なにも?

それより実は食べられそうだね?」


「だな。とりあえず俺が食ってみる。何かあったら頼むぞ。」


「分かった。」


俺は実をかじる。


どぉやらミカンのような形だが皮があるわけでなく柿の様だった。



「味は柿みたいだな。」


「美味しい?」


「甘くは無いな。美味いかと言われたら不味くは無いってとこ?」


「とりあえず半分に分けてアイテムボックスに入れとく?」


「だな。角も入れとくか。」


「次はどぉする?水が必要なだよね?」


「そぉだな。この辺に川とかあるのか?」


「どぉかな。さっき見た限りでは見えなかったけど。」


「さっきの兎も水は必要だしどこかから手に入れてるはずなんだが…」


「もぉ少し進んでみようよ。その先に何かあるかもしれないし。」


「だな。行くか。」


俺とライルは先に進み始めた。



「また反応。」


「あれだね。」


しばらく進むと一角兎が何匹か見え始める。



最初の1匹は少しはぐれた所にいたやつだったらしい。



何匹か倒しながらすすむ。



兎の出現率が増してきた辺りに長細い実をつけた木がちらほら見え出す。



静かに観察しているとどうやら兎達はその実をかじっては水を飲んでいる。



「あれ水袋みたいになってるのか。」


「多分吸い上げた水を実に蓄えてるんだな。」


「これでなんとか水問題は解決しそうだね。」


「あぁ。次はいつ出会えるか分からないし実はできるだけ確保していこうか。

うさも経験値になってもらおう。」


俺達は水の実と兎を狩りながらずんずん進む。



おかげで兎肉が6個、角が3個、水の実(インベントリに入れたら水吸花の実と分かった)が20個手に入った。



「日も暮れてきたしそろそろ寝る場所確保するか。」


「だね。やっぱ木の上?」


「だろうな。魔法で木の枝変形させて寝れるスペース作るからライルは下に敷くもん探してきてくれ。」


「はーい。」


俺は木に飛び上がり魔法を使う。



変形だけなのでさほど時間はかからない。



ライルも使えそうな葉っぱをアイテムボックスに入れて運ぶため直ぐに戻ってくる。



「よーし。完成。」


「そぉいえば実は大丈夫そぉだね?」


「あ。だな。」


「となると…実をサラダ変わりにして肉は焼いて食べるのがベターかな?」


「任せる。」


「あはは。兄さん家事はからっきしだもんね。前世からずーっと。」


「うっせ!」


「あはは!とりあえず火の元になる枯れ木拾ってきたから火を焚こうか。」


木の上で火とか危ないと思うかもしれないがそこはさすが魔法の世界。



熱を遮断する魔法のおかげで燃え移ったりはしない。



「塩とかあればもぉ少しマシなんだけど。」


「肉が食えるだけマシだって。」


「それもそぉだね。」


「ステーキみたいで美味そうじゃないか。」


「うん。少し厚めに切って焼いたんだ。見た感じ油も少ないしその方が美味しいかなって。」


「いただきまーす!」


「はは!母さん達も遂にはいただきますって言うようになったよね?!」


「だな!最初はなにそれ?とか言ってたよな!」


「説明しても、それ必要?とか言ってたよね?!」


「まぁ弱肉強食の世界だしな。」


「まさか母さん達が言うようになるとはね?」


2人で兎ステーキを頬張りながら話に花を咲かせる。



1日目はこうして眠りに着いた。



2日目朝。



「ふぁー!」


「おはよ。」


「おはよー。」


「朝ご飯出来てるから食べてね。」


「サンキュー。」


「肉と実しかないからね。食べやすい様にサイコロステーキにしたけど重たかったかな?」


「いや、これからまた歩かなきゃいかんし力付けとかないとな。」


「うん!」


朝ご飯を終えると木を元の状態に戻して先に進む。



「そぉだ。昨日思いついたんだけどさ。この角面白い事に使えるかも。」


「へぇ?!どんな?」


「まず角の中心部分を空洞になるようにくり抜く。」


「うんうん。」


「完成!」


「早っ!?何に使うの?」


「これをこの水の実にぶっ刺す。

で穴から飲む。飲まない時はくり抜いた所を戻せば栓になるだろ?」


「飲み口ってことか!」


「あぁ。これなら全部飲む必要も無いし腰に下げとけばいつでも飲める。」


「こんな綺麗にくり抜くの魔法じゃないと難しいけど、兄さんなら簡単だね!?」


「これくらいならライルにも出来るだろ?」


「出来るかなー…兄さんみたいに魔力操作上手くないからなー。」


「やってみろよ。」


「わかった!

んー…こうだ!」


「ちょっと穴が歪な形だけど問題なさそうだな。」


「やった!できた!」


「よし!行くか!」


「おー!」


俺とライルは先に進む。



昨日あれほどいた兎の姿が全く見えなくなった。



どうやら俺達が狩ったことで危険な場所として離れた様だ。



予想はしていたため驚きはしなかった。



水の実は見つけたらなるべく回収する。



ずんずん進んでいくと索敵魔法に引っかかった反応がいくつかある。



「結構多いね。」


「あぁ。でもスルーしてたらいつまで経ってもレベルが上がらないからな。行くぞ。」


「うん。」


俺達はゴブリンの群れを見つけていた。



全部で10匹。



1匹を除いてこん棒を装備。



1匹は杖を持っていた。



「1匹はゴブリンの上位種かな?」


「多分シャーマンだろうな。」


「となるとシャーマンが最優先ターゲット?」


「だな。あいつとその傍の4匹は俺がやる。

離れた所で寝てる5匹はライルに任せる。」


「分かった。」


「じゃあ行動開始だ。」


俺とライルは別れてそれぞれ位置に着く。



俺は魔法でシャーマン達を屠れる位置に、ライルは木の上を伝って5匹の傍まで行く。



俺の魔法が合図だ。



俺は右手に魔素を集中させる。



バリッ



手を突き出すと雷がシャーマン目掛けて飛来する。



「ギャーーー!」


断末魔の叫びと共にシャーマンが倒れる。



すぐ側にいた二匹も感電して絶命。



追い討ちで更に2発の雷を放つ。



的確に2匹を貫いて5匹とも倒れる。



ライルの方の援護に回ろうと目を向けると5匹の真ん中に飛び降り、何事かと起き上がったゴブリンの首を一太刀で全て飛ばす。



10匹の死体は霧散。



「んーっと。こっちからは何もドロップしなかった!」


「そぉか。こっちは…お?!やったぞ!魔石だ!」


「ほんと?!」


「ほら!」


「ちっちゃいね?」


「あぁ。でも魔石は魔石だ。」


「うん!」


「なんか俺達のいた世界の宝石に似てるな。」


「だね。」


「こいつはエメラルドっぽいな。」


「魔石はみんなこの色なのかな?」


「いや、違うみたいだぞ。パームお姉ちゃんが言うにはモンスターの種類によって変わるらしい。

色によって魔石にも得意な魔法があるってさ。

こいつは緑だから風系統かな?」


「風?そんな属性無いでしょ?」


「あぁ。元祖魔法にはな。派生系だよ。」


「派生系?」


「あぁ。元祖魔法を組み合わせたり、元祖魔法の使い方で生み出された魔法のことを派生魔法って言うんだ。」


「じゃあ風は?」


「こいつは元祖魔法からの派生魔法じゃなくて運動魔法の派生魔法だな。」


「運動魔法?」


「俺が勝手に付けたなまえだけどな。

例えば火の玉を飛ばす時とか、どぉやって飛ばしてる?」


「飛べーってやる。」


「その飛べーってのが運動魔法。

火の玉に前進つまり運動させる現象を起こす魔法のことだ。」


「なるほど。確かにそれが無いと作っても動かないよね!」


「そっ。空気を動けーってやるのが風魔法。」


「じゃあ運動魔法って元祖魔法なの?」


「んー、元祖魔法ってのは基本的な物質を作り出す魔法のことだからな。それとは別だろうな。

敢えて言うなら基本魔法って所かな?」


「じゃあ風魔法は、基本魔法の派生魔法ってこと?」


「そぉだ。俺の解釈ではそぉなるな。」


「なるほど。でもそれって皆知らないの?」


「どぉかな?パームお姉ちゃんはなんとなく気づいてるみたいだけど。」


「教えてあげないの?」


「教えようとしたら断られた。」


「なんで?」


「今は、魔法陣の事だけ考えたいってさ。」


「毎日聞きに来てるもんね?!」


「だな!

よーし。次行くか次!」


「おー!」


魔石は俺が預かっておく。



経験値にしても良いが何かしら使えるかもしれないから必要とならない限りはアイテムボックス行きだ。



この森は外層、中層、内層と3段階に別れていて、層の分かれ目でモンスターの強さが一気に上がる。



外層はレベル1~50、中層はレベル100~300、内層ではレベル500~700のモンスターがうろつく。



因みに俺の腕を持っていったブラックファングはレベル700。



この森で最強のモンスターの部類だ。



俺とライルはこの外層を1週間で走破。



中層に行く前にレベリング、1週間後に中層へ、

中層を2週間で走破。



またレベリングを1週間行って内層へとすすんだ。



そして外層へ転移してから2ヶ月がたった。



ドチャッ


プラウとジーズの結界内にブラックファングの死体が放り込まれる。



「プラウ母さん。ジーズ母さん。帰ったよ。」


「ただいまー。」


「ほんと私達の子って相当よね。」


「まさか2ヶ月で辿り着くなんて…2年は覚悟してたのに。」


「そぉなの?」


「えぇ。まったく。嬉しいやら寂しいやらね。」


「とりあえずおかえりなさい。」


久しぶりに2人の母さんに抱きしめてもらった。



と言うか抱きしめられた。



二人とも胸がデカいから苦しい。



「これであなた達のレベルも大分上がったわよね。」


「うん。僕はレベル721。兄さんは…」


「今のブラックファングでレベル725になった。」


「よくやったわね。」


「さすが私達の子よ。」


「これからは食事は2人が用意しなさい。少しでも経験値を貯めておくのよ。」


「分かった。」


「レベルの高いモンスターの肉がドロップすると美味しいんだよね!

途中で色々拾って調味料も豊富だし!」


「ふふふ。二人とも逞しくなったわね!」


「後はひたすら強者と戦う事で経験を積んでいくしかないわね。」


「でもこの森の奴らは倒したよ?」


「あら?何か忘れてないかしら?」


「この森には最強のドラゴンが住んでいるのよ?」


「えっ…まさか…」


「明日からは私たちと稽古よ。因みに戦闘スタイルでドラゴンの姿で戦うわ。」


「…」


「因みに。私達のレベルは二人とも999。」


「当然レベルMAXですよね。」


「流石に相性があるからキースは私。ライルはジーズと訓練よ。」


「ほんとに?」


「えぇ。最強を見せてあげるわ。」


母さん達の言ったことは本当だった。



俺はレベル700を超えた時に2段階まで結界を解くと魔力量が6億を超えていた。



ライルも相当なものだ。



ある程度自信もついた。



しかし最強はそれを軽くあしらった。



どんなに手を尽くそうと、どんなに思考を巡らせようと、全て押しつぶされる。



自分達の力が以下に微弱なものか、自分達の経験がドラゴンにとってどれほど貧弱なものかを痛感させられた。



しかし、食事当番の事もあり、レベリングと戦闘を繰り返すうちに週に1枚、週に4枚と母さん達のウロコを剥ぐ事が出来るようになった。



ウロコを剥ぐ事がダメージになるかと言うとならない。



ウロコを剥いだとしても秒で新しいウロコが生えてくる。



しかし手応えは感じていた。



そしてそこから月日が流れた。



俺は12、ライルが10になる。



この時には1日で10枚程のウロコを剥ぐまでになっていた。



因みに2人のウロコは超絶希少価値が高いもので全てアイテムボックスに入れてある。



「あなた達の成果よ。胸を張って受け取りなさい。」


と2人に言われてずっと貯めている。



莫大な数になっている。



もちろん売る気は無い。



そんなある日のこと。



「はーい!二人ともー!元気にしてたかなー?」


「パーム姉さん!」


「久しぶりです!」


「って言うほど久しぶりじゃないけど。

はーい!抱っこー!」


「ちょっ、姉さん。姉さんも母さん達みたいに胸デカくて苦しいよ。」


「寂しい事言わないの!」


「うー。」


「よし。

っと。今日は皆にお願いがあってきました。」


「珍しいわね?」


「えぇ。実は私がずっとやってきた魔法陣の研究が認められて新たに魔法陣学という分野が出来ました!」


「おぉ!姉さんすごいや!」


「ありがと!

でもこれはキースの協力あってのもの。

正直キースの能力はこのままにしておくのは勿体ない。

そこで私の学校に来ないかと誘いに来たの。」


「え?今更学校?」


「あ、勘違いしてるでしょ?

先生としてしばらくいて欲しいの。」


「え?!」


「もちろん。給料は払うわよ。

それに、ライルも同じ先生としてしばらく雇いたいの。」


「僕も?!」


「えぇ。魔法剣士。主に剣士への指導ね。

うちは魔法科と剣士科の二科制を取ってるの。」


「な、なるほど。」


「で、期間はそっちで決めていいからそれこそ1週間でも良いし、付き合って欲しいんだけど…?」


「俺は姉さんの頼みだし、やってみてもいいかな。」


「僕も。」


「「や。」」


「え?母さん?」


「やー!やーだーやーだーやーだー!」


「いやーいーやーいやー!」


「駄々っ子?!」


「私達、2人のレベルアップのための2ヶ月で死ぬほど寂しかったのよ?!それをまたやるの?!寂し死させる気?!」


「二度と離さないもんねー!」


遂に来たな。子離れの時が。割と悩みの種ではあったが。



「俺達は行くよ。」


「え?!キースが不良になったー!えーん!」


「いや、不良じゃないけど…やっぱり母さん達と街で暮らしたいんだ。世界も見たいし。必ずいつか呼ぶから。それまで待ってて欲しいんだ。」


「う。」


「僕も同じ意見。やっぱり世界を見て回りたいし。強くなりたい。

だから行かせて欲しい。」


「うぅ。」


「子離れの時ね。」


「「うー!うー!」」


「ほら。しっかりしなさい。あなた達、母親でしょ?」


「分かったわよー。寂しいけどー。許すわよー。その代わりたまには帰ってきなさいよ?連絡も定期的にすること!」


「そーよ。母親だから心配なの。それが守れないなら離さないもん!」


「分かった。必ず守るよ。」


「僕も。」


「決まりね。

直ぐには無理だから一月後に迎えに来るわ。」


パーム姉さんは笑顔で戻って行った。



「母さん。わがまま言ってごめんね。」


「寂しいけど、わがままは子供の特権よ。

頑張りなさい。」


「そぉね。応援してるから。」


「ありがとう。母さん。」


「さて!気持ちを切り替えましょう!あと一ヶ月。

その間に2人には覚えてもらいたいことがあるの。」


「「??」」


「忘れた?ドラゴンブレスよ。」


「あぁ!スキル!」


「えぇ。このスキルはその破壊力のせいで私達でさえ使用を限定するくらいよ。だから使う時が来ない事を祈るけど。やっぱり切り札は必要でしょ?」


「そぉね。それにこれが出来なきゃドラゴンとは言えないものね。」


「それを教えてくれるんだね?!」


「教える…とは違うかも。

私とジーズのドラゴンブレスを見せる。それを見てあなた達がひたすら練習する。」


「正直このスキルにコツとか方法とか無いのよ。

本能で出来るって感じだから。」


「すごくアバウトだね?」


「必殺技なんてそんなものよ!

さて、じゃあとりあえずやってみましょうか。」


プラウ母さんとジーズ母さんがドラゴンの姿になる。



いつ見ても、何度見てもその姿は美しいとしか言い当てられない。



「いくわよ。」


プラウ母さんが上をむく。



ドゴゴゴゴゴ


上空に向けて打ったドラゴンブレスは光の柱となって遥か上空まで伸びていく。



あまりの威力に地面が地震を起こしたように激しく揺れる。



続いてジーズ母さん。



同じ様に上を向いてドラゴンブレス。



真っ黒な柱が上空に向かって伸びる。



どちらも威力は凄まじい。



「「………」」


「こんな感じよ。」


「いやー。凄すぎて全くわからないね。」


「あぁ。正直理解不能としか言えないな。」


魔法陣も無く、そのブレスは言うなら破壊のみをもたらすものだ。



無理やり魔法に分類するとしたら破壊魔法。



だけど魔素も使っていない。



つまり魔法では無い。



この攻撃はひたすら異質だった。



人の形に戻った2人。



「できそぉ?」


「いや、どぉだろ。とりあえずやってみるね。」


………………


「………全然分からん。」


「んー。がー!って感じよ。」


「がー?えっと…

ガーー!………………うーん。」


今まで覚えてきた魔法のどれより難しい。



本能で分かると言ったけどさっぱりだ。



それから毎日練習するが全くわからない。



ライルも同じ。



無理なものを無理矢理やろうとしても出来ないから少し落ち着きましょと言われて一時休戦。



久しぶりに4人で横になってダラダラする。



「もぉキースが生まれてから12年、ライルが生まれて10年かー。長かった様な短かった様な。」


「2人は俺達が来るまでやんちゃしてたって神様言ってたけどどぉだったの?」


「今聞くー?!

そぉねぇ。あなた達が産まれる前は長ーい、本当に長過ぎる時間の中で物凄くやさぐれてたわね。」


「そぉね。最強になってやるって色んなところにケンカ売りまくってた時もあったわよね?!特に姉さん喧嘩っ早いから!」


「何よ。キレると周り見れなくなるジーズよりマシよ!」


「あはは!二人ともケンカばっかだったの?!」


「んー。確かにそんな時もあったわ。

でも最強と呼ばれて、最終的には双天龍と呼ばれるようになって…」


「双天龍?」


「えぇ。人種の本とかにはそんな名前で伝わってるわ。」


「天。つまりこの世で最も高いところに君臨する2匹の龍。って意味らしいわよ。」


「へぇ。」


「そぉなってからはだーれもケンカしてくれなくなってね。」


「最強にケンカ売るなんてバカいないでしょ。」


「あら。昔はそんなバカがたーくさんいたのよ?」


「そぉなんだ?」


「そぉよ。でも、それも無くなってからは毎日詰まらなくてね。ずーっと。寝てたわ。」


「俺が来た時も二人とも寝てたもんね。」


「だってやる事無いんだもん。」


「あはは!」


「そしたらあなたが来たのよ。最初は絶対お腹捌いてでも産んでやらない!とか言ってたけどね。」


「覚えてる。」


「でも少しずつあなたが大きくなって、私の中で生きている事をこれでもか!ってくらい主張するのよ。

お腹蹴ったり、押したり。

もぉそんな事されたらドンドン可愛くなってきてね。

最終的に私が絶対守るんだ!この子は私の子だ!

ってね。」


「…」


「あなたが産まれた瞬間の事は今でも鮮明に思い出せるわ。

産まれてきたあなたをジーズが受け取ったの。

元気な男の子!って言って私に見せてくれた時のあなたはまるで本物の天使だったわ。

なんて可愛くてなんて素敵なの!って。

その瞬間に誓ったわ。どんな事があっても、私の命を掛けてもこの子だけは絶対に守ってみせる!ってね。」


「ありがと。」


「ふふ。それからの姉さんはほんとに変わったわよね。

おっぱい飲んだ!とか、うんちした!とか。

ほんとになんでもないような事で馬鹿みたいに喜んで。あなたが泣きやまないとなんでなんで?!って最強の一角がオロオロするのよ?」


「ジーズこそキースが泣くと一緒になって泣いてたじゃない!」


「う。」


「ジーズもあなたの事が大好きで抱かせろ抱かせろってうるさかったんだから。」


「なんか照れるな。」


「うふふ。ライルの時も嬉しかったなー。」


「そぉね。」


「僕の時も?」


「そぉよ。あなたが来る少し前にキースが前世の事とかぜーんぶ話してくれたのよ?

それで自分は良いからあなただけでも育ててくれ!って2歳の子が必死におねがいするの。

今まで可愛がってた子がよ?そんなのどっちも大切に育てるに決まってるじゃない?」


「そぉだっんだ。」


「そしたらあなたが来てね。

最初は実感が無かったわ。お腹も大きくないし。

でも少しずつお腹が大きくなって、生きてるぞー!元気だぞー!って私に訴えかけるの。

もぉ可愛くて可愛くて。まだ顔も見てないのにメロメロよ。」


「…」


「出産は大変だったけど姉さんが頑張れって言ってくれてなんとか産まれてきてくれたあなたを見て本当に嬉しかった。

散々悪い事もしてきた私のところにこんなに可愛い子が産まれてきてくれた。なんて幸せなんだろうって。

だからあなたが産まれた時に誓ったのよ。

私にどれ程の不幸が振りかかろうとも全て受け入れるけど、あなたにだけは1つも不幸が振りかからないように守ろうって。」


「…」


「それからは毎日大変だったけどものすっごく幸せだったわ。

姉さんとあーでもないこーでもないって言いながらね。

楽しかった。」


「僕も楽しかった。幸せだった。」


「毎日毎日本当に幸せ。今でも幸せよ。

2人の為なら私達はなんでも捨てられる。」


「ありがと。」


「いいえ。私達の元に産まれてきてくれてありがとう。」


そんな事前世では絶対に言われなかった。



こんなにも愛されていたと改めて気付かされた。



その夜は4人で泣きながら笑いながら色々な事を喋った。



これ程までに愛してくれている母さん達に俺達は何が返せるのだろうかとライルと考えた。



きっと返しきれることなど無いと。分かっていたがそれでも、少しずつでも返したかった。



ライルと次の日に色々話し合った。



そして旅立つその日にプレゼントを渡す事を決めた。



サプライズプレゼント大作戦だ。



バレないようにコソコソ用意しながらドラゴンブレスも練習した。、



何故か分からないけど沢山話したあの日からドラゴンブレスが使えるようになった。



まだ弱く小さいけど練習する度にそれは大きく強くなった。



そして旅立つ日がやってきた。



朝起きると母さん達が朝ご飯を用意してくれていた。



「あなた達と朝ご飯食べるのも暫くお預けね。」


「うん。母さん達料理上手くなったよね!」


「あら。言うようになったわね?」


「最初は焼いただけの肉とそのままの果実だったよね?」


「う。だってドラゴンはそのまま食べるのが普通なんだもの。焼くことさえしないのよ?それがいきなり料理なんて言われたって難しいわよ。」


「まぁそぉなんだけどさ。今じゃパンもスープもなんでも作れちゃうもん。すごいや!」


「頑張りました!」


「パーム姉さんに沢山聞いてたもんね?」


「あ!知ってたのね?!」


「だって2人してキースが全然食べないの!人種のご飯教えてー!って泣きながら連絡してたらなんも言えないよ。」


「あははー…」


「ありがと。」


「ふふ。さ、食べましょ!」


「「「「いただきまーす!」」」」


「ふふふ。このいただきますも完全に染み付いたわね?」


「最初聞いた時は何言ってるのかしら?って思ったわよね。」


ゆっくり、じっくりと味わいながら朝食を摂る。



「さてと。パームは夜来るのよね?」


「うん。」


「じゃあそれまでは皆でゆっくりしましょうか。」


「そぉだね。」


旅立つ前の最後の日。



その日は口数も少なく、あまり話さなかったけど。



母さん達はずっと俺達を抱きしめていた。



きっと本当は今でも行くなー!って言いたいんだと思う。



それでも俺達の事を最優先に考えてくれてるから。



きっと笑顔でいてくれてると思う。



ちょっとキスが多いのは最後だし許そう。



昼食も皆で摂って、またまったりと過ごす。



日が落ちてきた。



「ねぇ。プラウ母さん。ジーズ母さん。」


「「なーに?」」


「実は2人に渡したい物があるんだ。」


「え?」


「なに?」


「ちょっと待ってて!」


ライルと打ち合わせ通りアイテムボックスから取り出す。



「「ジャジャーン!」」


俺とライルで渡したかったもの。



それは2人のドレス。



ドレスと言ってもラフな、普段着として使えるドレスだ。



プラウ母さんは白。ジーズ母さんは黒のドレス。



この1ヶ月で2人して色々な事を試した。



実は2人のウロコをアイテムボックスにしまっていたのは貴重ということと2人の欠片ということ。



それだけでは無かった。



完全物理無効、完全魔法無効効果のあるウロコは、加工が出来ないのだ。



理由は簡単。硬すぎる。



どちらのウロコもそのあまりの硬さに変形すらしない。



そのためアイテムボックスの中に大量に仕舞うことになったのだ。



それをなんとか加工してドレスを作る。



これが俺とライルで考えたプレゼント。



色々考えたが俺達の実力が上がったと伝えるにも良い方法だと思って考えた結果だ。



正直ドラゴンブレスの練習よりキツかった。



俺が今出せる最大出力の魔法でならばギリギリウロコを変質させられることが分かり、毎日毎日少しずつウロコを繊維状にしてライルがそれをドレスに織っていく。



一日で出来るのはウロコ1枚分がやっと。



デザインも2人で考えてかなり凝ったものにしたため昨日仕上がったばかりだった。



プラウ母さんのドレスは肩の部分が網掛けになっていて足元が斜めにカットされた清楚ながらも大人なドレス。



所々にジーズ母さんのウロコから作った繊維でラインが入っている。



夕日に照らされるとキラキラと輝いている。



ジーズ母さんのドレスは少しレース多めの可愛いながらもお淑やかさを兼ね備えたデザイン。



所々にプラウ母さんのウロコから作った繊維でライルが入っている。



こっちも夕日に照らされるとキラキラと輝いている。



「これを母さん達にプレゼント!」


「な、なにこれ?!めちゃくちゃ素敵じゃない!?」


「こんなのどぉやって?!」


「秘密でーす!」


「わー…ありがとう!大事にするわ!」


「一生の宝物ね!」


「素材は母さん達のウロコだから余っ程の事がない限りほつれたり破れたりしないよ。」


「普段着としても使えるようにデザインしたから沢山使ってね!」


「うれしー!でも、なんか勿体なくて着れなーい!どーしよー!」


「着てくれないと送ったのに寂しいって!」


「うー!わかったー!ありがとー!」


「すぐ着るー!」


2人はドレスを着る。



「「どぉ?」」


「うん。すっごく綺麗!」


「めちゃくちゃ似合ってる!」


「「えへへー…………えへへー。」」


「実はもう一個あるんだ。」


「まだあるの?!」



実はもう一つ用意していたものがある。



2人のウロコを変質して混ぜ込むと透明な素材になる事が分かった。



そして魔石。



これを混ぜわ合わせると実に美しい輝きを放つ結晶が得られる事が分かった。



しかしこの加工は極めて難しく、極少量しか精製できない。



そこで2人のウロコ、俺とライルが初めて手に入れた魔石を使って4つのピアスを作った。



1人で1つずつ。



俺達が4人で家族だという証に作ったピアス。



「なにこれ?!え?!すごっ!」


「1つの素材を4つに分けてピアスを作ったんだ。」


「ほら。僕達も着けてる。」


俺は左耳。



ライルは右耳に着けている。



「あー。なんて幸せなの。私達。」


「こんな息子幸せ過ぎるよー!」


「ほら、着けて着けて!」


プラウ母さんは左耳。



ジーズ母さんは右耳にピアスをつける。



「めちゃくちゃ似合ってる!」


「うん!完璧だね!」


「うれしー!」


「これが俺達が4人で家族だっていう証。」


「もぉ二度と外さないわ!」


「あはは。気に入ってくれた?」


「そりゃーもちろん!」


「あったりまえじゃないの!」


「良かった。」


「最後までやっぱり親子ね?」


「そぉね。」


「「??」」


「実は私達もプレゼント。」


「用意してたのよ。」


「「え?!」」


「ぜ、全然気づかなかった。」


「これはキース。」


「こっちはライルに。」


俺に渡されたのは杖とローブ。



杖と言っても30センチ程度の長さで持ち手の部分にドラゴンの飾りが黒で入っている真っ白な杖だ。

杖と言うより棒の方が表現としては近い。



ローブは真っ黒。



背中に白い糸で龍の刺繍が施されている。



ライルに渡されたのは2本の刀。



真っ黒な刀と真っ白な刀。



真っ黒な刀の持ち手には白い繊維で編み込みがされており、逆に真っ白な刀には黒の繊維で編み込みがされている。



まさか母さん達も同じ様な方法でプレゼントを用意してたとは…。



つくづく親子だと感じた。



「私の白いウロコは魔法の伝達率が非常に高いの。

だから杖と白い刀は魔法を使う時にきっとあなた達の助けになってくれるわ。加工したあなた達なら分かると思うけど強度は最高クラスよ。」


「逆に私の黒いウロコは物理無効。

ローブでは物理攻撃をカットしてくれるし、刀では刃こぼれもしないわ。切れ味、強度共に世界最高峰よ。」


「これがあなた達の旅の助けになってくれるはず。

ううん。なったらいいなと思ってあなた達に贈るの。」


「プラウ母さん。ジーズ母さん。ありがとう!」


「僕達、頑張るね!ありがとう!」


「そしてキース。あなたの結界を3段階目まで解除する事を許します。

危ないから気をつけて解除する事。それだけは約束して?」


「ありがとう。母さん。

約束する。」


「さぁ。そろそろ時間が来るわ。」


「うん。」


「二人共ー!準備は出来てるかしら?」


「はい!」


「え?!なにそれ?!めちゃくちゃ綺麗なドレスじゃない!プラウもジーズも!」


「いいでしょー!?ちなみにピアスまであるのよー?!」


「えー!すっごい可愛いー!ドレスもピアスもキラキラしてるー!」


「ふっふーん。キースとライルがくれたのよ!」


「えー!いいなー!羨ましー!」


「はっはっは!羨ましがりなさい!」


「くー!」


「パーム姉さんにも今度何か作るよ。」


「そぉだね。色々お世話になったしこれからもお世話になりそうだからね。」


「ほんと?!やったー!」


「こんな奴に作ってあげることないのよ。

毎日毎日来て。」


「まぁまぁ。」


「なによー。けーち!」


「パーム姉さん。僕達行くのは良いんだけど住む場所とか何も決めてないよ?」


「住む場所はこっちで手配しておいたから大丈夫。

その他諸々も一通り用意してあるわ。

詳しい話は向こうに着いてから話すわね。」


「わかりました。」


「じゃあ行きましょうか。」


「はい。プラウ母さん。ジーズ母さん。行ってきます。」


「行ってきます。」


「気をつけて行ってらっしゃい。」


「たまには帰ってくるのよ?」


俺達は母さん達に見送られてパーム姉さんと共に転移魔法に入る。



俺にとっては初めて出来た親だ。



いつか必ず呼んでみせると誓う。



「あなた達はまだ若い。

あっちについて教師として教える立場になるとその事で色々言われたりすると思うわ。

それでもあなた達の実力は私が保証する。

だから胸を張って取り組みなさい。」


「ありがとう。パーム姉さん。」


「少しの間お世話になります。」


プラウ母さんの話ではいきなり街にいって冒険者になろうとすると色々と大変だから身分を証明出来る様に、それと実績を作るために教師として1度雇われる事が重要らしい。



そういった経緯で俺達を雇うと言い出したらしい。



つまり俺達の事を考えた末の提案という事だ。



本当に色々考えてくれている事を嬉しく思った。



これから先魔法学校に雇われるができる限りの事はして行こうと思う。



「さぁ。あなた達の冒険はここからスタートよ!」


王立魔法学園トラタニス。



由緒正しい歴史ある学園。



ここから俺とライルの冒険が始まる。

読んでくださった方。



ありがとうございます!



初めまして!ルクランと申します。



異世界転生物語!



書いてみたくて書いてみましたww



まだまだ至らぬ所ばかりかと思いますが、少しでも読んでくださった方の心に残る物語になればと思っております。



今作はキースとライルの異世界での生い立ち、最強のドラゴンと呼ばれるプラウ、ジーズとの関係。



世界観についてなるべく細かく書きました。



少しでも読んでくださった方のイメージが異世界へと繋がるように。



次回は学園編。



キースとライルの学園での生活を描いた作品になります。



もし気になった方は是非次作も読んでください!



それではまた次作でお会いしましょう!

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