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7.魂を探してみよう。

本文の「**************」の前後でシーンが変わります。

また、前後で「彼」が指している対象が異なります。

 スライム退治を楽しんだ彼は、新米冒険者とはこんな気分なのかと余韻に浸っていた。人間がいる世界には魔物という害物が発生していることが多いのは、多くの転移転生モノ小説で学んだことだ。

 最近頻繁に意識を向けている世界にも魔物がいるのだなと考えた彼は、むしろその世界の戦士を転生させるのが小説のパターンに沿っているのでは、と思案する。

 思いついたら行動は早い。その世界に意識を向けて魔物がいる場所を探す。最初に見つけたのはスライムに襲われている個体だったが、死ぬのを待っていても変化がなかったため、他の魔物を探すことにした。だが彼は魔物というものを小説でしか知らない。この世界にいる魔物がどのようなものかもわかっていないため、探し方を変えてみる。

 広域に意識を張り、人間が動かなくなるのを待ち、そこへと意識を向けた。


「え? なにこれ」


 塀に囲われた建物の中で見つけたものは、頭部の付け根から糸状のものを伸ばしてぶら下がった人間であった。それは彼のイメージする疑似餌に似ていたが、彼の意識はその横に佇むものへと向いている。

 内側や外側の構造がない、液体のようなもの。だが粘性が感じられず、揺らぎもない。それはまるで人間のような形状をしており、彼が向ける意識に反応して音を発している。

 彼がその姿を見ることができたなら、首を吊った死体と同じ姿をしていることに気づいただろう。だが彼は未だに曖昧な認識しか出来ない。

 だがそれが他の人間とは異なる性質のものであることには気づいた。そっと糸のイメージで包んでみると、逃げる素振りもせずに音を立てている。完全に包み込んでも呼吸に影響がないのか、音はやまない。一度解放すると、それは再びぶら下がっているものの傍らへと移動して立ち尽くす。


「これが魂か? 取り出し方に決まりがあるのか?」


 思案してみるが答えは出ない。だがせっかくなので転生を試してみようと考え、どこに移すのかを考える。異世界転生を試す前に同世界転生を試しておこうと考え、魂の入っていない人間がどこで作られているのかと思案する。増える場所にこの魂を運んで混ぜれば転生するのではないかと考え、小説で増やし方を確かめることにした。

 家の中に他の人間の残骸が散らばっていることには気づいていたが、彼は興味を持たなかった。毎回の認識で慣れてしまったためである。そのため、その死体の傍らにも同様に魂が残っていたことには気がつかなかった。

 彼が消えた家の中で、首を吊った魂が家族を再び殺すために練り歩くのだが、彼には認識外のことだった。







**************






『…………そうか。おめでとう。親というものになってわかることも、悩むこともある。まぁ、その、なんだ。俺がわかることであれば、遠慮なくだな…………』


 彼女との同居生活が二年目になった頃、妊娠が発覚した。彼はそのことを喜び、叔父に報告をして子育てについて相談したいと伝えていた。自身の両親が事故によって死んでいるため、頼ることができるのは叔父夫婦だった。

 一度、彼女を連れてあいさつに行きたいと伝えて電話を切った。







ホラーもので、たまに今回の魂みたいな霊の話を見聞きします。

こういう定型の霊とか、なにか特定名称とかあるのかしら?

作者は怖いので調べていません。(知りたくもない)

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