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新たにものを作ります



これかの設定を細かく詰めたいのでそろそろ投稿ペースが落ちそうです。

 いつものようにリコルちゃんが家に尋ねてきた。

 そして薬ができたことを伝える。


「甘い薬ができたって本当ですか!」


 嬉しそうだ。よっぽど薬は苦かったんだね…


「渡す前に肌に塗らせてほしいものがあるんだけどいいかな?」


 リコルちゃんに受け渡し口から腕を出してもらう。

 私はリコルちゃんの服をまくってひじの裏を出して驚いた。


 肌荒れがひどいのだ。

 おそらく喘息からくるアトピーじゃなかろうか。

 小学校の時の喘息持ちの同級生もアトピーがひどくてプールに入れなかった。


「リコルちゃんこれ肌かゆくない?」


「かゆいですけど慣れましたよ」


 痛々しいぐらいだ。

 肌の色が黒っぽくなっている。


 とりあえず私はそこをよけて腕にはちみつをほんの少しだけ塗る。

 パッチテストというやつだ。

 はちみつにはアレルギーを起こすことがあるので確認が必要だ。


「レンさんいつまでこうしていればいいですか」


「もう平気だよ、しばらく様子が見たいから薬を渡すのはその後でいい?」


 リコルちゃんが腕を戻した。


「わかりました。でもなんでですか」


「新しく薬に入れたものがリコルちゃんの体に合うか確認してるの」


「そうなんですね!ところで新しく入れたものって何ですか」


 企業秘密とごまかしておく。はちみつなんて言ったらこの世界では高級品なのでおそらくリコルちゃんは薬を受け取ってはくれないだろう。


「もういいかな、肌をもう一度見せてくれる」


 リコルちゃんの肌を確認するが赤くなったりかぶれてはいない。

 大丈夫そうだ。


「どうですか?」


「問題ないから薬を渡すね」


 リコルちゃんに薬を渡すと「何だか黄色っぽいですね」と言われた。

 それではちみつが入っていることが気が付かれるわけないのだが少しひやひやした。


 リコルちゃんが帰って行ったので日課の採取に出かけることにする。

 アクスが外に出ると待っていてくれた。


「どちらに行かれますか?」


「森に行くよ」


 同行させていただきますとアクスが私の後ろをついてくる。

 ほむらは例のごとくどこかに行っている。

 名前を呼んでも来ないので今日は遠くに行っているようだ。


 今まではもしかして私を守るためにあまり遠くに行っていなかったのだろうか?

 後でほむらに聞いてみることにして私は採取を続ける。


 今日は食べ物以外に探しているものがある。

 それは石英である。

 水晶というとなじみが深いかもしれない。


 この付近に山がないだろうか。

 山があるのならば噴火した時のマグマの中には石英が含まれているだ。

 マグマが石になりそして風化てできた砂から石英が取れるはずだ。


 ということで知恵の泉の出番である。


「ラカン村の近くに山はありますか」


(村の中心部から約南に5キロの地点にある。その山はマリアド山と呼ばれている)


「マリアド山にマリアドの森がありますか」


(山のふもとに広がっている森である。広さは)


 欲しい情報がわかったのでスキルをぶった切る。


 案外近くに山はあった。

 マリアドの森の入り口から村までは北に1.5キロほどある。


 いつもこの距離を通うリコルちゃんはえらいよな…

 などと考えながら南に向かっていく。


 ちなみに道案内はアクスに任せている。

 木々が高いので山を見ることができないが平坦な道が上り坂になってきた。


「息が上がっておいでです。少し休まれますか?」


 アクスの言う通りかなりつかれた。

 知恵の泉の言う5キロとは頂上までの距離ではなく山の一合目までの距離だったようだ。


 山の近くの森では石英を微量に含んだ砂が見つけられたがせっかくならもう少し含有率の高い砂か石が欲しい。

 というわけで山登りをしているのだ。

 私も人のことを言えないがルーちゃんは体力がなくて山登りに向いている体ではない。


 魔法で作った水を飲んで一息つく。

 森で採取した果物がのどを潤していく。


 アクスに疲れないのかと聞いたら山を越えて蜜を取りに行くことがたびたびあるそうで大したことないとのことだ。


 私は自分を鼓舞して立ち上がる。

 しばらく歩くと土質が変わってきた。

 この辺りなら石英が取れるかもしれない。

 それにしても視界が開けたので上を見上げるが頂上が見えない。

 この山を越えるとか凄すぎる。


 鑑定眼をオンにして石や砂を見ていく。

 鑑定眼にはものの成分を見る機能がある。それも%で表示される。


 ある一帯の砂が石英含有率がとても高かったのでそこの砂をすくって持ってきていた袋に入れる。

 必要な量を入れて肩に担いだがさすがに重くて体がふらつく。


「私に持たせていただけませんか」


「いやこれぐらい平気だから、体力作りも兼ねてるし」


 そういってアクスに笑いかけるが歩いている私はよたよたしているので説得力はないだろう。


「ですが…」


 アクスは私が山道を登っているときに私をエサのように抱っこしようと何度かしてきた。

 そのたびに体力って大事だよ、飛ぶの怖いんだよね。などと言ってかわしてきた。

 アクスは私を甘やかそうとしてくる。

 いい加減アクスも焦れたようで砂の袋をとられてしまった。


「アクス、返して」


「いやでございます」


「それは私個人のものだから私が持つべきだ」


「何事も適材適所というものがございます。これはお嬢様が持つには重すぎるかと、それにお嬢様は籠もお持ちです。であるならば袋は私が持つのがどおりかと」


 籠はすでに中身を食べてしまっているので空でとても軽い。


「なら、私が袋をもってアクスが籠をもてばいい」


 我ながら意固地になっていることは分かっているが、私は自分のことは自分でやらなければ気が済まない。

 人に任すのは不安で仕方がない。


「もう少し甘えてください」


 アクスはそういうと私の手の届かない高さを飛行し始めた。

 こうなると手の出しようがない。


 私はあきらめてアクスにお礼を言う。

 アクスが降りてきて私の横を飛びながら、わがままな方ですねと言われてぐうの音もでなかった。

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