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一時帰宅

 寝てしまった私は地球に戻ってきた。時刻は午前8時。


 私は異世界で走り回った感動を神くんに伝える。


 よくよく考えてみたら神託スキルをオンにしていたので神くんは知っているはずなのだが、それでも楽しそうに聞いてくれた。


「蓮ちゃんの心はだいぶ元気になってきたね」


 確かにその通りだ、こんな風に嬉々として話す気力すら数日前の私にはなかったはずだ。


「それはそうだよ。ルーちゃんの体とはいえ蓮ちゃんはすごく頑張っているんだから。でも無理は本当にしちゃだめだよ」


 それはその通りだ私は引きこもるようになって心に決めたことがある。

 無理はしない。自分の気持ちは少しでも多く伝える。

 この二点である。いままでの私が全くと言っていいほどできていなかったことである。


「それならいいんだけどね」


 地球に帰ってきた私は椎名蓮の体でも食事をしてみることにした。


 食事といっても今まで通りの味の薄いドロリとした、栄養を取るためのものだ。

 まだ異世界で食べたように固形物を食べる気にはなれない。


 これは私が食べられるものをと母親がとても苦労して作ってくれる。


 仕事が忙しくて夜遅くに帰ってきても必ず作ってくれている。

 とても申し分けないがこれがなければ私は今頃栄養失調で病院で点滴を打っているだろう。


 一階に降りて冷蔵庫を開けるといつも通りそれは置いてあった。


 調子が悪いときはこれすら食べられないのだが今の私ならいけそうだ。


 スプーンですくって一口入れて驚いた。おいしいのである。


 私は二口めも口に入れる。


 今まで無理して食べていたのがウソのようにのどを通っていく。


 食べられたのはスプーン五杯分だが、今まででは考えられない食べっぷりである。

 いつもは一杯で食べられなくなり、その後時間をおいてまた食べていた。


 冷蔵庫に食事を戻して部屋に戻る。


 部屋にはいつも通り神くんがいた。


「お帰り~」


 ただいまと答えるのが不思議な気分だ。神くんが部屋にいるのが当たり前になっている。


「異世界にいく?」


 そのほうがいいと思う、ルーちゃんの体は草原で無防備に寝ているだろう。

 日が沈んだら風邪を引きかねない。


 草原で目を覚ますと日が沈みかけている。

 どれくらいたっただろうか。


 起き上がるとバサバサと体から木の葉が落ちていった。


 私の体にかかっていたようだが私にはそんなことをした覚えがない。


 村の子供のいたずらだろうか‥‥


 とりあえず悪意は感じられないので深くは考えないことにして家に帰る。

 風の音を聞き間違えたのかどこかから笑い声が聞こえた気がした。



 家に帰ると真っ暗になっていた。これはどうすればいいんだ。

 さすがにこの暗さで生活ができるとは思えない。


 そして気が付くこの世界には魔法があるではないかと。

 私は魔法を使おうといろいろ試すことにした。


「光よつけ!」


 ダメなようだ…


「ライト!」


 違うようだ。


「シャイン!」


 かすりもしない。


「この暗闇を照らす光よ!」


 誰が聞いているわけではないのだが恥ずかしい。そして光はつかない。


「蓮ちゃん~魔法はそんなんじゃ使えないよ」


 しまった!神託スキルが…


「いや、大丈夫だよ、ぷ、僕は、ふふ、笑わないから」


 明らかに笑い声が混ざっているよ。


「ごめん、ちょっと待って」


 何だか遠くから大笑いしている声が聞こえてくるが私の心の平穏のためにも聞こえないふりをしよう。


「お待たせ~、で魔法の使い方なんだけどまず体に流れている魔力を感じようとしてくれる」


 言われた通りに体の中の何かを探すがさっぱりわからない。

 座禅を組んでみたが駄目だ。ただ心が落ち着いただけだ。


「いやいや、精神統一と魔力の流れは全く関係ないわけではないからあながち間違ってもいないよ。でもダメそうだね。少しまってて」


 待たされること約20分(私の感覚だ)神くんが私の前に姿をもって現れた。


「騒ぎになるからこの世界に来れないっていってなかったっけ?」

「この世界の神様がほかの場所で顕現してごまかしてくれてるから大丈夫だよ」


 この世界の神様よかったんだろうか、何だか神くんにいいように扱われていませんか?


「細かいことは気にしないで、10分ぐらいしか持たないからささっとやるよ。手をパーにして肩のところに挙げてくれる?」


 私は言われた通りにする。武器を持っていないことを表すジェスチャーのような格好だ。


「そのまま動かないでね」


 私の手のひらに神くんの手のひらが重ねられた。


 ちかいんだけど…


「ごめんね我慢して」


 そう言った神くんとの距離はより近くなる。神くんがおでこを合わせてきたのだ。


「目をつぶれる?」


 これはあれだ、少女漫画ならキス一秒前だ。関係ないことを考えて現実逃避をする。

 一瞬神くんが大きく動いた。


「どうしたの?」


「気にしないで、目つぶって」


 言われた通りに目をつぶる。


「これから魔力を体に流すからそれを感じてみて」


 始めは何だかよくわからなかった。しばらくすると自分の中になにかの流れがあるのがわかってきた。

 それは血管のように全身をめぐっていて、それが神くんとつながっているのがわかる。


 神くんがパッと離れた。


「その感じだよ、それを一人で感じてごらん」


 目を閉じてさっきの感覚を思い出すとすぐに流れを見つけられた。


「それで光が付くのをイメージして」


 光がともるのをイメージすると胸のあたりが熱くなるように感じる。


「その熱を手のひらに移動させて、光れって言ってごらん」


 言われた通りに熱を移動させ、手を前に出す。


「光れ」


 目を開けると淡い光の玉が浮かんでいた。


「やった!」


「それが魔法の使い方の基礎だよ、成功おめでとう」


 神くんはじゃ僕そろそろ時間だから戻るねっといて帰っていた。

 その時にパンとリンゴを渡された。


 さっき私は神くんにそんな守り方はしてほしくないっといったが神くんにこれは別、だって今日は森に行けてないしそれにおなかすいてたら何もできないよ。と言われたのでありがたくもらっておいた。

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