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突然神様に違う体に入れられました

 とある世界の錬金術師はその世界のことをすべて知り尽くし世界に飽きていました。

 そこで彼女は考えました。

 この世界にもう知ることがないのなら別の世界、異世界に行こうと。


 そうして彼女は見事そのための理論を組み立て異世界への扉を開きました。

 彼女は嬉々としてその扉に飛び込みました。

 しかし彼女は一つ大きな失敗をしました。

 それは体を持ったまま異世界に渡ろうとしたことです。


 体は別の世界にはいくことができないということを神は決めていました。

 神はまさか異世界に渡ろうとするものが出るとは思っておらず世界に体は異世界に行けないということを伝えていませんでした。


 しかし異世界の扉は開いておりそこに飛び込んだ彼女の魂だけが異世界に渡りました。

 魂は異世界に行くことができましたがそこで体を見つけられなければやがて魂にはエネルギーがなくなり消滅してしまいます。


 ということで君の体を貸してはくれないだろうか?


 私の目の前にいる少年はまるでおとぎ話をするようにそう語った。

 彼いわく彼は神様というものらしい。

 ついに私は幻覚と幻聴を聞くようになってしまったようだ。


 うつ病と診断されて早6か月、毎日何かをすることもできず、摂食障害もあり日々痩せていく私は死ぬために生きているようなものだ。


 数分前、彼は君の状態を見かねて提案をしたいんだけどと、言って二階の窓から部屋に入ってくるのを見たとき私はおかしくなったのだろうかいやおかしいと思っている以上まだ正常だとりあえず警察に連絡をっと思ったら動けなくなった。


 とりあえずなんで動けなくなったかはさておき警察に連絡しなくてよかった、こんなことを言っているということは彼は私の妄想上の存在であるはずだ。

 いやしかし妄想とわかっているというのも変な話だ。


「あのさ僕は君の幻覚じゃないよ、ほんとに神様だから。それと君が動けないのは僕がそうしたからだよ」


 考えていたことに答えられて驚いたが、彼は私が生み出した存在なので当たり前かと思いなおす。


「その様子じゃ僕が何言っても信じてもらえなさそうだね、じゃあまあいいや、とりあえず君の体は借りるよ」


 そう言って彼は私を抱き上げて、動けないので抵抗もできずベットに寝かされた。


「おやすみ、いい生活を」


 私はその声を最後に意識がなくなった。



 意識がなくなったと思ったのもつかの間すぐに覚醒した。


 けれどそこは私の部屋ではなくログハウスのような部屋の床の上だった。

 あたりを見回すと大量の本と大きなレンガのかまどがあった。上にはこれまた大きな釜が置いてある。

 釜の中を見ると水が入っていて私の顔がみえた。


「は?」


 言葉が出ないとはまさにこのことだ私の顔は私の顔ではなかった。

 黒髪以外に共通点が見つけられない。


 癖がありいつもふわふわしている髪はサラサラのストレートに、目は緑色で細めの奥二重が知性的だ。

 食べることができずに痩せこけていた頬は健康的にふっくらとしている。


 年齢も私は18のはずだが水の中の彼女は14ほどに思える。


 本の裏に姿見を見つけてそこに映る自分の体を見て、またおどろいた。

 がりがりに痩せて骨が浮いていたあばらはほどよく肉がついている。


 何が何だかわからずにしばらく呆然としていた。


「すいません、薬をください」


 その声にはっとした。

 自分の体の変化に驚いて気にも留めなかったが服を着ていないことに気が付いて慌てて本の上に脱ぎ捨てられていた服を着て、扉の前に行きそこで動けなくなった。


 今この扉の前には人がいる。

 そのことを思うと急に体が硬直して汗がだらだらと出てきた。

 呼吸が荒くなって頭が真っ白になっていく。


 自分でも過呼吸を起こしているのだとわかっていても止めることができない。


「ヒュー、ヒュー」


 自分の呼吸の音が遠くから聞こえるような錯覚を覚える。


「あの、魔女さんどうしたんですか」


 その声が人の存在をより一層意識させられて余計に呼吸が荒くなっていく。


「魔女さん、大丈夫ですか」

「くるな!」


 呼吸を抑えて絞りだすように叫んだ。

 大きな声ではなかったが扉の前の人には伝わったようでまた来ますというといなくなる気配がした。


 徐々に呼吸が落ち着いてきて床に座りこんだ。

 過呼吸になり疲れ切った私はそのまま倒れるように眠ってしまった。


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