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妄想のメシア  作者: 柊 潤一
初めての世界
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サエちゃんと指切り

 はぁ、疲れた・・・


 ドアを閉めて振り向くと、サエとアンナがベッドに座って手招きしてる。


「センタさまー早くおいでよ」


「センタ様、早く来て」


 うひゃー、チェリーな僕がいきなり二人のお相手をするんでしょうか?


 俺はルンルンで二人のそばに行った。


「さぁ、ベットにうつ伏せに寝てくださいね」


 え、うつ伏せ?


 そんなプレイってあるん?


 うつ伏せになった俺に、アンナが跨って肩を揉んできた。


「お疲れを揉みほぐしてあげますね」


 あ、そゆことなのね?


 サエは俺の足を揉んでいる。


 今日は親父に絞られたからな。


 めちゃ、気持ちええ。


 ほんま、極楽やわこれ・・・


 ・・・


 ・・・


 俺はそのまま寝てしまって、気が付くと部屋にいた。


「ええー、なんでやねん。ええとこやったのに」


 よし、もう一度戻ったろ。


 俺は、マッサージをされている場面を何度も思い浮かべたが、戻れなくて結局あきらめた。


 しゃあない、まだ始まったばかりやけど、夏休みの宿題をやろう。


 そやけど、まだ高一やのにぎょうさん宿題あるよな。


 中学の時は、こんななかったのに。


 俺は数一Aのプリントを何枚かやって、それから寝た。


 次の日の朝、朝ごはんを食べるとすぐに部屋に戻り、昨日の寝てしまった場面を思い浮かべた。


 ・・・


 ・・・


 あかんわ。


 戻られへん。


 なんでやろ?


 あれは、夢やないよなぁ。


 もっと前から思い出してみよう。


 宿屋に連れていかれて、名前を言ったら笑われて、村長さんの長い話を聞いて、出ていってからサエとアンナにベットに呼ばれて、マッサージをしてもらって・・・


 ・・・


「センタさま!」


 ん?


「センタ様、いつまで寝てるんですか。ほら、おーきーてー」


 俺は目を開けた・・・うわっ!


 め、目の前にサエちゃんの顔がある、と言うより俺の顔に覆いかぶさって、おまけに唇が触れてる。


「サ、サエちゃん、なにしてんの?」


「えへへ。チユーしたら起きるかなと思って」


 チューしたらってあんた、まるで新婚さんやんか。


「サエちゃんさぁ、今までの救世主さんにも、こんなことしたの?」


「んーん。センタさまだけだよー」


「なんで、おれだけ?」


「だって、センタさまのこと、好きだもーん。」


 そう言ってサエちゃんは抱きついてきた。


 ベッド起き上がっていた俺は、抱きつかれた勢いで押し倒され


「センタさま、すきすき。だぁーい好き」


 と言うサエちゃんからキスの嵐。


 まるでじゃれつく子犬やな。


 可愛い。


 でも、とりあえず戻れてよかった。


 ふと見るとアンナさんがいない。


「あれ?アンナさんは帰ったん?」


「うん。朝早くに帰ったよ。ほら、起きてー。魔物を退治しに行くんでしょ?」


 ああ、そうや。


 魔物退治が俺の仕事やったな。


「あたしね、花をつみに行きたいんだけど、魔物が出るから行けないのよ」


「そうかぁ。よし、わかった。退治してやるから一緒に行こう」


「ほんと?絶対だよ、約束ね。指切りげーんまん嘘ついたら」


 俺はサエちゃんと指切りをして、それからサエちゃんに村の出口まで見送られて、魔物退治に出かけた。

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