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ぼくは。  作者: 青夏まーく
4/6

歓喜

しばらく歩いた

体内時計で30分くらいだ


景色は大きくは変わらない


人里にたどり着くのだろうか

言語は通じるだろうか

そもそもここに人はいるのだろうか

人というモノがいるのだろうか

巨人がここでの普通だったらどうしよう

ここでの食料が人間(と言われるもの)だったらどうしよう


歩けど歩けど変わらない景色に思考もマイナスになる


「…せめて、せめて水とかない…かな」


誰にも届かない独り言をぶつぶつとつぶやきながら歩く


歩く



歩く




歩く





「っだぁあああああ!!!」


ぼくは叫びながら地面に四肢を投げ出す


かれこれ6、7時間は歩いただろう

ぼくの体内時計だから正確ではないが、

中学生のときの『秋の歩こう会!』を完走したときと同等の疲労度がある



「川もない!!せせらぎの音さえ聞こえない!!

 人の気配!動物の気配!なんんんんんんんんっっっにもない!!!」



歩けどもなにも見つからない鬱憤を相変わらず綺麗な空に報告する


汗も全身にかきワイシャツの下のタンクトップが肌に張り付いている




「はぁ…どうすりゃいいんだよ…こんなん…」



深呼吸して目をつぶる



このまま、だれも、何も見つからなかったら

例えば、ぼくが飢えで死んだとして

ぼくが土に還るまでだれもここを通らなかったら

ぼくはこの世界のだれの記憶にも残らないまま

死んでいくのか…




前に母から聞いた



『人は2度死ぬ』



1度目は身体の死


2度目は記憶の死



生きている者が忘れないことで、

その人は記憶の中で生き続ける



だが…僕はどうだろうか

生きていたことも

ここで死んだことさえも誰の記憶にも残らず

消えていく…




「それは………いやだなぁ」




ぽつりとつぶやくと、視界がにじんだ






「何がいやなんだ?」





誰にも聞かれるはずのない独り言に返事が来た




ぼくは勢いよく起き上がりながら声のした方に身体を向ける


これでもかというほど目を見開いていたと思う




ぼくの目の前には二本の足で直立し、服を纏い、

腕が二本あり、頭があり、顔があるヒトという形がいる



ぼくが求め、探していたヒト、がいる





「~~~~~~~~~っっっ!!!!!!」





やっとみつけた


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