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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
83/95

八十二話「残志」

10月1日までに85話まで進めます!

2年目近くなってきたこの頃、前々から決めてましたが100話目は弘太にとって特別な話にします。まだ掛かりますがご期待ください。

遅くなりましたが、82話です。


 

 さて、どうしたものか。


 俺自身の予想としては、そのクローズに対しての対策をエラマと協力して考え出すという、ごく普通の発想だ。その筈だ。


 しかし、ボスから返ってきた返事はそれではなかった。“対話”と言う言葉を用いられた、極めて正反対の答えだ。正直に言おう。無理だ、無謀だ。


「なぁ……何を考えてるんだ?」


「―――――――お前も分かっているだろう。 まだ戦力的に大丈夫と言えるが、創無どもも着実に進化している。 クローズがその例だ」


「………」


「我々に残された時間は少ない。 拮抗しているように見えるこの争いはあちらの方が圧倒的に有利だ。 こちらは“守る”手段しか取っていない。 敵世界への進撃も不可能、詳細な研究も出来ない人類は“敗北を引き延ばしている”に過ぎない。 敗北が決定したあの瞬間を、敗北が終わるあの瞬間をギリギリにここまで来ている……ここまで言えば分かるな?」


「……ハァ。 要は協力者として招き入れようとしてるよな? だが、相手は殺すことを糧としている奴らだぞ。 そもそも価値観ですら相容れない」


「理解している。 しかし、過去一度だけ人類に味方した創無がいた」


「アレは特殊過ぎる例だ。 ラヴァは確かに力を貸した。 いや、力を強制的に渡してきた。 奴の真意も何も分からない。 仮に善意だとしても、クローズが同じ道を歩むとは限らないぞ?」


「承知の上だ。 だが人類には創無を倒すための“近道”が必要だ、遠回りする時間はない。 クローズを味方へ付けて、可能な限り奴らの情報を引き出し、こちらの戦力を整えて敗北を覆さなければならない」


「………」


 あぁ、ボスの言いたいことは分かる。どれだけ平穏に見えようと、その陰で人類は確実に消耗している。


 ラヴァと言う稀有な存在を考慮しても、行きつく結論としてはそう珍しくはないだろう。しかし、言わせてもらいたい。実戦をしている、こちらの見解としては不可能と述べたい勢いだ。


「……ハァ。 完全には否定していない。 ただの忠告みたいなもんだ、すまんな」


「いや、心に留めてはおく。 こちらも熱くなって、すまないな」


「――――――――まぁ、学者さんの意見を仰げば何か答えを得られるのは確かじゃないかなぁ」


 二人は少し眠そうな顔をしながらも、自警団本部を後にしエラマの元へ向かった。











___________________________________


「では皆、ブリーフィングを始めようか」


 ヴェルズのその声と共に始まったブリーフィングはこの街で起きた異変を解決する為のものだ。


 自己紹介を済ませヴェルズは、事の始まりから今回の件の経緯を簡潔に述べた。

 

 もう16年近く前になる“秘匿記録:D-99”なる戦いにおいて、ある創無が襲来した。


 全身が黒いのは勿論の事だが、周囲に黒の球体を浮かべて創無にしては創作物でよく見かえるような近未来的な恰好の人型であることは確認出来ている。


 それが襲来した日、街の人々は気付くことなく全てを停止させられた。何の前触れもなく、そこに生きる者の時間が止まってしまったのだ。しかし、当時からの担当であったギーシュは能力者であるせいかは定かではないが彼だけ停止現象から免れたという事実が出来た。


 調査に来ていた他の能力者や本部職員は事の真相を求めていたが、それは不可能な事であった。それも当然だろう。創無の姿を確認できたのは街から外れた組織の管理下にある監視カメラからの映像であり、当の街の中に位置した第二支部の面々はその存在を気付くことさえなかったからだ。


 ギーシュは恋人と共に昼食を摂っている最中であり、幸福を堪能すると言う能力者にとってかけがえのない時間を過ごしていた。


 そんなものは脆く崩れた。ふと彼女が動かない事に気が付いたギーシュは声を掛けるが返事がない。コーヒーを飲み終えたところから静止を貫いたままである。


 心配から焦燥へと変わり果てたギーシュは恋人の肩を揺らし意識を取り戻そうするが、恋人の身体は石像のように硬く微塵も動かせることはなかった。


 密やかな絶望に屈しながらも辺りを見回す。目に見える物、何もかもがその活動を止めており、少しの接触で崩壊していく。決して、何かのドッキリでもあるまい。今瞳に映っているのは紛れもない事実。そして、彼は考える……この元凶を引き起こした何かがいると。



 原因は未だ不明だが、このロズトルと言う街に何か特殊な細工を施したのは状況からも見ても明白であり、何よりの手掛かりでもある。


 半ば諦めていた男の心に小さな憎悪が宿り、立ち上がる。少しでも早い究明を、また恋人との再会を生きる理由にした男の戦いは始まったが……。


 







「あれ以来、一切の姿を現さなかった。 君の想いも空しく16年近くが経過したある日……事態は動いたと、あってるね?」


「……間違いない。 4日前の12時頃、丁度ロズトルの時間が止まったのと同じ時刻だ。 監視カメラに“奴”らしき影を捉えた」


「その出来事は前回と比べても普通ではなかった。 何故なら……」


「明らかに“標的”を探している素振りを見せ……こう“呟いていた”」


 その一言で事態を把握した。弘太は頭の中で整理する。ここで言う標的はギーシュで間違いないだろう。他に何かあるにしろ、今は除外だ。そして、最後の呟いていた発言……『の血……いずれは……』と。


「――――――言葉の意図は不明ですが、まず標的はオルフェノンさんの事では?」


「……可能性としては否定しない。 しかし、彼の血と言う言葉だけは引っかかる」


「喋るな……仕事だ」


 その言葉と共に四人は微かに感じる気配に警戒しながら、各々の武器に手を添える。


「………」


 心臓の動悸は増していき、この部屋の能力者に向けられた殺意は明確なものとなり……真っ先にレオは牙を剥いた。


「―――――――ハッ!!!」


 レオの大型銃から放たれる弾丸は正確にその存在を撃ち抜いた。


「キュッッ―――――――」


「これは……」


 ネズミにも似た得体の知れない何かが観葉植物の後ろでこちらを観察していたとみるべきだろう。にしても、この観葉植物も見事に粉々だ。


「……俺は外に出てる。 話はあんたらに任せた」


 レオはヘッドフォンを耳に当て、元支部長室を後にする。残った三人は無言をしばらく貫いていたが、ヴェルズの一言から会話は再開される。













「………」


 その様子を盗撮していた“何か”は、使役していたネズミのような物体が破壊されたことで行動を始めた。










解説・ディレイブ計画 

 ディレイブ スペック

 身長:195㎝(変身時)

 体重:342㎏(マシンディノープの250㎏+西幸弘太の義肢も含めた92㎏)

 パンチ力:59t

 キック力:59t

 ジャンプ力:210m(一回の跳躍)

 走力:100m時、8秒(戦闘モードにおいては光速での移動の為、記載不能)

 武装:D-00(シューズ)、D-01(大型剣)、D-02(多目的銃)、D-03(弾頭)、D-04(多目的ホイール)

 ディレイブはヴィオのレビト・シギンスの流れをいくつか汲んでおり、頭部の複眼の暗視等は勿論のこと。背中に位置する装甲に覆われたタイヤも羽のように見せ、鳥を想起させるものになっているが白神主任のアレンジにより全身が白色となり、天使にも見える姿となった。

 戦闘モード時、全身がラインを引くように割れて、展開されるが。その時に複眼の目下にも展開され、涙腺のようにも捉えることが出来る。これは白神主任の意図であるが、真相は彼の口からでしか語られない。

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