八十話 「刀足」
毎度の遅く成ってますが80話です。
今回は後書きの方で、ディレイブの解説を簡単ではありますがしていきます。ディレイブたちの説明は本編でもする予定ですので、私が本編で記載しない情報。うっかり忘れた場合は後書きで補足をなどをしていきます。次回はガブラッド、その次にラヴァーブ、ブラッターと順に解説します。ヴィオのレビト・シギンスに関しては外伝Ⅰで概ね明かすのでこちらではその補足を。追々、説明することになりますが。
衝撃がその辺りを覆った。誰にも認識されずに弘太を蹴り飛ばし、剣による圧倒的な剣技はメルダーが距離を置く理由にしては十分すぎた。
「ヴェルズ……その剣。 それに今のは……」
「言わなくていいよ。 それに自殺紛いな事をする君よりはマシだと思ってる」
「……すまない」
「使わなければいいんだよ……刀がその代わりであるってこと忘れてないか?」
――――――――白神に渡された時も言われた。受け取った刀は使えない異能力の代わりだと。加速を失った僕に与えられた刃と。
「……そうだった……これは……俺の足だ」
「思い出せばよろしい。 で、そこのお三方はどうするおつもりで?」
「………」
メルダーたちは割れた無懺へと帰っていき、それを見届けたヴェルズは指示を行う。
「……うーん、アルゴスが大半を片付けてるかな」
彼の言った通りにナンバーⅠと言う名に恥じない暴走っぷりであった。その斧とチェーンソーは数多の創無に負けることなく蹂躙していた。
「アッヒャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「……シリス」
「分かってる」
鎖で創無たちを拘束し、それらをまとめて一つに場所に引き寄せていきただの的へと化していく。
「レオ・サルソン」
「はいはい……」
高濃度の緑の色をした次元エネルギーは大型銃の銃口から放たれ、塊となった創無たちを粉砕してしまう。
「これで良いんだろ?」
「ああ……そろそろか」
「―――――――――飽きた! 飽きたよ!!! 残り200ぐらいだけど、面倒くさいよ!」
幼き殺戮者は理性を取り戻し、ヴェルズたちの元へ駆け寄っていく。
「アルゴス、弘太。 行くぞ」
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(やっぱり、使うしかないよなぁ……!)
腹部に対して、自身の腕を抉りこむように掴みルリーヴは浮き出る。
「うぉぉぉぉ……!!!」
幽霊の男に無策で突っ込んだヴィオの身体は異形の怪人へと姿を変え、敵へと襲いゆく。
「……!!! それが……シギンス」
「ヒャァ……」
鷹の瞳で相手の性質を調べ、肥大化させた爪が繰り出す技は凄まじく男はエネルギーの光球をばら撒いて距離を取った。
「………」
幽霊の男は次元エネルギーを自身の手の中に溜め、それを形作っていく。
「ヴシャァァァ!!!!!」
銃に形作った男は構えて狙い撃つ。放たれた複数の小さな弾丸はレビト・シギンスに当たり、ほんの少しであるが動きを止めてしまう。
「!!!」
ダメージを確認した男は、散弾銃を撃ち続ける。しかし、レビト・シギンスの皮膚に当たるばかりで肝心な傷を何一つ与えられていない。
「……!」
レビト・シギンスは地面を抉り、手に取った土を変質させ鎖鎌へと変形させる。
それを振り回し、徐々に込められていく次元エネルギーは残滓となり周囲の物体を切断し、次第にその影響は大きくなっていた。
「!!!」
「ックシャァ……」
その威力は回転とともに増していき、今の状態で触れれば“死”を免れない。
(……死ぬのはまだ早い、後でだ)
「……最後に、名乗るなら……クローズだ」
クローズと名乗った男は空間を割り、無懺へと逃げてしまう。
「ハァ……ハァ……」
敵を見失ったレビト・シギンスの鎖鎌はどんどん形を崩していき、土塊となりレビト・シギンス自身の異形の皮膚が溶けてその中からヴィオ・バロックの姿が確認できた。
「クローズ……」
閉めるとかそんな意味だった気がしなくもない。だが、外国語は生憎とそこまで勉強していない。エラマ辺りなら知ってるか語学の本の一つや二つはあるだろう。
その言葉を使用した真意はともかく、この噂は創無と判明した。ああ、面倒くさい。
(――――――――ひとまず撤収か)
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「ほほー!」
斧をしまいチェーンソーから放出される次元エネルギーはチェーンソーと同じ形を取り、残りの創無を切り刻んでいく。
「……!」
同時に弘太の刀も一刀両断し、その切れ味を如何なく発揮している。
僅かな間しか使うことを許されない彼にとって刀は加速に代わる新たな“足”と言っても良い。その鋭さは必殺と呼べるほどに代替品であった。
「……後はシンだけか」
「………」
こちらを観察し終わったのか、奴も同様に無懺へと姿を消した。
「……ふうっ!!!」
「終わった~」
「………」
膝を着き、身体の震えが止まらないのを確認する。自分にとってあの能力はもう後戻りできない代物。今まで控えてきたが、倒せると踏んだ今なら己の身体がどこまで壊れようと今更――――――――!?
胸倉を両手で掴まれ、強力ではないが結構なファイの頭突きが弘太の額に直撃する。
「……ねぇ、もうあんなことしないでよ。 何かあったら心配なんてもんじゃないわよ……」
「……次からは使わない。 本当にすまなかった」
(西幸様。 今回のデータは白神所長へと送信しました。 以後、身の危険をさらす行為をお止めください。 いえ、禁じます)
(……零華たちもいる……柳にも心配を掛けられない)
(分かれば良いのです。 今後は使用する兆候が見られれば、任務受注を停止するなどの処置を取らせていただきます)
(……ああ)
「――――――――ホワイトとの話は済んだかい? 任務も終わったところで僕と弘太、それにレオも含めて追加の任務だ」
「……さっきの奴らの追跡? 面倒なんだけど」
「いや、今回のはある街の調査だよ。 記憶の片隅にぐらいは残ってるだろう? “時の止まった街”は」
それはまた特殊な案件なことで……と言うか調査するってことは問題があるってことだなぁ……。
「15年前のあの戦を機に戦っていた能力者を除いたすべてが停止した……であってるよな? 何があった?」
「それを調べに行くんだよ。 現地の能力者からなるべく強力な奴を寄越せとのこと。 選抜理由は行きながら話そう」
15年前、16年目へと突入しようとする彼等にとって遭遇したことのない出来事であるが、大群の創無が世界中に押し寄せたあの日。あの街、“ロズトル”ではまさに世界の終焉が行われていた。
ディレイブ
概要:
第三世代にあたるディレイブ計画の要と言える試作機。通常なら試作という事で安全と暴走の危険性を考えて、性能は低めであるが現時点で能力者しか使えない点に加え、じっくりとした実験が出来ないことを含めると実戦の中で試用しなければいけないため、予算を度外視した高性能を誇っている。
第一世代は形にするという目標の為、性能面は特化せずに平均になっており。第二世代はそれから発展させ、環境特化、飛行特化、隠密特化に派生した。
第三世代はそこからまた派生しており、環境に加えて弘太に合わせた身体強化。飛行という利点を生かし、そこに軍のノウハウをいくらか享受した火力強化。隠密に加え、白神の手心により忍者のような癖のある装備を相原用に開発され、そこにオクトパス……タコをさらに加えたもの。
弘太の身体が完全な生身ではなく加速の代わりに刀を使っている状態を考慮し、身体強化を施した。第二世代、パラドネスの環境特化と前述したが、これは言ってしまえば変身者が場所を選ばずにどんなところであれ、適応でき敵を倒すことを目的としている。
能力者自身もかなりの強さと技術を求められるので、必然的にシステムの力で倒すのではなく能力者の強さをシステムで補助するという形になっていき、現在のような機構をしている。
さて、白神が定期的に開発し弘太に受け渡しているD-00やD-02などのDシリーズ。実はディレイブ用に開発された物である。DはディレイブのDである。
これらの他に白神はまだ何か隠しているようだが、それは本編で続きます。
という事で、完全に伝えきれてはいませんが今回はここまでです。余裕のある時に後書きでシギンスシリーズの解説をします。
次回は少し物悲しいある街の話です。




