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黒絶草   作者: Outsider
第一章 「虚憎」篇
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七話 「深情」

 今日も雪は降っていた。


 そんな中、弘太は、外へと出た。


 友達になれるかもしれない子と遊ぶためにだ。


「気を付けろよ~」


「うん、わかってる、行ってくる」


 弘太はそのまま街の中へと消えた。


(……さて、少し散歩しにでも行くか)


 軽い外出の準備を柳は始めた。






 弘太はいつになく少し嬉しそうな顔をしながら小走りをしていた。


 初めて遊べる相手ができ、友達になってくれるかもしれない子がいたのだ、仕方ないかもしれない。


 小走りから普通に走り始めた。


 早くエミルに会いたい一心だった。



 昨日行った場所にエミルともう一人、僕たちより背が低い女の子がいた、この子がエミルの妹だろうか?


「やぁ! コウタ~!」


「エミル! 今日も会えて嬉しいよ!」


「僕も会えて嬉しいよ! あと紹介するね、この子が僕の妹のユーリだよ」


「……ユーリ・スピットです……よろしくお願いします」


 少女は控えめに言った。


「こらユーリ! もっと大きい声で言おうよ!」


「………」


「……僕はコウタ、西幸 弘太、コウタで読んでいいよ……よろしくね」


 弘太は優しい口調でユーリに自己紹介をした。


「……うん」


「よし!……早速なにして遊ぶ?」


「……何が良いんだろう?」


「う~ん、3人で遊べる遊びか~」


「……雪で玉を作って投げ合う」


「……そういうのもあったね」


「昨日はしてなかったね、決まりだ!」


「……誰も来ないけど街中じゃやりづらくないか?」


「う~ん、流石に狭いしね~、どこでするかなぁ」


「……少し離れた所に公園がある」


「あー、あそこは遊べるモノ全て古く壊れやすいからあんまり行ってなかったなぁ~」


「……玉遊びするだけだし行ってみる?」


「うん、そのつもりだよ!早く行こう!」


 3人は公園へ向かった。


「「「………」」」


 移動中、沈黙の時間がしばらく続いた。


「………」


「………」


「……あ___」


 ユーリは階段を下りる途中で足を踏み外しそのまま下まで転がってしまう。


 だが、弘太に抱きかかえられた。


「……大丈夫?」


 そこまでではないが割と顔が近かった。


「う、うん……ありがとう」


 少し照れくさそうに言った。


「ユーリ大丈夫か?」


「……大丈夫だよ、お兄ちゃん」


「よかったよかった、ありがとうな、コウタ」


「ああ……とりあえず、行こう」


「……うん」


 3人は公園に着いた。


 そこは森が近くにあり、公園にしてはだいぶ荒れ果てていた。


「う~ん、ずいぶん荒れてるね」


「……そうだね、この状態じゃ遊ぶの難しいな……」


「……片付けようよ」


「……そうしよう!」


「問題ない、やろう」


 3人は荒れた公園の片付けに入った。


「コウタ、そこの枯れ木を取って」


「わかった。 はい、エミル」


「ありがとう、にしても枯れ木とか泥の山とか多すぎるなぁ」


「確かに、少し異常に荒れ過ぎてる、何かあったんだろうか?」


「う~ん、そこまではわからないな~、ユーリは何か知らない?」


「知らない、はいお兄ちゃん」


「っとと、この隅っこに置いとくね」


「わかった、泥はどうする?」


「泥か~、う~ん…どうする?」


「ふーむ、どうしよう」


「……何も思いつかないね」


「うん……」


「……来る途中で近くにスコップっぽいモノがあった」


「ホントに!?」


「ホントにあるよ」


「……取りに行こう、ユーリ、教えてくれてありがとう」


「う、うん……」


 また照れながら返事をした。


 弘太たちはユーリの言った場所へと向かった。


「……もう少しだよ……少し寒い」


「ユーリのその恰好は少し薄いから何か着た方が思うけどな、コウタは大丈夫?」


「問題ない……ユーリ、僕の上着使う?」


「え……良いの?」


「僕は大丈夫、はいどうぞ」


 弘太はダウンジャケットをユーリにかけた。

 

「ありがとう……コウタ」


(……何で照れてるんだろう)


(ふむ……仲良くいけそうでよかった!)


「ん~にしてもコウタはここら辺に住んでないよね? 別の国から来たみたいだけど、よくここの言葉わかるね」


 ここで少し間が空くが弘太は隠さずに答えた。


「……前に来たことがあって、その時に覚えたんだよ」


「それで喋れたんだ、でも何でこんな田舎の街に?」


「……まぁ、知り合いのおじさんがこの街のこと知ってるみたいだし、縁があって来たみたいだよ」


「コウタはそれに付いてきた感じか、でもよかった、コウタと会えて」


「……僕もだよエミル」


「そろそろ着くよ、お兄ちゃんとコウタさんもちゃんとやってよね」


「わかってるよユーリ、コウタもわかってるよな?」


「ああ、大丈夫、ユーリも大丈夫か?任せてくれても良いよ」


「平気だよ……気遣ってくれてありがとう、コウタさん」


「いいよ……でも何かあったら言ってね」


「うん!」


 そうしてるうちにスコップのある場所へ着いた。


 40代ぐらいの男性がそこに立っていた。


「ん?どうした?そこの子どもたち?」


「えーと、倉庫にあるスコップ貸していただけないでしょうか?」


「別に良いが……何故?」


「実は公園で遊びたいんですが泥の山が多すぎて片付けられなくて……」


「おお~、それなら貸してもいいぞ、使った後はそこにある水道で洗って戻してくれればいいぞ」


「!!、ありがとうございます!」


「やったな。」


「……3本取ったらすぐ行こう! そろそろ遊びたいし」


 3人は各自スコップを取り、公園へ戻って行った。

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